こんにちは。エンジニア転職ドットコム編集部です。
「SESって何?SIerと何が違うの?」 「自社開発、受託開発、SESのどれを選べばいい?」 「SESは本当にやめとけって言われるけど実態は?」
エンジニア転職を考える際、必ず直面するのがこれらの疑問です。
実は、IT業界で働くエンジニアの約4割がSES企業に所属しています。私自身、新卒でSES企業に入社し、その後Web系自社開発企業に転職した経験から、それぞれの特徴を熟知しています。
この記事では、SES・自社開発・受託開発の違いを、現場のリアルな実態を交えながら徹底解説します。転職先を選ぶ際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
SES企業とは?基本を理解しよう
まず、SESの基本から理解していきましょう。
SESの定義
**SES(System Engineering Service:システムエンジニアリングサービス)**とは、エンジニアの技術力を時間単位で提供する契約形態です。
簡単に言うと、「エンジニアの派遣」に近いビジネスモデルです。
SESの契約形態
準委任契約: SESは「準委任契約」という契約形態を取ります。
準委任契約の特徴:
- 成果物ではなく「労働時間」に対して報酬が発生
- 指揮命令権はクライアント企業にある
- 契約期間は通常1〜6ヶ月単位
派遣契約との違い: 法律上、SES(準委任契約)と派遣契約は異なりますが、実態はほぼ同じです。
SES企業のビジネスモデル
SES企業は、以下のような仕組みで収益を得ています。
【お金の流れ】
クライアント企業
↓ 月額100万円
SES企業(一次請け)
↓ 月額70万円
二次請けSES企業
↓ 月額50万円
三次請けSES企業
↓ 月給30万円
エンジニア本人
このように、多重下請け構造になっているケースが多く、中間マージンが大きいのが特徴です。
SES企業の種類
SES企業は、受注のレイヤーによって大きく3つに分かれます。
1. 大手SES企業(一次請け)
- 大手企業から直接案件を受注
- マージン率が低い(20〜30%)
- 給与水準が比較的高い
- 案件選択の自由度が高い
例: TIS、日本ユニシス、富士ソフトなど
2. 中堅SES企業(二次請け)
- 大手SES企業の下請け
- マージン率は中程度(30〜40%)
- 給与水準は中程度
- 案件選択の自由度は限定的
3. 小規模SES企業(三次請け以下)
- 中堅SES企業の下請け
- マージン率が高い(40〜60%)
- 給与水準が低い
- 案件を選べないことが多い
私が新卒で入社したのは中堅SES企業でした。
自社開発企業とは?
次に、自社開発企業について解説します。
自社開発の定義
自社開発企業とは、自社でサービスやプロダクトを企画・開発・運営する企業のことです。
代表的な企業:
- メルカリ(フリマアプリ)
- クックパッド(レシピサービス)
- freee(会計ソフト)
- SmartHR(人事労務ソフト)
自社開発のビジネスモデル
【お金の流れ】
エンドユーザー
↓ サービス利用料
自社開発企業
↓ 給与
エンジニア
中間業者がないため、エンジニアへの還元率が高いのが特徴です。
自社開発企業の種類
1. Web系自社開発(スタートアップ)
- 規模:数名〜数百名
- 成長性:高い
- 技術:モダンな技術スタック
- 働き方:フレックス、リモートワーク可が多い
2. Web系自社開発(メガベンチャー)
- 規模:数百名〜数千名
- 安定性:高い
- 技術:モダンだが、レガシーも混在
- 働き方:制度が整っている
3. 事業会社の開発部門
- 規模:企業による
- 安定性:高い
- 技術:保守的なことが多い
- 働き方:伝統的な企業文化
受託開発企業とは?
