「転職するなら、いつがベストタイミング?」「求人が多い時期はいつ?」「今すぐ動くべき?それとも待つべき?」
エンジニアの転職を成功させるには、タイミングが重要です。求人数が多い時期、企業の採用意欲が高い時期を狙えば、選択肢が広がり、条件交渉も有利に進められます。
2025年の転職市場データを見ると、ITエンジニアの求人倍率は7.10倍(doda調査)、有効求人倍率は3.17倍(東京ハローワーク)と、引き続き高水準で推移しています。転職希望者数は前年同月比で173%と過去最高を記録し、転職市場は活発化しています。
本記事では、異業種からエンジニア転職を経験した筆者が、2025年最新のデータをもとに、エンジニアが転職すべきベストタイミングを徹底解説します。月別の求人動向、年齢・経験年数による最適時期、そして「今すぐ動くべきか」の判断基準まで、あなたの転職を成功に導く全知識をお届けします。
エンジニア転職市場の現状【2025年最新データ】
求人倍率の推移
エンジニアの転職市場は、一般職種と比較して圧倒的な売り手市場です。
2025年の求人倍率
dodaの「転職求人倍率レポート(2025年2月)」によると、IT・通信業界の求人倍率は7.10倍です。これは全体平均の2.46倍と比較して約3倍の数字であり、1人の転職希望者に対して約7件の求人がある計算になります。
東京ハローワークの「職種別有効求人・求職状況」では、IT技術関連職の有効求人倍率は3.17倍で、職種全体平均の1.48倍を大きく上回っています。
過去の推移
2025年8月の新規有効求人倍率は3.3倍でした。前月比でマイナス0.1ポイントの微減ですが、依然として高い水準を維持しています。
過去のデータを見ると、2024年8月は3.8倍、2023年8月は3.6倍と、若干の減少傾向は見られるものの、エンジニア不足の状況は変わっていません。
レバテックキャリアのデータ
2023年12月時点でのITエンジニア・クリエイター正社員転職求人倍率は12.0倍に達しています。これは、エンジニア特化型の転職サービスにおける数字で、一般的な転職市場以上に売り手市場であることを示しています。
転職希望者数の増加
企業の採用ニーズが高い一方で、転職を希望するエンジニアも急増しています。
過去最高を記録
レバテックキャリアの調査では、IT人材の転職希望者数が前年同月比173%と過去最高を記録しました。政府が推進する「転職しやすい労働市場改革」や賃上げ促進税制により、IT人材の流動性が高まっています。
登録者の急増
dodaの「ITエンジニア中途採用マーケットレポート(2025年6月発行)」では、2025年5月の登録者数が過去1年で最多を記録しました。前3カ月期と比べると115%で推移しています。
年齢層の傾向
登録者の年齢構成を見ると、30歳以下の若年層が全体の59%を占めています。多くの若手エンジニアが、早い段階から将来のキャリアについて情報収集を行っていることが分かります。
求人数の季節変動
エンジニアの求人数は、年間を通じて一定ではありません。季節による変動があります。
2025年の動向
typeの調査によると、2025年9月のITエンジニア求人数は1.0倍で、年間を通して求人倍率が大きく変動することなく、安定した水準で推移しています。市場全体として急激な求人増加や減少は見られません。
年度末・年度始めの影響
dodaのマーケットレポートでは、2025年に入り年度末・年度始め付近で、採用計画の見直しや充足クローズなどから、求人数は継続して減少傾向にあったと報告されています。
ただし、減少といっても前3カ月対比で98%程度であり、大幅な落ち込みではありません。大手・中小のSIerや、自社サービスを持つ企業、コンサルティングファームなど、採用を強化している企業も多く見受けられます。
エンジニア不足の深刻さ
求人倍率の高さは、エンジニア不足の深刻さを物語っています。
2030年には79万人不足
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要と供給のギャップは拡大し続けています。需要が供給を上回り、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると試算されています。
労働人口の減少
国内の労働人口、特に若年人口は減少が見込まれており、エンジニアの供給はますます不足します。この構造的な問題は、今後も続くと考えられます。
