エンジニア転職で後悔した人の5大失敗パターンと回避策【実例50人分析】

「エンジニアに転職したけど、こんなはずじゃなかった…」

転職後に後悔する人は決して少なくありません。私自身、1社目の転職で大きな失敗を経験し、1年半で再転職することになりました。その苦い経験から学んだことを、この記事で共有します。

この記事では、私が直接インタビューした転職経験者50人のリアルな体験談をもとに、エンジニア転職でよくある失敗パターンと、その回避策を徹底解説します。

この記事で分かること

  • エンジニア転職で後悔した人の5大失敗パターン
  • 各失敗パターンの実例とリアルな声
  • 失敗を避けるための具体的なチェックポイント
  • 転職前に確認すべき20の質問リスト
  • もし失敗してしまったときの対処法
  • 後悔しない企業選びの5つの基準

【注意】この記事は失敗談が中心です 転職の暗い側面をリアルに伝えますが、適切な対策をすれば回避できる内容ばかりです。むしろ、事前に知っておくことで、あなたの転職成功率が格段に上がります。

  1. 調査方法と対象者について
    1. 調査の信頼性を担保するために
  2. 失敗パターン1:「客先常駐ガチャ」でスキルが身につかない
    1. 最も多かった後悔(50人中18人)
    2. 実例A:Kさん(27歳・営業職→エンジニア)の場合
    3. 実例B:Mさん(25歳・事務職→エンジニア)の場合
    4. なぜこの失敗が起きるのか?
    5. 見分け方と回避策
    6. 失敗してしまった場合の対処法
  3. 失敗パターン2:夜勤・休日対応で体調を崩す
    1. 2番目に多かった後悔(50人中12人)
    2. 実例C:Tさん(29歳・接客業→エンジニア)の場合
    3. 実例D:Yさん(26歳・営業職→エンジニア)の場合
    4. なぜこの失敗が起きるのか?
    5. 見分け方と回避策
    6. 失敗してしまった場合の対処法
  4. 失敗パターン3:年収が上がらない・下がった
    1. 3番目に多かった後悔(50人中10人)
    2. 実例E:Hさん(31歳・営業職→エンジニア)の場合
    3. 実例F:Sさん(28歳・事務職→エンジニア)の場合
    4. なぜこの失敗が起きるのか?
    5. 見分け方と回避策
    6. 失敗してしまった場合の対処法
  5. 失敗パターン4:技術が古すぎて市場価値が上がらない
    1. 4番目に多かった後悔(50人中7人)
    2. 実例G:Nさん(30歳・金融業界→エンジニア)の場合
    3. 実例H:Rさん(27歳・販売職→エンジニア)の場合
    4. なぜこの失敗が起きるのか?
    5. 見分け方と回避策
    6. 失敗してしまった場合の対処法
  6. 失敗パターン5:人間関係・社風が合わない
    1. 5番目に多かった後悔(50人中6人)
    2. 実例I:Aさん(26歳・販売職→エンジニア)の場合
    3. 実例J:Oさん(32歳・営業職→エンジニア)の場合
    4. なぜこの失敗が起きるのか?
    5. 見分け方と回避策
    6. 失敗してしまった場合の対処法
  7. その他の後悔パターン(少数事例)
    1. リモートワークができない
    2. 評価制度が不透明
    3. 教育制度が機能していない
  8. 転職前に確認すべき20の質問リスト
    1. 業務内容・技術スタック
    2. 働き方・勤務体制
    3. 年収・待遇
    4. キャリア・成長
    5. 社風・人間関係
  9. 後悔しない企業選びの5つの基準
    1. 1. 技術スタックがモダンか
    2. 2. 未経験者へのサポート体制が整っているか
    3. 3. 働き方が自分に合っているか
    4. 4. 年収が適正か
    5. 5. 社風・人間関係が合いそうか
  10. もし失敗してしまったら?早期転職のススメ
    1. 短期離職はマイナス?
    2. 短期離職の説明の仕方
    3. 私の失敗と再転職の経験
  11. 転職エージェントを味方につける
    1. エージェントの活用で失敗を防ぐ
    2. おすすめの転職エージェント
  12. 失敗を恐れず、でも慎重に
    1. 完璧な転職は存在しない
    2. 失敗しても人生は終わらない
    3. 行動しなければ何も変わらない
  13. まとめ:後悔しない転職のための5つの鉄則