3つ目のモデル、受託開発について解説します。
受託開発の定義
受託開発企業とは、クライアント企業からシステム開発を請け負い、成果物を納品する企業のことです。
代表的な企業:
- Web制作会社
- システム開発会社
- アプリ開発会社
受託開発のビジネスモデル
【お金の流れ】
クライアント企業
↓ プロジェクト単位の報酬(例:500万円)
受託開発企業
↓ 給与
エンジニア
プロジェクト単位で受注し、納品することで報酬を得ます。
受託開発の契約形態
請負契約: 受託開発は「請負契約」を結びます。
請負契約の特徴:
- 成果物の完成に対して報酬が発生
- 指揮命令権は受託企業にある
- 瑕疵担保責任がある(不具合があれば無償で修正)
SESの準委任契約とは、この点が大きく異なります。
SES・自社開発・受託開発の違い一覧表
3つのモデルの違いを、表で整理しましょう。
| 項目 | SES | 自社開発 | 受託開発 |
|---|---|---|---|
| 契約形態 | 準委任契約 | – | 請負契約 |
| 働く場所 | 客先常駐 | 自社オフィス | 自社オフィス |
| 給与水準 | 低〜中 | 中〜高 | 中 |
| 年収目安 | 300〜500万円 | 400〜800万円 | 350〜600万円 |
| 残業時間 | プロジェクト次第 | 比較的少ない | プロジェクト次第 |
| 技術の幅 | 広い | 深い | 広い |
| 最新技術 | 案件次第 | 採用しやすい | 案件次第 |
| キャリアパス | 不透明 | 明確 | やや不透明 |
| 転職難易度 | 低 | 高 | 中 |
| 未経験者 | 受け入れ多い | 受け入れ少ない | 中程度 |
詳細な比較
それぞれの項目について、もう少し詳しく見ていきましょう。
働く場所:
- SES: 基本的に客先常駐。プロジェクトごとに勤務地が変わる
- 自社開発: 自社オフィスまたはリモートワーク
- 受託開発: 基本的に自社オフィス。客先常駐するケースもあり
給与水準:
- SES: 中間マージンがあるため、市場価値より低め
- 自社開発: 事業の利益を還元しやすく、高め
- 受託開発: プロジェクト単位の利益率による
スキルの深さ:
- SES: 様々な現場を経験できるが、表面的になりがち
- 自社開発: 1つのサービスを深く理解できる
- 受託開発: 様々な技術に触れられるが、深さは案件次第
働き方の自由度:
- SES: 客先のルールに従う。選択肢が少ない
- 自社開発: フレックス、リモートワークなど柔軟
- 受託開発: 会社による。納期前は残業が増える傾向
SES企業で働くメリット5つ
SESにもメリットはあります。特に未経験者にとっては、選択肢の一つとして有効です。
メリット1:未経験者が入りやすい
SES企業は常にエンジニアを必要としているため、未経験者の採用に積極的です。
理由:
- 案件数が多く、常に人手不足
- 研修制度が整っている企業も多い
- 経験が浅くても受け入れてくれる案件がある
私も未経験からSES企業に入社し、エンジニアとしてのキャリアをスタートできました。
メリット2:様々な現場を経験できる
複数のプロジェクトに参画することで、多様な経験が積めます。
具体例:
- 1年目:金融系システムの保守(Java)
- 2年目:ECサイトの開発(PHP)
- 3年目:スマホアプリ開発(Swift)
このように、短期間で複数の技術スタックに触れられます。
メリット3:人脈が広がる
様々な企業で働くことで、多くのエンジニアと出会えます。
人脈のメリット:
- 業界の最新情報が入手できる
- 転職時の情報源になる
- フリーランス独立時の案件紹介につながる
私はSES時代に築いた人脈が、今でも大きな財産になっています。
メリット4:案件によってはスキルアップできる
大手企業の大規模システム開発に携われる場合、貴重な経験になります。
学べること:
- 大規模システムのアーキテクチャ
- チーム開発の進め方
- 品質管理の手法
ただし、これは「良い案件に当たれば」という条件付きです。
メリット5:プレッシャーが比較的少ない
準委任契約のため、成果物への直接的な責任は発注元にあります。
精神的な楽さ:
- 納期のプレッシャーが受託開発より少ない
- 瑕疵担保責任がない
- 指示された作業をこなせばOK
ただし、これは裏を返せば「言われた作業しかできない」とも言えます。
SES企業で働くデメリット7つ
一方で、SESには大きなデメリットもあります。
デメリット1:給与が低い
中間マージンが多い分、エンジニア本人の取り分は少なくなります。
実例:
- クライアントの支払額:月100万円
- SES企業の取り分:30万円(マージン30%)
- エンジニアの給与:月40万円(年収480万円)