採用難の継続
企業の採用ニーズは高いものの、「同じ経験を持つ人材の獲得」「即戦力」を狙っているため、採用が難航している現状があります。
こうしたデータから、エンジニアの転職市場は「いつ動いても求人はある」状況と言えます。ただし、より条件の良い求人を狙うには、タイミングを見極めることが重要です。
月別の転職市場動向
1月〜3月:転職のピークシーズン
年度末に向けて、企業の採用活動が最も活発になる時期です。
求人数の特徴
1月は、新年度(4月)の体制を整えるため、多くの企業が求人を出します。特に大手企業やSIerは、4月入社に向けた採用を強化します。
dodaのデータでは、2025年1月に登録者数が大幅に増加し、250名を超えて過去最高を記録しました。企業側も、この時期の転職希望者の増加を見越して求人を増やします。
メリット
- 求人数が多く、選択肢が豊富
- 4月入社に向けたスケジュールが組みやすい
- ボーナス(12月)をもらってから転職活動できる
- 新年度の体制整備で、企業の採用意欲が高い
デメリット
- 転職希望者も多く、競争率が高い
- 選考プロセスが混雑し、時間がかかる場合も
- 年度末で現職が忙しく、転職活動の時間が取りにくい
おすすめする人
- 4月入社を希望する人
- 多くの求人から選びたい人
- 大手企業への転職を希望する人
4月〜6月:新年度の追加採用
新年度が始まり、想定していた採用が充足できなかった企業が、追加採用を行う時期です。
求人数の特徴
4月入社で十分な人員を確保できなかった企業や、急な欠員が出た企業が、追加で求人を出します。また、新年度の予算が確定し、新規プロジェクトの立ち上げに伴う採用も見られます。
ただし、1〜3月と比べると求人数はやや落ち着きます。
メリット
- 1〜3月ほど競争が激しくない
- 急募案件では、スピード選考が期待できる
- GW明けの5月は、転職を考え始める人が増えるタイミング
- 新規プロジェクトのコアメンバーとして入れる可能性
デメリット
- 1〜3月と比べると求人数は少なめ
- 4月入社の新人育成で、現場が忙しく選考が遅れる場合も
おすすめする人
- 競争を避けつつ、良い求人を探したい人
- 急いで転職したい人(急募案件を狙える)
- 新規プロジェクトに最初から関わりたい人
7月〜9月:下半期に向けた採用強化
夏のボーナスを機に転職を考える人が増え、企業も10月入社に向けて採用活動を強化します。
求人数の特徴
10月は企業の下半期スタートにあたり、1月と並んで求人が増える時期です。7〜8月から選考を始め、10月入社を目指す採用が活発化します。
dodaの調査では、2025年7〜9月にかけて転職希望者数が増加傾向にありました。物価上昇による生活や将来への不安から、年収アップを目指す転職希望者が増えているのが要因です。
メリット
- 10月入社に向けた求人が豊富
- 夏のボーナス(6月)をもらってから転職活動できる
- 下半期の新規プロジェクトに参画できる
- 年末年始の繁忙期前に転職を完了できる
デメリット
- 夏休みシーズンで、企業の採用担当者が不在の場合も
- 選考スケジュールが長引く可能性
- 7〜8月は転職希望者がやや少なく、企業の採用意欲も夏休み前は控えめ
おすすめする人
- 10月入社を希望する人
- 夏のボーナスをもらってから辞めたい人
- 下半期の新規プロジェクトに関わりたい人
10月〜12月:年内決着を目指す
年内に転職を決めたい人と、来年度の体制を固めたい企業の需給が一致する時期です。
求人数の特徴
10月は下半期スタートで求人が出る一方、11〜12月は年末に向けて求人数がやや減少傾向にあります。ただし、来年1月入社に向けた採用活動は11月から本格化します。
dodaの予測では、例年11月までは翌年1月入社に向けた活動が続くため、転職希望者数は増加すると考えられています。
メリット
- 年内に転職を完了できる
- 来年度の予算確保に向けて、企業の採用意欲が高まる時期
- 年末のボーナス(12月)をもらうか、新天地で新年を迎えるか選べる
- 競争相手が少ない(年末は転職活動を控える人が多い)
デメリット
- 11〜12月は求人数がやや減少
- 年末年始で選考プロセスが止まる可能性
- 現職の年末業務が忙しく、転職活動の時間が取りにくい
おすすめする人
- 年内に転職を決めたい人
- 来年1月入社を目指す人
- 年末のボーナスは諦めても、早く環境を変えたい人
月別のまとめ:最もおすすめの時期は?
