「企業研究って何を調べればいいの?」「IR情報って難しそう…」
転職活動で最も重要なのに、最も軽視されがちなのが企業研究です。多くの人は、企業のホームページを軽く見て、口コミサイトをチェックする程度で終わってしまいます。
私は3年前に営業職から未経験でエンジニアに転職しました。その際、最初は企業研究をほとんどせずに応募していましたが、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することが何度もありました。
最大の失敗は: ある企業に入社後、技術スタックが古すぎて(Java 6、jQuery)、モダンな技術に触れられませんでした。事前に技術ブログやGitHubを確認していれば、気づけたはずです。3ヶ月で退職することになりました。
この経験から、企業研究の重要性を痛感し、次の転職では徹底的に調査しました。IR情報、技術ブログ、GitHub、社員のSNS、口コミサイトなど、あらゆる情報源を駆使した結果、自分に合った企業を見つけることができました。
この記事では、エンジニアが企業研究で見るべきポイントを、IR情報・技術ブログの読み解き方を中心に徹底解説します。ブラック企業を避け、自分に合った企業を見つける方法をお伝えします。
なぜ企業研究が重要なのか?
まず、企業研究の重要性を理解しましょう。
企業研究をしないと起こる3つの悲劇
悲劇1: 入社後のミスマッチ
「思っていた仕事と違う」「技術スタックが古い」「残業が多すぎる」など、入社後にミスマッチに気づいても、すぐに転職するのは困難です。
私の失敗例: 求人票には「React開発」と書かれていたのに、実際はjQuery保守がメインでした。技術ブログを見ていれば、どの技術を実際に使っているか分かったはずです。
悲劇2: 早期離職による経歴の傷
入社後すぐに退職すると、次の転職で不利になります。「なぜすぐに辞めたのか?」と必ず聞かれます。
悲劇3: 貴重な時間の浪費
転職活動には多大な時間とエネルギーがかかります。企業研究を怠って失敗すると、また最初からやり直しになります。
企業研究で分かること
徹底的な企業研究で、以下のことが分かります:
技術面:
- 実際に使われている技術スタック
- 技術的負債の有無
- 技術への投資意欲
- エンジニアの技術力レベル
組織面:
- 経営状況(安定性、成長性)
- 企業文化・価値観
- 働き方(残業、リモートワーク)
- 評価制度・キャリアパス
将来性:
- 業績推移
- 事業の成長性
- 業界でのポジション
企業研究にかける時間
最低限: 1社あたり30分〜1時間
理想: 1社あたり2〜3時間
本命企業: 5時間以上
私の時間配分:
- 興味のある企業: 1時間
- 応募する企業: 2〜3時間
- 面接が決まった企業: 5時間以上
時間をかけるほど、面接での逆質問の質が上がり、企業への理解度も深まります。
企業研究の5つの情報源
企業研究で活用すべき情報源を優先度順に紹介します。
情報源1: 企業公式サイト(必須)
見るべきページ:
1. 採用ページ
- 求人内容(職種、業務内容、必須スキル、歓迎スキル)
- 給与・待遇
- 選考フロー
- 社員インタビュー
2. 会社概要
- 設立年
- 資本金
- 従業員数
- 事業内容
- 主要取引先
3. サービス・プロダクト紹介
- どんなサービスを提供しているか
- ターゲットユーザー
- 特徴・強み
4. ニュース・プレスリリース
- 最新の動向
- 新サービスのリリース
- 資金調達
- 業務提携
チェックポイント:
- ✅ サイトのデザインは古くないか?(デザインが古い=技術も古い可能性)
- ✅ 採用ページは充実しているか?(採用に力を入れている=成長企業)
- ✅ 最新のプレスリリースはいつか?(更新頻度=企業の活発度)
情報源2: IR情報(上場企業の場合)
重要度: ★★★★★(最重要)
IR情報は、企業の経営状況を知る最も信頼性の高い情報源です。
IR情報の見方:
1. 決算短信
決算短信は、四半期ごとに発表される業績報告です。
見るべき数値:
- 売上高: 伸びているか?
- 営業利益: 黒字か? 利益率は?