スキルが同じでも、自社開発企業なら年収600万円以上もらえるケースが多いです。
デメリット2:スキルが身につきにくい
単純作業や保守作業ばかりの案件に当たると、スキルアップが難しくなります。
よくある案件:
- テスト工程のみ
- 既存システムの軽微な修正
- マニュアル通りの設定作業
- データ入力作業
私の同期は、2年間ほぼテストだけの案件で、ほとんど成長できませんでした。
デメリット3:キャリアパスが不透明
プロジェクトごとに環境が変わるため、長期的なキャリア形成が難しいです。
不安なポイント:
- 専門性が身につきにくい
- マネジメント経験を積みにくい
- 市場価値の向上が遅い
「3年後、自分は何ができるようになっているのか?」が見えにくいのです。
デメリット4:帰属意識が持ちにくい
客先常駐のため、自社への帰属意識も、客先への帰属意識も持ちにくいです。
孤独感:
- 自社の同僚と会う機会がほとんどない
- 客先では「外部の人」扱い
- チームに本当の意味では入れない
私はこの孤独感が、転職を決意した一番の理由でした。
デメリット5:案件ガチャのリスク
案件の良し悪しが、キャリアに大きく影響します。
良い案件:
- 最新技術を使える
- 裁量が大きい
- チームの雰囲気が良い
悪い案件:
- レガシーコードの保守のみ
- 単純作業ばかり
- パワハラ上司がいる
案件は会社が決めるため、自分では選べないのが辛いところです。
デメリット6:多重下請け構造
三次請け、四次請けになるほど、条件は悪くなります。
下請けのピラミッド:
一次請け(元請け)
↓ マージン20%
二次請け
↓ マージン30%
三次請け
↓ マージン40%
四次請け(あなた)
同じスキルでも、どのレイヤーにいるかで年収が200万円以上変わることもあります。
デメリット7:客先の環境に左右される
客先のルールや文化に従う必要があります。
客先次第な要素:
- 服装(私服OK or スーツ必須)
- 勤務時間(フレックス or 固定)
- リモートワーク可否
- 残業時間
自分でコントロールできない要素が多いのがストレスになります。
自社開発企業で働くメリット5つ
次に、自社開発企業のメリットを見ていきましょう。
メリット1:給与水準が高い
中間マージンがないため、エンジニアへの還元率が高いです。
年収例:
- 未経験:400〜500万円
- 3年目:500〜700万円
- 5年目:600〜900万円
- シニア:800〜1,200万円
SESと比較すると、同じスキルでも年収が1.5〜2倍になることも珍しくありません。
メリット2:サービスを育てる楽しさ
自分が開発した機能を、実際のユーザーが使う喜びがあります。
やりがい:
- ユーザーの声が直接聞こえる
- サービスの成長を実感できる
- 自分の仕事の影響が見える
私は自社開発に転職してから、仕事のモチベーションが大きく変わりました。
メリット3:最新技術を採用しやすい
自社サービスなので、技術選定の自由度が高いです。
技術的なメリット:
- React、Vue.jsなどモダンなフロントエンド
- マイクロサービスアーキテクチャ
- コンテナ技術(Docker、Kubernetes)
- CI/CDの導入
技術的な刺激が多く、スキルアップしやすい環境です。
メリット4:働き方が柔軟
Web系自社開発企業は、働き方改革に積極的です。
柔軟な働き方:
- フルリモートワーク可
- フレックスタイム制
- 副業OK
- 服装自由
ワークライフバランスを重視する人には最適です。
メリット5:キャリアパスが明確
サービスの成長とともに、自分のキャリアも成長します。
キャリアの選択肢:
- テックリード:技術的なリーダー
- エンジニアリングマネージャー:チームマネジメント
- プロダクトマネージャー:サービス企画
- VPoE(VP of Engineering):技術組織の責任者
どの道を進むか、自分で選択できます。
自社開発企業で働くデメリット4つ
自社開発にもデメリットはあります。
デメリット1:入社難易度が高い
特に人気企業は、競争率が非常に高いです。
要求されるスキル:
- 実務経験(未経験は厳しい)
- ポートフォリオの質
- 技術への深い理解
未経験者がいきなり自社開発企業に入るのは、かなりハードルが高いです。
デメリット2:技術の幅が狭くなる可能性
1つのサービスに特化するため、他の技術に触れる機会が少ないです。
デメリット:
- 使用技術スタックが固定される
- 他社で通用するスキルか不安
- 転職時に技術のミスマッチが起きやすい
ただし、これは深い専門性を身につけるメリットの裏返しとも言えます。
デメリット3:事業リスクがある
サービスが失敗すれば、会社自体が傾くリスクがあります。
リスク:
- スタートアップの倒産
- サービスの終了
- 大規模リストラ
特にスタートアップは、安定性よりも成長性を求める企業です。