求人数が最も多い時期 1〜3月と7〜9月が、求人数のピークです。
競争率が低い(狙い目の)時期 4〜6月と10〜12月は、求人数はやや少ないものの、転職希望者も少なく、競争率が低めです。
総合的なおすすめ
- ベストタイミング: 2〜3月、8〜9月
- 次点: 1月、10月
- 狙い目(穴場): 5月、11月
ただし、エンジニアの場合、年間を通じて求人があるため、「良い求人を見つけたらすぐ動く」という姿勢が最も重要です。
年齢・経験年数別のベストタイミング
20代前半(新卒〜3年目)
転職市場での立ち位置
20代前半は「第二新卒」や「若手層」として、ポテンシャル採用の対象です。スキルよりも、今後の成長性や意欲が評価されます。
おすすめの転職時期
入社1〜3年目の場合 4月入社の新卒採用と同じタイミングで、研修制度を活用できる1〜3月の転職がおすすめです。4月入社であれば、新卒と一緒に研修を受けられる企業もあります。
スキルを身につけてから ただし、入社1年未満での転職は「すぐ辞める人」と見られるリスクがあります。最低でも1年、できれば2〜3年は経験を積んでから転職する方が、選択肢が広がります。
注意点
20代前半の転職では、「なぜ短期間で辞めるのか」を明確に説明できることが重要です。前向きな理由(スキルアップ、キャリアチェンジ)を準備しましょう。
20代後半(4〜7年目)
転職市場での立ち位置
20代後半は、エンジニアとして最も市場価値が高い時期です。一定のスキルと経験があり、まだ若さもあるため、多くの企業が求める人材です。
おすすめの転職時期
いつでもOK この年代は、いつ転職してもチャンスがあります。ただし、より条件の良い求人を狙うなら、1〜3月または8〜9月がおすすめです。
プロジェクトの区切り エンジニアの場合、プロジェクトの区切りで転職するのが理想です。「このプロジェクトが終わったら転職する」と決めて、それに合わせて転職活動を始めましょう。
スキルが一定レベルに達したタイミング 特定の技術スタック(React、AWS、Kubernetesなど)を習得し、実務で使える自信がついたタイミングが、転職の好機です。
注意点
20代後半で転職しないと、30代での選択肢が狭まる可能性があります。「もう少し経験を積んでから」と先延ばしにしすぎないことも大切です。
30代前半(8〜10年目)
転職市場での立ち位置
30代前半は、即戦力としての期待が高まります。技術力だけでなく、プロジェクトリーダーやマネジメントの経験も評価されます。
おすすめの転職時期
年収アップを狙うなら マネジメント経験やリーダー経験を積んだ直後が、年収アップの好機です。「〇〇プロジェクトでPLを務めました」という実績をアピールできるタイミングで転職しましょう。
家族の状況を考慮 結婚、出産、住宅購入など、ライフイベントが多い時期です。これらを考慮し、安定した時期に転職活動を行いましょう。
スキルチェンジの最後のチャンス 30代前半は、異なる技術領域へのキャリアチェンジ(SIerからWeb系、インフラからアプリなど)が可能な最後の時期です。挑戦したいことがあれば、この時期に動きましょう。
注意点
30代になると、年収が下がる転職は家族の理解を得にくくなります。事前にしっかり相談し、納得してもらうことが重要です。
30代後半〜40代(11年目以降)
転職市場での立ち位置
30代後半以降は、高度な専門性やマネジメント経験が求められます。単なる実装者ではなく、組織を牽引できるリーダーとしての役割が期待されます。
おすすめの転職時期
マネジメント実績を作ってから 課長、マネージャー、プロジェクトマネージャーなどの役職に就いたタイミングが、転職の好機です。マネジメント経験は、40代以降の転職で大きな武器になります。
専門性を極めたタイミング 特定領域のスペシャリストとして認められるレベル(社外での講演、技術書の執筆、OSSへの貢献など)に達したタイミングも、転職の好機です。
慎重に判断 40代以降の転職は、リスクも大きくなります。年収ダウンの可能性、再転職の難しさを考慮し、慎重に判断しましょう。