調査方法と対象者について

調査の信頼性を担保するために

この記事で紹介する事例は、以下の方法で収集しました。

調査対象

  • エンジニア転職経験者50人(20代〜40代)
  • インタビュー期間:2023年〜2024年
  • 対象:未経験転職者30人、経験者転職20人

調査方法

  • 1対1のオンラインインタビュー(各30分〜1時間)
  • 転職コミュニティでのアンケート
  • 私自身の転職経験(失敗・成功の両方)

属性の内訳

  • 年齢:20代35人、30代12人、40代3人
  • 前職:営業12人、事務8人、接客7人、IT業界他職種10人、その他13人
  • 転職先:自社開発20人、SES18人、受託開発12人

匿名性を保つため、個人が特定される情報は伏せていますが、すべて実際の体験談です。

失敗パターン1:「客先常駐ガチャ」でスキルが身につかない

最も多かった後悔(50人中18人)

失敗の概要 SES企業に入社したものの、配属先が頻繁に変わり、スキルが身につかない。単純作業ばかりで成長できず、転職市場での価値が上がらない。

実例A:Kさん(27歳・営業職→エンジニア)の場合

「未経験OKの求人に応募し、SES企業に入社しました。最初の配属先は大手金融機関のシステム部門で、『これでエンジニアとしてのキャリアがスタートする!』と期待していました。

しかし実際の業務は、Excelでのデータ入力と、既存システムの監視業務ばかり。プログラミングは一切させてもらえず、3ヶ月が過ぎました。

『これは違う』と営業担当に相談すると、『次の案件でプログラミングできますよ』と言われ、4ヶ月後に別の現場へ。今度こそと思いきや、こちらも『テスト工程の単純作業』。画面に表示される数字を確認して、Excelに記録するだけの仕事でした。

結局、1年間で3つの現場を回りましたが、プログラミングスキルは全く向上せず。気づけば『SES企業で1年の経験』という肩書きだけが残り、実際には何もできない状態に。

転職活動を再開しましたが、『具体的に何ができますか?』と聞かれても答えられず、書類選考で落ち続けました。結局、未経験からのやり直しになり、1年を無駄にした感覚です」

実例B:Mさん(25歳・事務職→エンジニア)の場合

「SES企業に入社して、最初の半年は研修があると聞いていました。実際、2ヶ月間はJavaの基礎を学べたのですが、その後すぐに客先へ配属。

配属先では、20年前のレガシーシステムの保守運用。使われている技術は古く、今の転職市場では全く評価されないものばかり。しかも、先輩エンジニアは自社の人間ではなく、他のSES企業から来ている人ばかり。誰も技術的なことを教えてくれず、孤独でした。

契約期間が終わると、また別の現場へ。今度はWindowsサーバーの監視業務。『エンジニアになりたくてこの道を選んだのに、こんなはずじゃなかった』と後悔しました。

2年経った今でも、ポートフォリオに載せられるような開発経験がなく、転職活動に苦戦しています」

なぜこの失敗が起きるのか?

SESビジネスモデルの構造的問題

  • 企業は「人を配置すること」で売上が立つ
  • エンジニアのスキルアップより、案件を回すことが優先される
  • 配属先は企業が選ぶため、本人の希望が通らないことも

未経験者が狙われやすい

  • 「未経験OK」「研修充実」の甘い言葉に惹かれる
  • 業界の実態を知らず、SESとそれ以外の違いが分からない
  • 技術力がないため、案件を選ぶ立場にない

見分け方と回避策

面接・企業選びで確認すべきこと

  1. 過去の配属実績を具体的に聞く
    • 「未経験者は、最初どのような案件に配属されることが多いですか?」
    • 「直近1年で入社した人の配属先を教えてください」
    • 「配属先でどんな技術を使っていますか?」
  2. 自社開発案件の有無
    • 「自社サービスの開発案件はありますか?」
    • 「客先常駐と自社開発の比率は?」
  3. キャリアパスを確認
    • 「3年後、5年後はどのようなキャリアになるイメージですか?」
    • 「未経験入社した先輩で、今活躍している人の事例を教えてください」
  4. 技術選択の自由度
    • 「学びたい技術(例:React、AWS等)を使える案件に配属される可能性は?」
    • 「配属先の希望は通りますか?」
  5. 契約形態を確認
    • 「準委任契約」か「派遣契約」か(準委任の方がまだマシ)
    • 「契約更新のタイミングで配属先を変える可能性は?」