- 経常利益: 本業以外も含めた利益
- 純利益: 最終的な利益
良い例(成長企業):
2023年度: 売上高 100億円、営業利益 10億円(利益率10%)
2024年度: 売上高 130億円、営業利益 15億円(利益率11.5%)
2025年度予想: 売上高 160億円、営業利益 20億円(利益率12.5%)
売上・利益ともに伸びており、利益率も改善しています。
悪い例(衰退企業):
2023年度: 売上高 100億円、営業利益 5億円(利益率5%)
2024年度: 売上高 90億円、営業利益 2億円(利益率2.2%)
2025年度予想: 売上高 80億円、営業利益 △3億円(赤字)
売上・利益ともに減少しており、来期は赤字予想。危険信号です。
2. 有価証券報告書
有価証券報告書は、企業の詳細情報が記載された年次報告書です。
見るべき項目:
事業の概況:
- どんな事業をしているか
- 業績の推移
- 今後の方針
従業員の状況:
- 従業員数の推移(増えている=採用意欲が高い)
- 平均年齢(若い=ベンチャー、高い=老舗)
- 平均勤続年数(短い=離職率が高い可能性)
- 平均年収
リスク情報:
- 企業が認識しているリスク
- 競合の状況
- 法規制の影響
私の分析例(実例):
ある企業の有価証券報告書を見たところ、従業員数が前年比で20%減少していました。リスク情報には「優秀な人材の流出」と記載されており、明らかに問題がありました。この企業への応募は見送りました。
3. 中期経営計画
中期経営計画は、今後3〜5年の戦略を示した資料です。
見るべきポイント:
- 売上・利益の目標
- 注力する事業領域
- 技術投資の計画
- 採用計画
4. 株価の推移
株価は、企業の評価を反映しています。
チェック方法:
- Yahoo!ファイナンス、Google Financeで確認
- 過去1年、3年、5年の推移を見る
良い傾向:
- 株価が右肩上がり
- 業界平均を上回る
悪い傾向:
- 株価が右肩下がり
- 業界平均を下回る
情報源3: 技術ブログ・Qiita・Zenn(エンジニア必見)
重要度: ★★★★★(エンジニアには最重要)
技術ブログは、企業の技術力・文化を知る最良の情報源です。
見るべきポイント:
1. 更新頻度
- 定期的に更新されているか?
- 最終更新日はいつか?
更新頻度と技術力の関係:
- 週1回以上: 技術への投資意欲が高い
- 月1回程度: 標準的
- 半年以上更新なし: 技術に力を入れていない可能性
2. 記事の内容
- 技術的に深い内容か?
- 具体的な課題解決の事例か?
- 新しい技術への挑戦か?
良い技術ブログの例:
タイトル: 「ReactからNext.jsへの移行で得た学びと課題」
内容:
- なぜ移行したのか(背景)
- どのように移行したのか(具体的な手順)
- 何を学んだのか(知見)
- 今後の課題
技術スタック: React、Next.js、TypeScript、Vercel
具体的で、技術的に深く、新しい技術にチャレンジしています。
悪い技術ブログの例:
タイトル: 「新入社員が入社しました!」
内容:
- 自己紹介
- 趣味
- 意気込み
技術的な内容: なし
技術的な内容がなく、ただの日記です。
3. 使用している技術スタック
技術ブログから、実際に使われている技術スタックが分かります。
確認すべき技術:
- プログラミング言語
- フレームワーク
- データベース
- クラウド(AWS、GCP、Azureなど)
- インフラ(Docker、Kubernetes)
- CI/CD
4. 執筆者のレベル
記事を書いているエンジニアのレベルも重要です。
高レベルの証:
- 技術的に深い内容
- 複雑な課題を解決している
- 最新技術にキャッチアップしている
- 外部カンファレンスで登壇している
私の分析例:
ある企業の技術ブログを見たところ、半年間更新がなく、最新記事も「jQuery入門」という内容でした。明らかに技術力が低いと判断し、応募を見送りました。
情報源4: GitHub・GitLab(オープンソース活動)
重要度: ★★★★☆
企業や社員のGitHub活動から、技術力や文化が分かります。
見るべきポイント:
1. 企業の公式アカウント
企業がOSS(オープンソースソフトウェア)を公開しているか?
公開している企業:
- Google、Facebook、Microsoft、Netflix、Airbnbなど
- メルカリ、LINE、サイバーエージェント、クックパッドなど
OSSを公開するメリット:
- 技術力のアピール
- エンジニア採用の強化
- コミュニティへの貢献
2. 社員の個人アカウント
社員がGitHubで活発に活動しているか?