注意点
40代以降の転職では、「この会社で何を実現したいのか」「どう貢献できるのか」を明確に語れることが重要です。
個人の状況別:今すぐ動くべきか判断する基準
すぐに転職すべき人
以下に当てはまる場合は、時期を選ばず、今すぐ転職活動を始めるべきです。
健康を害している
長時間労働、過度なストレス、パワハラなどで、心身の健康を害している場合は、一刻も早く環境を変えるべきです。健康はお金では買えません。
法律違反の職場
未払い残業代、違法な長時間労働、ハラスメントなど、明らかに法律違反がある職場は、すぐに辞めるべきです。
スキルが身につかない
入社して1年以上経っても、何もスキルが身についていない場合は、早めに転職を検討しましょう。20代のうちにスキルを身につけないと、後で苦労します。
会社の経営が危ない
会社の業績が悪化している、給与の遅延がある、大量退職が発生しているなどの兆候があれば、早めに動くべきです。
明確なキャリアビジョンがある
「〇〇のスキルを身につけたい」「〇〇の業界に行きたい」という明確な目標があり、今の会社では実現できない場合は、すぐに転職活動を始めましょう。
もう少し待った方が良い人
以下に当てはまる場合は、焦って転職せず、タイミングを見計らった方が良いかもしれません。
入社1年未満
入社して数ヶ月で辞めると、次の転職で不利になります。最低でも1年は我慢し、何かしらの実績を作りましょう。
ただし、健康を害している場合は例外です。
プロジェクトの重要な局面
リリース直前、繁忙期の真っ只中など、プロジェクトの重要な局面で辞めると、印象が悪くなります。可能であれば、区切りまで待ちましょう。
ただし、これは「円満退職」を目指す場合です。会社との関係を完全に断ち切る覚悟があれば、タイミングは気にしなくてOKです。
スキルが中途半端
学習中の技術があり、「あと3ヶ月で実務レベルになる」という段階であれば、そのスキルを身につけてから転職した方が、市場価値が上がります。
ボーナス直前
ボーナス支給の1〜2ヶ月前であれば、ボーナスをもらってから転職活動を始めた方が、金銭的に得です。
ただし、「ボーナスのために我慢する」のが苦痛であれば、すぐに動きましょう。
転職理由が曖昧
「なんとなく今の会社に不満」という程度で、明確な転職理由がない場合は、転職しても同じ不満を抱える可能性があります。
まずは「なぜ転職したいのか」「次の会社で何を実現したいのか」を明確にしましょう。
転職のタイミングを見極めるチェックリスト
以下のチェックリストで、自分が今転職すべきかを判断しましょう。
□ 健康面で問題がない(心身ともに健康) □ 最低1年以上は現職で働いている □ 次にやりたいことが明確 □ 現職で学べることは学んだ □ 家族の理解を得られる(または独身) □ 貯金に余裕がある(3ヶ月分の生活費以上) □ プロジェクトの区切りが近い □ ボーナスをもらった直後(または近々もらえない)
5個以上チェックが入れば、転職活動を始める良いタイミングです。
3個以下の場合は、もう少し準備してから動いた方が良いかもしれません。
ただし、最初の項目「健康面で問題がない」にチェックが入らない場合は、他の項目に関係なく、今すぐ動くべきです。
効率的な転職活動の進め方
在職中に転職活動を始めるべき理由
多くの転職エージェントは、「在職中に転職活動を始めること」を推奨しています。
収入が途絶えない
在職中であれば、給与が継続して入ります。金銭的な不安なく、じっくり転職先を選べます。
精神的余裕がある
無職の状態だと「早く決めなければ」と焦り、条件の悪い求人でも妥協してしまいがちです。在職中なら、納得いくまで探せます。
市場価値が高く見える
「現職で働きながら転職活動している」ことは、企業にとってポジティブに映ります。「この人は引く手あまただな」と思われ、条件交渉も有利になります。
職歴にブランクができない
退職してから転職活動すると、空白期間(ブランク)ができます。ブランクが長引くと、次の転職で不利になる可能性があります。