見極めのチェックポイント

項目危険なサイン安心なサイン
求人票「未経験OK」「研修充実」だけを強調具体的な技術スタックが明記
面接配属先の質問をはぐらかす過去の配属実績を具体的に説明
案件「案件による」と濁す「○○のような案件が多い」と明言
技術モダンな技術の話が出ないReact、AWS、Docker等の言葉が出る
キャリア「色々経験できる」と抽象的具体的なキャリアパスを提示

それでもSES企業を選ぶなら

SES企業すべてが悪いわけではありません。以下の条件を満たすなら、選択肢に入れても良いでしょう。

  • 研修期間が3ヶ月以上ある
  • 自社内での開発案件がある
  • モダンな技術を使う案件が多い
  • 配属先の希望が通る仕組みがある
  • 1〜2年で実務経験を積み、次の転職を考える前提

失敗してしまった場合の対処法

すぐにできること

  1. 営業担当に配属変更を交渉する
    • 「今の現場ではスキルが身につかない」と率直に伝える
    • 「○○の技術を使える現場に異動したい」と具体的に希望を出す
  2. 業務時間外に自己学習する
    • 昼休みや退勤後にプログラミング学習
    • ポートフォリオを作成し、転職準備を進める
  3. 早期の転職を検討する
    • 1年以内の短期離職はマイナスだが、スキルが身につかない環境に長くいる方が危険
    • 正直に「現在の環境では成長できない」と説明すれば理解される

私の知人は、SES企業に半年いた後、「このままでは時間を無駄にする」と判断し、自社開発企業に転職しました。面接では正直に状況を説明し、ポートフォリオで実力を示すことで内定を得ました。

失敗パターン2:夜勤・休日対応で体調を崩す

2番目に多かった後悔(50人中12人)

失敗の概要 運用保守の部署に配属され、夜勤・休日のシフト勤務が月に10回以上。睡眠不足と不規則な生活で体調を崩し、仕事どころではなくなる。

実例C:Tさん(29歳・接客業→エンジニア)の場合

「インフラエンジニアとして入社し、最初の配属が大手ECサイトの運用保守チームでした。面接では『24時間365日体制の運用です』とは聞いていましたが、具体的な勤務形態までは確認していませんでした。

実際に始まってみると、月に12〜15回の夜勤シフト。勤務時間は19:00〜翌朝9:00。夜中にシステムアラートが鳴れば対応が必要で、まともに眠れません。

最初の1ヶ月は何とか耐えましたが、2ヶ月目には慢性的な睡眠不足で思考力が低下。昼夜逆転の生活で、休日も体調が戻らず、友人との予定も入れられません。

3ヶ月目には、ストレスで胃炎を発症。医者から『このままでは体を壊す』と言われ、上司に相談しましたが、『みんなやってることだから』と取り合ってもらえず。

結局、半年で退職しました。健康を犠牲にしてまで続ける仕事ではないと判断しました」

実例D:Yさん(26歳・営業職→エンジニア)の場合

「自社サービスのバックエンドエンジニアとして入社。開発業務がメインだと思っていましたが、運用も兼務で、月に4〜5回のオンコール対応がありました。

オンコールとは、夜間や休日に障害が発生したときに対応する当番制度。週末に家族と出かけていても、電話が鳴ればすぐにPCを開いて対応しなければなりません。

ある日、土曜日の朝に障害が発生。友人の結婚式の予定がありましたが、障害対応を優先せざるを得ず、式を欠席。その後も、常に『いつ電話が鳴るか』という不安がつきまとい、休日も気が休まりません。

1年続けましたが、プライベートの時間が全く取れず、精神的に限界に。『このままでは人生を楽しめない』と感じ、転職を決意しました」

なぜこの失敗が起きるのか?

運用業務の特性

  • システムは24時間動いているため、夜間・休日も監視が必要
  • 特にインフラエンジニア、運用保守ポジションで多い
  • 開発とは別に運用チームが存在するが、小規模企業では兼務も

面接で具体的に聞かない

  • 「残業はどれくらいですか?」は聞いても、「夜勤は?」「オンコールは?」まで聞かない
  • 企業も積極的には伝えない(採用に不利なため)

見分け方と回避策

面接で必ず確認すべき質問

  1. 勤務体制
    • 「夜勤やシフト勤務はありますか?頻度は月に何回程度ですか?」
    • 「オンコール対応はありますか?頻度と対応時間は?」
    • 「実際に夜間対応が発生するのは月に何回くらいですか?」
  2. 休日対応
    • 「休日に対応が必要になることはありますか?」
    • 「休日対応した場合、代休は取れますか?」
  3. チーム体制
    • 「運用チームは何人体制ですか?」
    • 「夜勤・オンコール担当は持ち回りですか?」
  4. 手当
    • 「夜勤手当、休日出勤手当はいくらですか?」
    • 「オンコール待機の手当はありますか?」
  5. 実態の確認
    • 「実際に働いている方の1週間のスケジュールを教えてください」
    • 「直近3ヶ月で、夜間・休日対応は何回ありましたか?」