デメリット4:残業が多い時期もある
新機能リリース前やトラブル対応時は、残業が増えることもあります。
忙しい時期:
- サービスのメジャーアップデート前
- 大規模なリファクタリング
- 障害対応
ただし、SESや受託と違い、自分たちでスケジュールをコントロールできる点は異なります。
受託開発企業で働くメリット4つ
受託開発のメリットも確認しましょう。
メリット1:様々な案件に関われる
クライアントごとに異なるシステムを開発するため、経験の幅が広がります。
案件の多様性:
- ECサイト
- 業務管理システム
- スマホアプリ
- Webサービス
SESと似ていますが、自社で開発するため環境は安定しています。
メリット2:企画から納品まで経験できる
請負契約なので、要件定義から納品まで一貫して関われます。
学べるスキル:
- 要件定義・ヒアリング力
- 設計力
- 実装力
- テスト設計
- 納品・運用
エンジニアとしての総合力が身につきます。
メリット3:客先常駐がない
基本的に自社オフィスで開発するため、環境が安定しています。
メリット:
- 同じ仲間と働ける
- 自社の文化で働ける
- 通勤先が固定
SESと違い、帰属意識を持ちやすいです。
メリット4:SESより給与が高い傾向
中間マージンがSESほど多くないため、給与水準はやや高めです。
年収目安:
- 未経験:300〜400万円
- 3年目:400〜550万円
- 5年目:500〜700万円
自社開発ほどではありませんが、SESよりは高い傾向にあります。
受託開発企業で働くデメリット4つ
受託開発のデメリットも押さえておきましょう。
デメリット1:納期のプレッシャーが大きい
請負契約のため、納期厳守の責任は自社にあります。
プレッシャー:
- 納期遅延は会社の信用問題
- トラブル時は深夜・休日対応も
- 見積もりミスのしわ寄せが開発チームに
SESと違い、成果物への責任が重いのが特徴です。
デメリット2:クライアントワークの大変さ
クライアントの要望に応える必要があり、理不尽な要求もあります。
よくある問題:
- 仕様の頻繁な変更
- 無理な納期設定
- 予算に見合わない要求
「お客様は神様」文化が色濃く残っている業界です。
デメリット3:技術選定の自由度が低い
クライアントの要望や既存システムに合わせる必要があります。
制約:
- 古い技術スタックを使わざるを得ない
- 最新技術は採用しにくい
- クライアントの承認が必要
自社開発ほど、技術的なチャレンジはしにくいです。
デメリット4:案件の波がある
受注状況によって、忙しさに波があります。
問題点:
- 案件がない時期は暇
- 重なる時は激務
- 収益が不安定だと給与にも影響
会社の営業力に左右される側面があります。
あなたに合うのはどれ?タイプ別おすすめ
ここまでの内容を踏まえ、どのタイプの企業が自分に合うか判断しましょう。
SESがおすすめな人
こんな人に向いています:
- 完全未経験からエンジニアになりたい
- まずは実務経験を積みたい
- 様々な現場を経験してみたい
- 短期間で多様な技術に触れたい
- プレッシャーの少ない環境が良い
おすすめの使い方: SESは「エンジニアキャリアの入り口」として1〜3年経験し、スキルを身につけてから自社開発や受託開発に転職するのが賢い選択です。
自社開発がおすすめな人
こんな人に向いています:
- ある程度の実務経験がある(目安:1年以上)
- 自分のサービスを育てたい
- 最新技術を使いたい
- 高年収を目指したい
- リモートワークなど柔軟な働き方を重視
- 技術を深く追求したい
注意点: 未経験からいきなり自社開発を目指すのは難易度が高いです。まずはSESや受託で経験を積むか、プログラミングスクール経由で転職するのが現実的です。
受託開発がおすすめな人
こんな人に向いています:
- 様々な案件に関わりたい
- 企画から納品まで一貫して経験したい
- 客先常駐は避けたい
- SESよりは給与が欲しい
- クライアントワークが苦にならない
ポジション: SESと自社開発の中間的な位置づけです。「広く浅く」経験を積みたい人に向いています。
SES企業を選ぶ際の5つのチェックポイント
もしSES企業を選ぶ場合、以下のポイントを必ずチェックしましょう。
チェック1:何次請けまで行っているか
確認方法: 面接で「御社は主にどのような立ち位置で案件を受注されていますか?」と質問する
理想:
- 一次請け(元請け)が多い
- 最悪でも二次請けまで
三次請け以降がメインの企業は避けるべきです。
チェック2:マージン率はどのくらいか
確認方法: 「エンジニアの単価と給与の関係を教えていただけますか?」と質問する
目安:
- 優良企業:20〜30%
- 普通:30〜40%
- 要注意:40%以上