確認方法:
- LinkedInやWantedlyで社員を検索
- プロフィールからGitHubアカウントを見つける
- コミット履歴、リポジトリを確認
3. コードの品質
公開されているコードを見て、品質を確認。
良いコードの特徴:
- READMEが充実している
- テストコードがある
- コメントが適切
- CI/CDが設定されている
情報源5: 口コミサイト・社員の声
重要度: ★★★★☆
主要な口コミサイト:
1. OpenWork(旧Vorkers)
- 最も信頼性が高い
- 詳細な口コミ
- 有料会員でないと全文が読めない
2. 転職会議
- 口コミ数が多い
- 無料でも読める(口コミ投稿が条件)
3. Lighthouse(en Japan運営)
- 中小企業の口コミが充実
見るべき項目:
1. 総合評価
- 3.5点以上: 優良企業
- 3.0〜3.5点: 標準的
- 3.0点以下: 問題がある可能性
2. 項目別評価
- 待遇・福利厚生
- ワークライフバランス
- 成長環境
- 人間関係
- 経営陣の手腕
3. 口コミの内容
口コミの傾向から、企業の実態が見えます。
良い口コミの例:
「技術力の高いエンジニアが多く、学びが多い」
「リモートワークが推奨されており、柔軟な働き方ができる」
「新しい技術への挑戦が評価される文化」
悪い口コミの例:
「残業が月80時間を超えることも」
「古い技術スタックで、スキルアップできない」
「評価制度が不透明で、頑張っても給与が上がらない」
口コミの注意点:
1. ネガティブバイアス 不満がある人ほど口コミを書く傾向があるため、ネガティブな内容が多くなりがちです。
2. 情報の古さ 口コミの投稿日を確認しましょう。3年以上前の口コミは、現状と異なる可能性があります。
3. 部署による違い 同じ企業でも、部署によって働き方や文化が大きく異なります。
私の活用法: 口コミは参考程度にとどめ、IR情報や技術ブログなど、客観的な情報源を重視します。ただし、複数の口コミで同じ指摘がある場合(「残業が多い」など)は、信憑性が高いと判断します。
企業研究の5ステップ
具体的な企業研究の手順を解説します。
ステップ1: 基本情報の収集(15分)
やること:
- 企業の公式サイトを見る
- 事業内容、サービスを理解する
- 設立年、従業員数、資本金を確認
チェックリスト:
- □ 事業内容を一言で説明できる
- □ 主要サービス・プロダクトを3つ言える
- □ 企業の規模感(従業員数)を把握している
ステップ2: 技術面の調査(30分)
やること:
- 技術ブログを読む
- GitHubをチェック
- 求人票の技術スタックを確認
チェックリスト:
- □ 使用している技術スタックを把握している
- □ 技術ブログの更新頻度を確認した
- □ 技術的な挑戦をしているか判断できる
私の分析テンプレート:
【技術スタック】
フロントエンド: React、TypeScript、Next.js
バックエンド: Node.js、Express、PostgreSQL
インフラ: AWS(EC2、RDS、S3)、Docker
CI/CD: GitHub Actions
【技術ブログ】
更新頻度: 月2回
最新記事: 「TypeScript移行で得た知見」(1週間前)
評価: 技術的に深く、新しい技術にも挑戦している
【総合評価】
モダンな技術スタックで、技術への投資意欲が高い。
技術ブログも充実しており、学習環境は良好と判断。
ステップ3: 経営状況の確認(30分)
やること(上場企業の場合):
- IR情報を見る
- 決算短信で業績を確認
- 株価の推移をチェック
チェックリスト:
- □ 直近3年の売上・利益の推移を確認した
- □ 黒字・赤字を把握している
- □ 成長企業か衰退企業か判断できる
やること(非上場企業の場合):
- プレスリリースで資金調達を確認
- ニュース記事で業績を調査
ステップ4: 口コミのチェック(30分)
やること:
- OpenWork、転職会議で口コミを読む
- 総合評価と項目別評価を確認
- ネガティブな口コミの傾向を把握
チェックリスト:
- □ 総合評価は3.0以上か?
- □ 複数の口コミで共通する指摘はあるか?
- □ 最新の口コミ(1年以内)を読んだか?