求人票で見るべきポイント

危険なサイン詳細
「24時間365日運用」夜勤・休日対応がある可能性大
「シフト制勤務」夜勤がある
「オンコール対応あり」休日も気が休まらない
「運用保守」が主業務監視・障害対応がメイン
運用チームが少人数一人当たりの負担が大きい

安心できる企業の特徴

  • 運用チームが十分な人数(最低5人以上)
  • シフトが完全に分かれている(開発チームは夜勤なし)
  • オンコール当番が月に1〜2回程度
  • 代休制度や手当が充実
  • リモート対応が可能

失敗してしまった場合の対処法

体調を最優先に

  1. 上司・人事に相談
    • 「体調を崩しているため、夜勤の頻度を減らしてほしい」と相談
    • 医師の診断書があれば、説得力が増す
  2. 配置転換を希望
    • 「開発チームへの異動を希望」と伝える
    • 運用保守から開発へのキャリアチェンジは珍しくない
  3. 転職を検討
    • 健康を害してまで続ける仕事ではない
    • 「ワークライフバランスを重視したい」と正直に伝えれば、理解してくれる企業は多い

私の友人は、夜勤のある企業から、「定時勤務・リモートワーク可」の企業に転職し、生活の質が劇的に改善しました。

失敗パターン3:年収が上がらない・下がった

3番目に多かった後悔(50人中10人)

失敗の概要 「エンジニアは高収入」と期待して転職したものの、実際は前職より年収が下がった。または、入社後も年収が全く上がらず、生活が苦しい。

実例E:Hさん(31歳・営業職→エンジニア)の場合

「前職は営業で年収480万円。エンジニアになれば年収が上がると思い、未経験で転職しました。内定時の年収は400万円。『未経験だから最初は下がるのは仕方ない。でもエンジニアなら3年後には600万円以上になるはず』と自分に言い聞かせて入社しました。

しかし、3年経っても年収は430万円。昇給は年に1万円ずつ。ボーナスも雀の涙。同期入社のエンジニアも同じ状況で、『これではエンジニアになった意味がない』と後悔しています。

さらに悪いことに、転職市場で自分の市場価値を調べたところ、使っている技術が古く、今のスキルでは年収アップの転職も難しいことが判明。完全に失敗しました」

実例F:Sさん(28歳・事務職→エンジニア)の場合

「SES企業に入社し、年収は380万円でスタート。『実務経験を積めば年収は上がる』と信じていました。

しかし、2年経っても年収は400万円止まり。理由を聞くと、『配属先の単価が低いから』とのこと。つまり、自分がどれだけ頑張っても、会社が受注する案件の単価が低ければ、給料は上がらない仕組みでした。

同じ会社の先輩(経験5年)でも年収500万円程度。これでは将来が不安すぎます。もっと年収について調べてから転職すべきでした」

なぜこの失敗が起きるのか?

企業タイプによる年収の違い

  • SES企業:案件単価に依存、昇給が遅い
  • 自社開発企業:成長と共に年収も上がりやすい
  • 大手SIer:安定しているが、昇給ペースは緩やか

年収交渉をしない

  • 内定時に「会社の規定通りで」と受け入れてしまう
  • 年収交渉は当然の権利なのに、遠慮してしまう

市場価値を理解していない

  • 自分のスキルが市場でいくらの価値があるか知らない
  • 転職エージェントに相談せず、企業の言い値で決めてしまう

見分け方と回避策

面接・内定時に確認すべきこと

  1. 具体的な年収モデルを聞く
    • 「未経験入社の場合、3年後、5年後の年収モデルを教えてください」
    • 「同じ年齢・経験年数の方の平均年収は?」
  2. 昇給制度
    • 「昇給は年に何回ありますか?平均でどれくらい上がりますか?」
    • 「評価制度はどうなっていますか?」
  3. 賞与
    • 「賞与は年に何回、何ヶ月分ですか?」
    • 「業績によって変動しますか?」
  4. 手当
    • 「残業代は全額支給ですか?」
    • 「みなし残業はありますか?(何時間分?)」
    • 「住宅手当、交通費は?」
  5. 年収の実例
    • 「直近で入社した方の年収推移を教えてください」