ただし、企業が正直に答えるとは限りません。口コミサイトも併用しましょう。
チェック3:案件選択の自由度
確認ポイント:
- 案件を選べるか
- 希望を聞いてくれるか
- 強制的にアサインされないか
良い企業: 「基本的には本人の希望を優先します。スキルアップにつながる案件を提案します。」
悪い企業: 「会社が決めた案件に入ってもらいます。」
チェック4:評価制度と昇給
確認ポイント:
- 評価基準は明確か
- 昇給のタイミングと幅
- 資格取得の支援
良い企業: 明確な評価基準があり、年1〜2回の昇給機会があります。
悪い企業: 評価基準が曖昧で、何年働いても給与が上がりません。
チェック5:キャリアパスとサポート体制
確認ポイント:
- キャリア面談の頻度
- 教育研修の充実度
- 社員の定着率
良い企業: 定期的なキャリア面談があり、研修制度が充実しています。
実体験:私がSESから自社開発に転職した理由
最後に、私自身の転職体験をお話しします。
SES時代の経験
新卒で中堅SES企業に入社し、3年間働きました。
1年目:
- 案件:大手銀行の勘定系システム保守
- 業務:テスト工程のみ
- 学び:ほとんどなし
- 年収:350万円
2年目:
- 案件:ECサイトの開発(PHP)
- 業務:機能追加、バグ修正
- 学び:Web開発の基礎
- 年収:380万円
3年目:
- 案件:スマホアプリ開発(Swift)
- 業務:画面実装
- 学び:iOS開発の基礎
- 年収:420万円
3年間で年収は70万円しか上がりませんでした。
転職を決意した3つの理由
理由1:給与の低さ 同期が自社開発企業に転職し、年収が150万円上がったと聞いて、自分の市場価値の低さを実感しました。クライアントには月80万円で売られているのに、自分の年収は420万円(月35万円)。この差に納得できませんでした。
理由2:スキルアップの限界 3年間で様々な技術に触れましたが、どれも表面的でした。「自分は何ができるエンジニアなのか?」と聞かれて、明確に答えられない自分がいました。
理由3:帰属意識の欠如 客先常駐で、自社の同僚とも、客先の社員とも、深い関係を築けませんでした。「自分はどこに属しているのか?」という孤独感が常にありました。
転職活動と結果
転職活動を始め、3ヶ月で内定を獲得しました。
応募企業:
- Web系自社開発:10社
- 受託開発:5社
選考結果:
- 書類通過:6社
- 一次面接通過:4社
- 最終面接:2社
- 内定:1社(Web系自社開発)
内定条件:
- 年収:550万円(+130万円!)
- 勤務地:東京(リモートワーク可)
- 技術:React、Ruby on Rails
- 働き方:フレックスタイム制
SES時代の経験は、意外にも評価されました。「様々な現場を経験した柔軟性」「チーム開発の経験」がプラスに働いたのです。
転職後の変化
転職して2年が経ちますが、人生が大きく変わりました。
年収の変化:
- 入社時:550万円
- 1年後:600万円
- 2年後:650万円(+230万円!)
スキルの変化:
- React、TypeScriptを深く理解
- AWSの設計・構築経験
- チームリーダーの経験
働き方の変化:
- 週4リモートワーク
- フレックスタイム活用
- 副業で月10万円の収入
精神面の変化:
- 自分のサービスを育てる喜び
- チームへの帰属意識
- キャリアへの明確なビジョン
SESから転職して、本当に良かったと心から思っています。
SESから転職するベストタイミング
SESで働いている人に、転職のタイミングをアドバイスします。
タイミング1:1〜3年の実務経験を積んだ後
理由:
- 最低限の実務経験がある
- 基本的な開発の流れを理解している
- まだ若く、ポテンシャル採用が可能
目安:
- 何らかの言語で機能実装ができる
- Gitが使える
- チーム開発の経験がある
私も3年目で転職しましたが、これがベストタイミングだったと思います。
タイミング2:スキルアップが見込めない案件が続いた時
こんな状況:
- 2年以上テストだけ
- 技術的な学びがない
- レガシーな技術しか使わない
このまま続けても、市場価値は上がりません。早めに転職を検討しましょう。
タイミング3:給与が上がらない時
目安:
- 3年働いても年収が50万円以上上がらない
- 評価制度が不透明
- 昇給の見込みがない
給与テーブルが低い企業では、どれだけ頑張っても限界があります。
タイミング4:20代後半になる前
理由:
- 30代になると、ポテンシャル採用が難しくなる
- 即戦力を求められる
- 未経験分野へのキャリアチェンジが困難に
SESから自社開発への転職を考えるなら、20代のうちがベストです。
よくある質問と回答
SES・自社開発・受託開発について、よくある質問にお答えします。
Q1: SESは絶対にやめたほうがいい?