転職活動のスケジュール
在職中の転職活動は、3〜6ヶ月のスケジュールで進めるのが一般的です。
1ヶ月目:準備期間
- 自己分析(強み、弱み、やりたいこと)
- 職務経歴書の作成
- 転職エージェントへの登録
- 求人情報の収集
2〜3ヶ月目:応募・面接期間
- 興味のある企業に応募
- 書類選考
- 一次面接、二次面接
- 複数社を並行して進める
4〜5ヶ月目:内定・退職交渉期間
- 最終面接
- 内定
- 条件交渉(年収、入社日など)
- 現職への退職意思表示
- 引き継ぎ
6ヶ月目:入社
- 引き継ぎ完了
- 退職
- 新しい会社に入社
このスケジュールで逆算すると、4月入社を希望する場合は、前年の10〜11月から動き始める必要があります。
転職エージェントの活用タイミング
転職エージェントは、転職活動の強い味方です。
登録するタイミング
転職を考え始めたら、すぐに登録しましょう。「まだ本気で転職するか決めていない」段階でもOKです。
エージェントとの面談を通じて、自分の市場価値や、どんな求人があるのかを知ることができます。これが、転職の意思決定に役立ちます。
複数登録のすすめ
エージェントは2〜3社に登録し、比較しましょう。エージェントによって、持っている求人や得意分野が異なります。
- レバテックキャリア(IT特化、経験者向け)
- マイナビIT AGENT(IT特化、幅広い層)
- ワークポート(未経験にも強い)
- リクルートエージェント(求人数最大手)
- doda(総合型、IT求人も豊富)
活用のコツ
エージェントには、希望条件を正直に伝えましょう。「年収〇〇万円以上」「リモートワーク可」「残業月20時間以下」など、妥協できない条件は明確に。
また、「良い求人があればすぐ動きたい」という姿勢を示すと、エージェントも優先的に求人を紹介してくれます。
面接日程の調整
在職中の転職活動で最も難しいのが、面接日程の調整です。
有給休暇の活用
面接は、有給休暇を使って平日に行くのが基本です。「私用のため」と伝えれば、詳しい理由を説明する必要はありません。
早朝・夕方の面接
企業によっては、朝9時前や夕方18時以降の面接に対応してくれることもあります。エージェントを通じて、相談してみましょう。
オンライン面接の活用
コロナ禍以降、オンライン面接が一般化しました。昼休みや就業後に、自宅からオンラインで面接を受けられる場合もあります。
土曜面接
一部の企業は、土曜日の面接にも対応しています。ただし、すべての企業が対応しているわけではないので、期待しすぎないよう注意。
転職を成功させるポイント
複数社を同時並行で進める
転職活動は、複数社に同時に応募し、並行して進めるのが基本です。
なぜ並行が重要か
1社ずつ応募していると、時間がかかりすぎます。書類選考で1〜2週間、面接で1ヶ月、結果が出るまで2ヶ月——これを繰り返していたら、半年以上かかってしまいます。
また、1社に絞ると、不採用になった時のダメージが大きいです。複数社を並行することで、リスク分散できます。
何社くらい応募すべきか
同時に3〜5社程度の選考を進めるのが理想です。あまり多すぎると、面接スケジュールの調整が大変になります。
内定時期を揃える
複数社から内定をもらった場合、条件を比較して選べます。そのためには、内定が出るタイミングを揃えることが重要です。
エージェントに「〇〇社の選考が進んでいるので、△△社の選考も急いでほしい」と伝えましょう。
年収交渉のタイミング
転職で年収を上げるには、適切なタイミングでの交渉が不可欠です。
オファー面談が交渉のチャンス
内定が出た後、「オファー面談」が設定されます。ここで、年収や入社日などの条件を調整します。
この面談が、年収交渉の最大のチャンスです。
交渉のコツ
- 現職の年収を正直に伝える
- 希望年収の根拠を示す(市場価値、スキル、実績)
- 複数社から内定をもらっている場合は、それを伝える(他社はもっと高い条件を提示している、など)