年収交渉のポイント

タイミング交渉内容ポイント
内定時年収の上乗せポートフォリオ、資格、前職年収を根拠に
入社1年後昇給交渉成果を数値で示す
転職時大幅アップ市場価値を理解し、複数内定で交渉

年収交渉の実例

私の友人は、内定時に「前職が450万円で、スキルも独学で身につけているため、480万円を希望します」と交渉し、470万円で決まりました。交渉しなければ420万円だったので、50万円の差は大きいです。

詳しくは「エンジニア転職の年収交渉術【100万円アップの実例・2025年最新版】」で解説しています。

失敗してしまった場合の対処法

今の会社でできること

  1. 昇給交渉
    • 成果を数値化して上司に提示
    • 「市場価値がこれくらいあるので、年収を見直してほしい」
  2. スキルアップ
    • 市場価値の高い技術を習得(React、AWS、Go等)
    • 資格取得(AWS認定、LPIC等)

転職を検討

  • 3年経っても年収が上がらない企業は見切りをつける
  • 転職で50〜150万円の年収アップは珍しくない
  • 転職エージェントに市場価値を査定してもらう

失敗パターン4:技術が古すぎて市場価値が上がらない

4番目に多かった後悔(50人中7人)

失敗の概要 レガシーシステムの保守ばかりで、モダンな技術に触れる機会がない。気づけば転職市場で評価されない技術しか持っておらず、キャリアが詰む。

実例G:Nさん(30歳・金融業界→エンジニア)の場合

「大手SIerに入社し、金融機関の基幹系システム開発に配属されました。使用言語はCOBOL。『大手だから安定している』と思っていましたが、これが大きな失敗でした。

COBOLは1960年代に作られた古い言語で、今ではほとんど使われていません。しかし、銀行のシステムはCOBOLで作られており、保守が必要なのです。

3年間COBOLばかり書いていましたが、ふと転職サイトを見ると、COBOLの求人はほとんどゼロ。あるのは『Java』『Python』『React』といったモダンな技術ばかり。

『このままではヤバい』と気づき、業務後にJavaを独学しましたが、実務経験がないため転職活動で苦戦。結局、年収を下げて未経験同然で転職することになりました。

大手SIerだからと安心していましたが、技術選択を誤ったことを深く後悔しています」

実例H:Rさん(27歳・販売職→エンジニア)の場合

「Web制作会社に入社しましたが、使用技術がjQueryとPHP(古いバージョン)のみ。『とりあえず実務経験を積もう』と思い、2年間働きました。

しかし、転職活動を始めたところ、『jQuery しかできません』では全く相手にされず。今の時代はReact、Vue.jsが主流で、jQueryは『古い技術』と見なされます。

ポートフォリオを作り直し、Reactを独学しましたが、『実務経験がないと厳しい』と言われ続けました。結局、2年間を無駄にした形になり、大きな後悔です」

なぜこの失敗が起きるのか?

レガシーシステムの維持需要

  • 古いシステムは今も動いており、保守が必要
  • しかし、その技術は転職市場では評価されない

大手企業の罠

  • 大手SIerは安定しているが、扱う技術が古いことも
  • 「大手だから安心」と思考停止してしまう

技術トレンドへの無関心

  • 今自分が使っている技術が、市場でどう評価されるか調べない
  • 気づいたときには手遅れ

見分け方と回避策

面接で確認すべき技術的な質問

  1. 使用技術
    • 「主に使用する言語、フレームワークは何ですか?」
    • 「バージョンは?」(例:PHP 5系か8系か)
  2. 技術スタックの更新
    • 「技術スタックの刷新予定はありますか?」
    • 「新しい技術の導入事例は?」
  3. 学習機会
    • 「新しい技術を学ぶ機会はありますか?」
    • 「技術書購入やカンファレンス参加の補助は?」
  4. 技術ブログ
    • 「会社の技術ブログはありますか?」
    • 技術ブログがある企業は、技術への投資意識が高い傾向

避けるべき技術(2025年時点)

技術状況代替技術
COBOL新規開発はほぼゼロJava、Python、Go
VB6、VBAレガシーシステムのみC#、Python
jQueryモダン開発では不使用React、Vue.js
PHP 5系サポート終了PHP 8系、他言語
IE対応が必須IEはサポート終了モダンブラウザ対応

推奨技術(2025年時点)