A: 一概には言えません。状況によります。
SESが有効な場合:
- 完全未経験からエンジニアになりたい
- 実務経験を積む場として活用する
- 1〜3年の期間限定と割り切る
避けるべき場合:
- すでに実務経験がある
- 長期的なキャリア形成を考えている
- 高年収を目指している
SESは「キャリアの入り口」として活用し、スキルを身につけたら転職するのが賢い選択です。
Q2: 未経験から自社開発企業に入れますか?
A: 可能ですが、難易度は非常に高いです。
成功する方法:
- プログラミングスクール経由で転職
- 質の高いポートフォリオを作成
- 低レイヤーから応募(スタートアップなど)
- 紹介・リファラル採用を活用
私の知人は、プログラミングスクール経由で未経験から自社開発企業に入りましたが、相当な努力が必要でした。
Q3: SIerとSESの違いは?
A: SIerは元請けとして案件を受注する企業、SESはエンジニアを派遣する企業です。
SIer:
- 案件の元請け(一次請け)
- プロジェクト全体を管理
- 要件定義から参画
SES:
- 下請けとして人材を提供
- 工程の一部のみ担当
- 実装・テストが中心
大手SIerでも、実態はSESと変わらないケースもあります。
Q4: 受託開発とSESはどちらが良い?
A: 一般的には受託開発の方が条件は良いです。
受託開発の優位点:
- 給与がやや高い
- 客先常駐がない
- 企画から関われる
- 帰属意識を持ちやすい
SESの優位点:
- 入社のハードルが低い
- 様々な現場を経験できる
迷うなら、受託開発を選ぶことをおすすめします。
Q5: どのくらいで転職を考えるべき?
A: 1〜3年が目安です。
1年未満: まだ実務経験が浅く、転職市場で評価されにくいです。最低1年は我慢しましょう。
1〜3年: 基礎的なスキルが身につき、転職に最適な時期です。
3年以上: SESでの経験が長すぎると、「なぜ転職しなかったのか?」と質問されることも。ただし、良い案件で成長できていれば問題ありません。
Q6: SESから転職する際のアピールポイントは?
A: 以下のポイントを強調しましょう。
アピールポイント:
- 様々な現場を経験した適応力
- チーム開発の経験
- 複数の技術スタックへの対応力
- コミュニケーション能力
SES経験は、見せ方次第でプラスに変えられます。
Q7: 自社開発から受託開発への転職は損?
A: 一概には言えませんが、給与は下がる可能性があります。
メリット:
- 様々な案件に関われる
- クライアントワークのスキルが身につく
デメリット:
- 給与が下がる可能性
- 納期のプレッシャーが増える
キャリアの方向性をよく考えて判断しましょう。
まとめ:自分に合った働き方を選ぼう
SES・自社開発・受託開発、それぞれに特徴があります。どれが正解ということはなく、自分のキャリアステージや価値観に合わせて選ぶことが重要です。
この記事のポイント:
- SESは客先常駐型、自社開発は自社サービス開発、受託開発は案件受注型
- SESは未経験者の入り口として有効だが、長期的には年収・スキル面で不利
- 自社開発は給与・働き方・スキルアップの面で優れているが、入社難易度が高い
- 受託開発はSESと自社開発の中間的な位置づけ
- SESで1〜3年経験を積んだら、自社開発や受託開発への転職を検討すべき
- 20代のうちに動くことが、キャリア形成で有利
今すぐできること:
- 自分の現在のスキルを棚卸しする
- 3年後になりたいエンジニア像を明確にする
- 転職サイト・エージェントに登録して情報収集
- ポートフォリオの作成・更新を始める
- 業界の最新情報をキャッチアップする
私の経験から言えることは、「現状に不満があるなら、早めに動くべき」ということです。
年齢を重ねるほど、キャリアチェンジは難しくなります。特にSESで働いている人は、1〜3年で次のステップを考えることをおすすめします。
あなたが自分に合った働き方を見つけ、エンジニアとして充実したキャリアを築けることを心から応援しています。
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