ステップ5: SNS・その他の情報収集(15分〜)
やること:
- Twitter、noteで社員の投稿を検索
- Wantedlyで社員インタビューを読む
- YouTubeで会社紹介動画を見る
チェックリスト:
- □ 社員の雰囲気を把握した
- □ 企業文化・価値観を理解した
IR情報の読み解き方【実践編】
IR情報は難しそうに見えますが、ポイントを押さえれば簡単です。
決算短信の読み方
決算短信はどこにある?
企業の公式サイト → IR情報 → 決算短信
見るべき箇所:
1ページ目: 業績ハイライト
【連結業績】
売上高: 50,000百万円(前年同期比 +15.0%)
営業利益: 5,000百万円(前年同期比 +20.0%)
経常利益: 4,800百万円(前年同期比 +18.0%)
純利益: 3,200百万円(前年同期比 +22.0%)
読み方:
- 売上高が前年比+15%で成長
- 営業利益も+20%で、売上以上に利益が伸びている(効率化が進んでいる)
- 総合的に好調な業績
2ページ目: 経営成績の分析
経営陣が業績をどう分析しているかが書かれています。
見るべきポイント:
- 売上・利益が増えた/減った理由
- 今後の見通し
- リスク要因
私の読み方:
経営陣の言葉遣いに注目します。
ポジティブな表現:
- 「順調に推移」
- 「計画を上回る」
- 「引き続き成長を見込む」
ネガティブな表現:
- 「厳しい状況」
- 「計画を下回る」
- 「慎重な見通し」
有価証券報告書の読み方
有価証券報告書は100ページ以上ある分厚い資料ですが、全部読む必要はありません。
重要な箇所だけ読む:
1. 従業員の状況(P.10前後)
【従業員の状況】
従業員数: 500名(前年比 +50名)
平均年齢: 32.5歳
平均勤続年数: 5.2年
平均年収: 6,200,000円
分析:
- 従業員数が増加 → 採用意欲が高い、成長企業
- 平均年齢が若い → ベンチャー的な文化
- 平均勤続年数が短い → 離職率が高い可能性 or 急成長で新入社員が多い
- 平均年収が高い → 待遇が良い
2. 事業の状況(P.15前後)
どんな事業をしているか、業績の推移、今後の方針が書かれています。
3. リスク情報(P.30前後)
企業が認識しているリスクが列挙されています。
よくあるリスク:
- 競争の激化
- 法規制の変更
- 人材の確保・育成
- 技術革新への対応
注目すべきリスク:
- 「優秀な人材の流出」→ 離職率が高い
- 「技術的負債の解消」→ 古いシステムを使っている
- 「特定取引先への依存」→ 依存度が高く、リスクが大きい
私のIR分析テンプレート
【企業名】株式会社○○
【業績】
売上高: 100億円(前年比+20%) ✅ 成長中
営業利益: 10億円(利益率10%) ✅ 健全
純利益: 7億円(黒字) ✅ 安定
【従業員】
従業員数: 300名(前年比+30名) ✅ 採用意欲高い
平均年齢: 30歳 → 若い組織
平均勤続年数: 4年 → やや短い(離職率は要確認)
平均年収: 550万円 → 業界平均(600万円)よりやや低い
【株価】
過去1年: +30% ✅ 好調
過去3年: +80% ✅ 非常に好調
【リスク】
- 競争の激化(標準的なリスク)
- 人材の確保・育成(どの企業にも共通)
→ 特に大きなリスクはなし
【総合評価】
業績・成長性ともに良好。
従業員数も増加しており、採用意欲が高い。
年収はやや低いが、成長企業なので今後の昇給に期待。
応募価値あり。
技術ブログの読み解き方【実践編】
技術ブログから、企業の技術力と文化を読み解きます。
良い技術ブログの5つの特徴
特徴1: 定期的に更新されている
週1回以上、最低でも月1回は更新されているのが理想です。
特徴2: 技術的に深い内容
表面的な内容ではなく、具体的な課題解決や技術的な工夫が書かれています。
特徴3: 新しい技術への挑戦
レガシーな技術だけでなく、最新技術への挑戦も書かれています。
特徴4: 失敗談も共有している
成功例だけでなく、失敗談や学びも共有している企業は、オープンな文化があります。
特徴5: 複数のエンジニアが執筆している
一人のエンジニアだけでなく、複数のエンジニアが執筆している方が、組織全体の技術力が高いと言えます。
悪い技術ブログの5つの特徴
特徴1: 更新が半年以上ない
技術ブログが放置されている=技術に力を入れていない可能性
特徴2: 技術的な内容がない
「新入社員が入社しました!」「社内イベントを開催しました!」など、日記のような内容ばかり。
特徴3: 古い技術ばかり
jQuery、PHP 5、Java 6など、古い技術ばかりが登場する。
特徴4: 具体性がない