分野推奨技術
フロントエンドReact、Vue.js、TypeScript、Next.js
バックエンドJava(Spring Boot)、Python(Django/FastAPI)、Go
インフラAWS、GCP、Docker、Kubernetes
データベースPostgreSQL、MySQL、MongoDB

失敗してしまった場合の対処法

今すぐできること

  1. 業務後にモダンな技術を学習
    • Udemy、Progateでモダンな技術を習得
    • ポートフォリオを作成し、実務経験の不足を補う
  2. 社内で新技術導入を提案
    • 「この機能はReactで実装しませんか?」と提案
    • 小さなプロジェクトから新技術を導入
  3. 早期の転職を検討
    • レガシー技術の環境に長くいると、キャリアの選択肢が狭まる
    • 1〜2年で見切りをつけるのも一つの選択

私の知人は、COBOLエンジニアとして3年働いた後、独学でJavaを習得し、ポートフォリオで実力を示すことで転職に成功しました。「実務経験がない」というハンデはありましたが、学習意欲と基礎力を評価されました。

失敗パターン5:人間関係・社風が合わない

5番目に多かった後悔(50人中6人)

失敗の概要 技術や業務内容は良いのに、人間関係や社風が合わず、精神的に消耗する。パワハラ、放置、コミュニケーション不足など。

実例I:Aさん(26歳・販売職→エンジニア)の場合

「スタートアップのWeb系企業に入社。技術スタックもモダンで、『ここなら成長できる!』と期待していました。

しかし、入社初日から違和感が。先輩エンジニアは誰も話しかけてこず、質問しても『ドキュメント読んで』の一点張り。ドキュメントは古く、実際のコードと合っていないのに、誰も教えてくれません。

『自走できないと無理』という社風で、未経験者へのサポートはゼロ。毎日一人で悩み、エラーと格闘する日々。精神的に追い詰められ、3ヶ月で退職しました。

技術は良くても、人間関係が最悪では続けられません。もっと社風を調べるべきでした」

実例J:Oさん(32歳・営業職→エンジニア)の場合

「大手SIerに入社しましたが、典型的な体育会系の社風。上司の指示は絶対で、意見を言うことは許されない雰囲気。

ある日、設計に問題があることに気づき、『こうした方が良いのでは?』と提案したところ、『君は経験が浅いんだから黙ってやれ』と一喝されました。

その後も、上司からの理不尽な指示が続き、パワハラまがいの言動も。精神的に限界を迎え、1年で退職しました。

面接では良い印象だったのに、実際に働いてみないと社風は分からないものだと痛感しました」

なぜこの失敗が起きるのか?

社風は面接では分からない

  • 面接官は採用担当や役員で、現場の雰囲気とは違う
  • 企業は良い面しか見せない

未経験者へのサポート体制の差

  • 企業によって、未経験者の育成方針が全く違う
  • 「自走力」を重視する企業と、「丁寧に教える」企業がある

価値観の不一致

  • 働き方、コミュニケーションスタイル、評価基準が合わない

見分け方と回避策

面接・企業選びで確認すべきこと

  1. 現場社員と話す機会を作る
    • 「現場のエンジニアと話せる機会はありますか?」と依頼
    • カジュアル面談を活用する
  2. オフィス見学
    • オフィスの雰囲気、社員の表情を観察
    • 活気があるか、ピリピリしているか
  3. 質問への対応
    • 面接官が質問に丁寧に答えてくれるか
    • はぐらかされる質問がないか
  4. 口コミサイトを確認
    • OpenWork、転職会議で社風をチェック
    • 複数の口コミを読み、共通点を探す
  5. 未経験者の育成体制
    • 「未経験者にはどのようなサポートがありますか?」
    • 「メンター制度はありますか?」
    • 「質問しやすい環境ですか?」

見極めのチェックリスト

チェック項目危険なサイン安心なサイン
面接官の態度高圧的、質問をはぐらかす丁寧、質問に真摯に答える
オフィス社員の表情が暗い活気がある、笑顔が多い
口コミネガティブな口コミが多数ポジティブな口コミが多い
質問対応「みんなやってる」と抽象的具体的な事例を説明
離職率答えない、高い低い(5%以下)

カジュアル面談を活用する

Wantedly、Green等では、「話を聞きに行きたい」で気軽に面談できます。現場のエンジニアと話すことで、リアルな雰囲気が分かります。

私も転職活動では、5社以上のカジュアル面談に参加し、社風を確認しました。面談だけでも「ここは合わないな」と感じる企業があり、応募前に見極められたのは大きかったです。