- ただし、強気すぎる交渉は逆効果。相手の提示額に対して、「もう少し上げていただけませんか?」と柔らかく交渉
エージェント経由なら任せる
転職エージェント経由であれば、年収交渉はエージェントに任せましょう。プロが交渉してくれるので、自分で交渉するより高い年収を引き出せることが多いです。
退職交渉のポイント
転職先が決まったら、現職に退職の意思を伝えます。
伝えるタイミング
法律上は、退職の2週間前までに伝えればOKです。しかし、円満退職を目指すなら、1〜2ヶ月前に伝えるのが一般的です。
伝える相手
直属の上司に、まず伝えます。同僚や人事部に先に伝えるのはNGです。
伝え方
退職理由は、ポジティブに伝えましょう。「新しいチャレンジがしたい」「キャリアアップのため」など。
現職への不満を並べるのは避けてください。
引き留めへの対処
多くの場合、引き留められます。「給料を上げるから」「希望の部署に異動させるから」などと言われることも。
しかし、一度引き留めに応じると、その後も辞めにくくなります。意思が固まっているなら、丁重に断りましょう。
引き継ぎ
後任者への引き継ぎは、丁寧に行いましょう。引き継ぎ資料を作成し、口頭でも説明します。
立つ鳥跡を濁さず、円満に退職することが、将来の人脈につながります。
2025年のエンジニア転職トレンド
リモートワーク求人の増加
コロナ禍をきっかけに、リモートワークが定着しました。2025年も、リモート可の求人は増加傾向です。
フルリモート求人
完全在宅勤務が可能な求人が増えています。地方在住でも、東京の企業で働けるチャンスが広がっています。
ハイブリッドワーク
週2〜3日出社、残りはリモートという「ハイブリッドワーク」を採用する企業も多いです。
面接での確認
求人票に「リモート可」とあっても、実態は異なる場合があります。面接で、リモートワークの頻度や条件を確認しましょう。
副業OK企業の増加
政府の働き方改革の推進により、副業を認める企業が増えています。
エンジニアと副業の相性
エンジニアは、副業との相性が良い職種です。クラウドソーシングやフリーランス案件で、週末や夜間に副業できます。
転職先選びのポイント
副業を希望する場合は、面接で「副業は可能ですか?」と確認しましょう。就業規則で副業が認められているか、確認が必要です。
AI・機械学習エンジニアの需要急増
生成AIブームにより、AI・機械学習エンジニアの需要が急増しています。
求人数の増加
ChatGPTやStable Diffusionなどの生成AIが注目を集め、企業のAI導入が加速しています。そのため、AI・機械学習エンジニアの求人が増えています。
年収水準
AI・機械学習エンジニアの平均年収は、一般的なエンジニアより100万円〜200万円高いとされています。
未経験からの転職
AIエンジニアになるには、Pythonやデータサイエンスの知識が必要です。未経験から目指す場合は、オンライン講座などで学習してから転職活動を始めましょう。
クラウドエンジニアの需要継続
クラウドシフトが進み、AWS、Azure、GCPのスキルを持つエンジニアの需要は継続しています。
資格が有利
AWS認定資格(SAA、DVAなど)やGCP認定資格があると、転職で有利になります。
インフラからクラウドへのシフト
オンプレミスのインフラエンジニアが、クラウドエンジニアにキャリアチェンジするケースが増えています。
SES離れの傾向
SES(客先常駐)から、自社開発やWeb系企業への転職を希望するエンジニアが増えています。
SESからの転職理由
- スキルが身につかない
- 給与が低い
- キャリアパスが不透明
- 客先での立場が弱い
転職先の選択肢
SESから転職する場合、以下の選択肢があります:
- Web系自社開発企業
- 大手SIer(元請け)
- 社内SE
- フリーランス
SESで経験を積んだ後、より良い環境を求めて転職するのは、ごく自然な流れです。
よくある質問(FAQ)
Q1: 転職活動はどのくらいの期間がかかりますか?