「頑張りました」「勉強になりました」など、抽象的な内容ばかり。
特徴5: 一人のエンジニアしか書いていない
特定の一人しか技術ブログを書いていない=他のエンジニアの技術力が低い可能性
技術ブログ分析テンプレート
【企業名】株式会社○○
【技術ブログURL】
https://tech.example.com
【更新頻度】
週1回 ✅ 高頻度
【最新記事】
タイトル: 「Next.js 14への移行で得た知見」
投稿日: 2025年3月1日(1週間前) ✅ 最新
内容: Next.js 13から14への移行手順、ハマったポイント、解決方法
評価: 具体的で技術的に深い ✅
【技術スタック】
- フロントエンド: React、TypeScript、Next.js 14
- バックエンド: Node.js、NestJS、PostgreSQL
- インフラ: AWS(ECS、RDS)、Docker、Terraform
→ モダンな技術スタック ✅
【執筆者】
5名のエンジニアが執筆 ✅ 組織全体の技術力が高い
【総合評価】
技術ブログの質・量ともに高い。
モダンな技術スタックで、新しい技術への挑戦も積極的。
技術力の高い企業と判断。
ブラック企業を見抜く10のチェックポイント
企業研究で、ブラック企業を見抜くポイントです。
チェックポイント1: 常に求人を出している
危険信号:
- 「未経験歓迎」「学歴不問」「やる気重視」を過度に強調
- 誰でも採用する印象
理由: 人が集まらないため、ハードルを下げている可能性
チェックポイント4: 口コミサイトの評価が3.0以下
危険信号:
- OpenWorkの総合評価が3.0以下
- ワークライフバランスが2.5以下
- 複数の口コミで「残業が多い」「パワハラがある」
理由: 実際に働いた人の評価が低い
チェックポイント5: 平均勤続年数が3年以下
危険信号: 有価証券報告書の平均勤続年数が3年以下
理由: 離職率が高い=働きにくい環境の可能性
注意: スタートアップは急成長で新入社員が多いため、平均勤続年数が短いことがあります。設立年数も考慮しましょう。
チェックポイント6: 技術ブログが更新されていない
危険信号:
- 技術ブログが1年以上更新されていない
- または技術ブログが存在しない
理由: 技術に投資していない=古い技術スタック、学習環境が悪い
チェックポイント7: 業績が悪化している
危険信号:
- 売上・利益が連続して減少
- 赤字が続いている
- 株価が大幅に下落
理由: 経営が不安定=リストラ、給与カットのリスク
チェックポイント8: 「アットホーム」「家族的」を強調
危険信号:
- 「アットホームな職場」「家族的な雰囲気」を強調
- 社内イベント(飲み会、社員旅行)を大々的にアピール
理由: 実際は長時間労働や休日出勤を求められることも。「家族だから」という理由で無理を強いられる可能性。
チェックポイント9: 面接官の態度が悪い
危険信号:
- 面接官が高圧的
- 質問に答えてくれない
- 時間を守らない
理由: 企業文化が現れる。面接官の態度=社内の雰囲気
チェックポイント10: リスク情報に「人材流出」
危険信号: 有価証券報告書のリスク情報に「優秀な人材の流出」「高い離職率」と記載
理由: 企業自身が離職率の高さを認識している
私の実体験:
ある企業に応募した際、以下の危険信号がありました:
- 1年中求人を出している
- 口コミの評価が2.8
- 技術ブログが2年間更新なし
- 平均勤続年数が2.5年
案の定、面接で「月80時間の残業は当たり前」と言われ、辞退しました。
面接前に準備すべき企業研究メモ
企業研究の内容を、面接で活用できる形でまとめましょう。
企業研究メモのテンプレート
【企業名】株式会社○○
【基本情報】
設立: 2010年
従業員数: 300名
事業内容: BtoB SaaSの開発・運営
【業績】
売上高: 50億円(前年比+30%) → 成長中
営業利益: 5億円(利益率10%) → 健全
従業員数: 前年比+50名 → 採用意欲高い
【技術スタック】
フロントエンド: React、TypeScript、Next.js
バックエンド: Go、PostgreSQL
インフラ: AWS、Docker、Kubernetes
→ モダンで学びが多そう
【技術ブログ】
更新頻度: 週1回
内容: 技術的に深い、新技術への挑戦あり
→ 学習環境は良好
【口コミ】
総合評価: 3.8点
ワークライフバランス: 3.5点
残業: 月20時間程度(複数の口コミで一致)
→ 働きやすそう
【懸念点】
- 平均年収が業界平均よりやや低い(550万円 vs 600万円)
→ 面接で昇給制度を確認
【面接で聞くべき質問】
1. 技術スタックの選定理由は?