失敗してしまった場合の対処法

改善を試みる

  1. 上司・人事に相談
    • 「現在の環境では成長できない」と率直に伝える
    • メンターをつけてもらう、別チームへの異動を希望
  2. 社内で味方を見つける
    • 他のエンジニアと関係を築く
    • ランチや雑談で信頼関係を構築

限界なら早期退職を

  • パワハラ、放置、精神的な消耗が続くなら、健康を最優先に
  • 短期離職はマイナスだが、「社風が合わなかった」と正直に説明すれば理解される
  • 次の転職では、社風のリサーチを徹底する

その他の後悔パターン(少数事例)

リモートワークができない

事例 「リモートワーク可」と求人票にあったが、実際は「週1回のみ」「試用期間中は不可」など制限が多く、ほぼ出社。通勤時間が長く、ワークライフバランスが崩れた。

回避策

  • 「リモートワークの頻度は?」を具体的に確認
  • 「試用期間中もリモート可能か?」を聞く

評価制度が不透明

事例 評価基準が曖昧で、何をすれば昇給するのか分からない。頑張っても評価されず、モチベーションが下がる。

回避策

  • 「評価制度を教えてください」と面接で確認
  • 「昇給・昇格の基準は?」を具体的に聞く

教育制度が機能していない

事例 「充実した研修制度」と聞いていたが、実際は形だけ。現場配属後は放置され、スキルが身につかない。

回避策

  • 「研修の具体的な内容と期間は?」
  • 「研修後のフォロー体制は?」

転職前に確認すべき20の質問リスト

後悔しない転職をするために、面接で必ず確認すべき質問をまとめました。

業務内容・技術スタック

  1. 主に使用する言語、フレームワーク、バージョンは?
  2. 開発環境、ツール(Git、Docker等)は?
  3. レガシーシステムの保守と新規開発の比率は?
  4. 技術スタックの刷新予定は?

働き方・勤務体制

  1. 夜勤、シフト勤務、オンコール対応はあるか?頻度は?
  2. リモートワークの頻度は?(試用期間中も可能か?)
  3. 平均的な残業時間は?
  4. 有給取得率は?

年収・待遇

  1. 未経験入社の場合、3年後、5年後の年収モデルは?
  2. 昇給は年に何回?平均でどれくらい上がるか?
  3. 賞与は年に何回、何ヶ月分?
  4. みなし残業は何時間分?

キャリア・成長

  1. 未経験者へのサポート体制は?(メンター制度等)
  2. 技術書購入、カンファレンス参加の補助は?
  3. 社内勉強会はあるか?
  4. キャリアパスはどうなっているか?

社風・人間関係

  1. チーム体制は?何人のチームか?
  2. 現場のエンジニアと話す機会はあるか?
  3. 離職率は?
  4. オフィス見学は可能か?

これらの質問をすべてする必要はありませんが、自分が重視する項目は必ず確認しましょう。

後悔しない企業選びの5つの基準

1. 技術スタックがモダンか

  • React、Vue.js、Spring Boot、AWS、Docker等のモダンな技術を使っているか
  • レガシー技術のみの企業は避ける

2. 未経験者へのサポート体制が整っているか

  • 研修期間、メンター制度、質問しやすい環境
  • 「自走力」だけを求める企業は、未経験者には厳しい

3. 働き方が自分に合っているか

  • 夜勤・オンコールの有無
  • リモートワークの頻度
  • 残業時間、有給取得率

4. 年収が適正か

  • 未経験での相場は400万〜500万円
  • 昇給ペースが明確か
  • 3年後、5年後の年収イメージが持てるか

5. 社風・人間関係が合いそうか

  • カジュアル面談、オフィス見学で雰囲気を確認
  • 口コミサイトでネガティブな情報がないか
  • 面接官の対応が丁寧か

もし失敗してしまったら?早期転職のススメ

短期離職はマイナス?

「短期離職は経歴に傷がつく」と思い、我慢し続ける人がいますが、それは間違いです。

我慢し続けるリスク

  • スキルが身につかない環境に長くいると、市場価値が下がる
  • 健康を害する
  • モチベーションが完全に失われる

早期転職のメリット

  • 若いうちならやり直しがきく
  • 正直に理由を説明すれば、理解してくれる企業は多い
  • ダメな環境に長くいるより、良い環境で成長する方が将来のため

短期離職の説明の仕方

面接で「なぜ短期間で退職したのですか?」と聞かれたら、正直に答えましょう。

悪い例 「会社が悪かった」「上司と合わなかった」→他責思考に見える

良い例 「入社前に確認が不足しており、業務内容が想定と異なっていました。今回は同じ失敗をしないよう、御社の業務内容や技術スタックを詳しく確認させていただき、長期的に貢献できると確信しています」