A: 一般的に3〜6ヶ月です。
在職中の転職活動では、3〜6ヶ月を見込んでおくと良いでしょう。
内訳は以下の通りです:
- 準備期間: 1ヶ月
- 応募・面接: 2〜3ヶ月
- 内定・退職交渉: 1〜2ヶ月
ただし、急募の求人に応募した場合や、スキルが高く評価された場合は、1〜2ヶ月で決まることもあります。
Q2: 年齢による転職の難易度の違いは?
A: 35歳を境に、難易度が上がります。
一般的に「35歳転職限界説」と言われますが、エンジニアの場合、スキルがあれば40代でも転職可能です。
ただし、35歳以降は求められるレベルが上がります:
- 30代前半まで: スキルと経験
- 30代後半以降: スキル+マネジメント経験+専門性
35歳までに、一度は転職を経験しておくことをおすすめします。
Q3: 経験年数が浅くても転職できますか?
A: 可能ですが、2〜3年は経験を積んだ方が選択肢が広がります。
経験1年未満の場合、「すぐ辞める人」と見られるリスクがあります。最低でも1年、できれば2〜3年は現職で経験を積みましょう。
ただし、以下の場合は例外です:
- 健康を害している
- 法律違反の職場
- 明らかにスキルが身につかない環境
Q4: 未経験からエンジニアに転職する場合のベストタイミングは?
A: 20代、遅くとも30代前半までに動くべきです。
未経験からエンジニアへの転職は、若いほど有利です。
- 20代前半: 最もチャンスが多い
- 20代後半: まだ十分可能
- 30代前半: ギリギリ可能だが、努力が必要
- 30代後半以降: かなり厳しい
未経験からの転職を考えているなら、早めに動きましょう。
Q5: ボーナスをもらってから辞めるべきですか?
A: 金銭的には、もらってから辞める方が得です。
ボーナスは通常、6月と12月に支給されます。このタイミングをもらってから退職すれば、数十万円〜数百万円の収入になります。
ただし、以下の場合は、ボーナスを待たずに辞めても良いでしょう:
- 健康を害している
- 我慢できないほどストレスが大きい
- 好条件の求人が今しかない
お金より、健康とキャリアを優先すべき場合もあります。
Q6: 複数の内定をもらった場合、どう選べばいいですか?
A: 以下の優先順位で検討しましょう。
- キャリアビジョンとの一致: 将来やりたいことが実現できるか
- 仕事内容: 興味のある技術や業務に携われるか
- 年収: 生活に必要な収入を確保できるか
- 働き方: リモートワーク、残業時間、休日など
- 企業の安定性: 会社が成長しているか、財務状況は健全か
- カルチャーフィット: 自分の価値観と合っているか
迷ったら、「5年後の自分がどうなっていたいか」を想像し、それを実現できる企業を選びましょう。
Q7: 転職回数が多いと不利になりますか?
A: 3回以上だと、理由を聞かれます。
転職回数が多いと、「すぐ辞める人」と思われるリスクがあります。目安としては:
- 20代: 2回まではOK、3回以上は理由が必要
- 30代: 3回まではOK、4回以上は理由が必要
- 40代: 4〜5回でも、キャリアアップなら問題なし
ただし、各職場で2〜3年以上働いており、前向きな理由(スキルアップ、キャリアチェンジ)であれば、回数はあまり問題になりません。
短期離職(1年未満)を繰り返しているのは、確実にマイナスです。
Q8: 今すぐ辞めたいけど、転職先が決まっていません。どうすべきですか?
A: 可能なら、転職先を決めてから辞めるべきです。
ただし、健康を害している場合は、先に辞めても構いません。健康が最優先です。
先に辞める場合の対処法:
- 失業保険の手続きをする
- 転職活動に集中する
- 貯金で生活する(3〜6ヶ月分は確保)
- 転職エージェントを活用し、短期間で決める
無職期間が3ヶ月以内であれば、次の転職で大きな不利にはなりません。
まとめ:あなたにとってのベストタイミングは?
月別のベストタイミング(再掲)
最もおすすめの時期
- 2〜3月(4月入社を目指す)
- 8〜9月(10月入社を目指す)
この時期は、求人数が多く、企業の採用意欲も高いです。
次点
- 1月、10月
新年度・下半期スタートに向けた採用が活発化します。
狙い目(穴場)
- 5月、11月
求人数はやや少ないですが、競争率が低く、じっくり選べます。
年齢・経験別のベストタイミング(再掲)
- 20代前半: 入社2〜3年後、スキルを身につけたタイミング
- 20代後半: いつでもOK、プロジェクトの区切りが理想
- 30代前半: マネジメント経験を積んだ直後
- 30代後半〜40代: 高度な専門性やマネジメント実績を作ってから
最も重要なのは「今動く決断」
データや理論も大切ですが、最も重要なのは「今動く決断」です。
完璧なタイミングは存在しない
「もう少しスキルを身につけてから」「もう少し経験を積んでから」——こう考えていると、いつまで経っても動けません。
完璧なタイミングを待つより、今できる準備をして、動き始めることが大切です。
良い求人はタイミング次第
「この求人、完璧だ!」と思っても、募集が終わっていたら応募できません。良い求人は、早い者勝ちです。
常に転職市場をウォッチし、良い求人があればすぐ動く——この姿勢が、転職成功の秘訣です。
後悔しない選択を
5年後、10年後に振り返って、「あの時動いて良かった」と思える選択をしましょう。
転職は、人生を変える大きなチャンスです。
今日から始めるアクションプラン
ステップ1: 転職エージェントに登録(今日)
まずは、転職エージェントに登録しましょう。「まだ本気で転職するか決めていない」段階でもOKです。
おすすめエージェント:
- レバテックキャリア
- マイナビIT AGENT
- ワークポート
- リクルートエージェント
- doda
ステップ2: 職務経歴書を作成(1週間)
これまでの経験を整理し、職務経歴書を作成しましょう。エージェントに添削してもらうと、さらに良くなります。
ステップ3: 求人情報を見る(継続的)
どんな求人があるのか、定期的にチェックしましょう。「こんな会社があるんだ」という発見があります。
ステップ4: 面談を受ける(1〜2週間後)
エージェントとの面談で、自分の市場価値を知りましょう。「今の年収は適正か」「どんな企業に転職できるか」が分かります。
ステップ5: 良い求人があれば応募(見つけ次第)
「これだ!」という求人を見つけたら、すぐに応募しましょう。迷っている間に、他の人に取られてしまいます。
最後に:あなたの新しいキャリアを応援します
転職は、新しい環境で、新しい自分に出会うチャンスです。
今の会社が全てではありません。世界には、あなたに合った職場が必ずあります。
データや理論も大切ですが、最後は「あなたの直感」を信じてください。
「この会社で働きたい」「この技術を学びたい」——その気持ちが、転職成功の原動力になります。
本記事が、あなたの転職のタイミングを見極める助けになれば幸いです。
あなたの新しいキャリアを、心から応援しています。
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この記事を書いた人
異業種からエンジニアへの転職を経験し、複数回の転職を通じて年収とキャリアを向上させてきました。転職のタイミングの重要性を実感した経験から、エンジニア転職の情報発信を行っています。
 
  
  
  
  
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