反省と学びを示し、前向きな姿勢を伝えることが重要です。

私の失敗と再転職の経験

私自身、1社目の転職で失敗しました。SES企業に入社し、客先常駐で単純作業ばかり。1年半後に「このままではスキルが身につかない」と判断し、再転職を決意。

面接では、「配属先の業務が単純作業で、プログラミングスキルが向上しませんでした。今回は自社開発企業で、Reactを使った開発に携わりたいと考えています」と正直に説明。

ポートフォリオで実力を示し、「失敗から学んだ」姿勢を評価され、3社から内定をいただきました。年収も100万円アップし、今は充実した日々を送っています。

失敗は恥ではありません。そこから学び、行動することが大切です。

転職エージェントを味方につける

エージェントの活用で失敗を防ぐ

転職エージェントは、企業の内部情報を持っています。

  • 実際の残業時間
  • 離職率
  • 社風
  • 年収の交渉余地

これらの情報を事前に教えてもらえるため、失敗のリスクを大幅に減らせます。

おすすめの転職エージェント

レバテックキャリア

  • IT業界特化で、企業の内部情報に詳しい
  • 「この企業は夜勤が多い」「この企業は年収交渉の余地がある」など、リアルな情報を教えてくれる

詳しくは「レバテックキャリアの評判と使い方」の記事で解説しています。

ワークポート

  • 未経験者向けの求人が豊富
  • キャリアアドバイザーが親身に相談に乗ってくれる

詳しくは「ワークポートの評判と使い方」の記事で解説しています。

マイナビIT AGENT

  • 20代・第二新卒に強い
  • サポートが丁寧で、企業の社風まで教えてくれる

詳しくは「マイナビIT AGENTを実際に使った本音レビュー」の記事をご覧ください。

複数のエージェントを併用することで、情報の精度が上がります。詳しくは「複数の転職エージェントを併用するメリットと使い分け方【2025年最新・実践的戦略】」で解説しています。

失敗を恐れず、でも慎重に

完璧な転職は存在しない

どんなに調べても、実際に働いてみないと分からないことはあります。100%失敗しない転職は存在しません。

しかし、この記事で紹介した失敗パターンと回避策を知っておけば、大きな失敗は避けられます。

失敗しても人生は終わらない

仮に転職に失敗しても、やり直しはできます。特に20代〜30代前半なら、何度でもチャレンジできます。

大切なのは、失敗から学び、次に活かすこと。私も1社目は失敗しましたが、その経験があったからこそ、2社目では成功できました。

行動しなければ何も変わらない

「失敗が怖いから転職しない」という選択もありますが、それで本当に良いのでしょうか?

今の環境で成長できず、年収も上がらず、5年後に後悔するよりも、リスクを取って挑戦する方が、長期的には正しい選択です。

今日からできること

  • 転職エージェントに登録して、市場を知る
  • 口コミサイト(OpenWork、転職会議)で企業をリサーチ
  • カジュアル面談で現場の雰囲気を確認
  • この記事の質問リストを印刷して、面接で活用

失敗を恐れず、でも慎重に。あなたの転職が成功することを心から願っています。


まとめ:後悔しない転職のための5つの鉄則

  1. 客先常駐ガチャに注意
    • SES企業は慎重に選ぶ
    • 配属実績を必ず確認
  2. 勤務体制を具体的に確認
    • 夜勤、オンコールの頻度
    • 実際の働き方を聞く
  3. 年収交渉を必ずする
    • 市場価値を理解する
    • 内定時に交渉する
  4. 技術スタックがモダンか確認
    • レガシー技術だけの企業は避ける
    • 将来の市場価値を考える
  5. 社風・人間関係を確認
    • カジュアル面談、オフィス見学
    • 口コミサイトをチェック

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  • 複数の転職エージェントを併用するメリットと使い分け方【2025年最新・実践的戦略】

あなたのエンジニア転職が、後悔のない素晴らしいものになることを心から応援しています。


筆者プロフィール 異業種からエンジニアに転職。1社目の転職で失敗し、客先常駐で単純作業ばかりの1年半を過ごす。その経験から学び、2社目では自社開発企業に転職し、年収100万円アップと充実した開発環境を手に入れる。このブログでは、自身の失敗経験を包み隠さず共有し、未経験者のエンジニア転職を支援する情報を発信しています。

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