2. エンジニアの評価制度は?
3. 技術的負債の状況は?
4. チームの構成は?(人数、経験年数)
5. リモートワークの頻度は?
逆質問リストの作成
企業研究の内容をもとに、面接での逆質問を準備しましょう。
技術面の質問:
- 「技術ブログで○○の記事を拝見しました。現在の技術スタックの選定理由を教えてください」
- 「Next.jsへの移行を進められているとのことですが、移行の進捗状況はいかがですか?」
- 「技術的負債への取り組みについて教えてください」
組織・文化の質問:
- 「エンジニアの評価制度について教えてください」
- 「技術的な挑戦を推奨する文化はありますか?」
- 「勉強会や技術書購入の補助制度はありますか?」
働き方の質問:
- 「リモートワークの実施状況を教えてください」
- 「平均的な残業時間はどのくらいですか?」
- 「オンコール対応はありますか?」
キャリアの質問:
- 「エンジニアのキャリアパスはどのようになっていますか?」
- 「将来的にマネジメントと技術者、どちらのキャリアも選択できますか?」
私の実体験:
面接で「技術ブログの○○の記事を読みました。とても参考になりました」と伝えたところ、面接官から「しっかり企業研究されていますね」と好印象を持たれました。企業研究は面接での武器になります。
企業研究の時間がない時の最短ルート
時間がない場合の、最低限の企業研究方法です。
15分でできる企業研究
1. 企業サイトで基本情報を確認(5分)
- 事業内容
- サービス
- 従業員数
2. 技術ブログをチェック(5分)
- 最新記事のタイトルと投稿日
- 使用している技術スタック
3. 口コミサイトで評価を確認(5分)
- 総合評価
- ワークライフバランスの評価
- 最新の口コミ1〜2件
30分でできる企業研究
上記に加えて:
4. IR情報を確認(10分)
- 最新の決算短信
- 売上・利益の推移
- 株価の推移
5. 技術ブログを深読み(5分)
- 最新記事を1本読む
- 技術レベルを判断
これだけは必ずチェック
時間がなくても、以下は必ずチェックしましょう:
- ✅ 事業内容を理解している
- ✅ 技術スタックを把握している
- ✅ 口コミの総合評価を確認した
- ✅ ブラック企業の危険信号がないか確認した
企業研究のよくある質問(FAQ)
Q1: 非上場企業のIR情報はどうやって調べますか?
A: プレスリリース、ニュース記事、資金調達情報を確認しましょう。
非上場企業は決算短信や有価証券報告書を公開していませんが、以下の方法で情報収集できます:
情報源:
- 企業の公式サイト(ニュース・プレスリリース)
- TechCrunch、ITmedia、日経新聞などのニュース記事
- INITIAL、SPEEDA などの企業情報データベース(有料)
- Wantedly、Greenなどの採用サイトのインタビュー記事
Q2: 技術ブログがない企業は避けるべきですか?
A: 必ずしもそうではありませんが、慎重に判断しましょう。
技術ブログがない理由:
- 規模が小さく、ブログを書く余裕がない(スタートアップに多い)
- 技術に力を入れていない
- 情報発信を重視していない文化
判断方法:
- GitHubで活動しているか?
- Qiita、Zennで個人的に発信しているエンジニアがいるか?
- カンファレンスで登壇しているか?
これらがすべてない場合、技術力が低い可能性があります。
Q3: 口コミサイトの情報はどこまで信用できますか?
A: 参考程度にとどめ、他の情報源と組み合わせて判断しましょう。
口コミサイトの限界:
- ネガティブバイアス(不満がある人ほど書く)
- 情報の古さ
- 部署による違い
信頼度を上げる方法:
- 複数の口コミサイトを確認
- 最新の口コミ(1年以内)を重視
- 複数の口コミで共通する指摘に注目
Q4: 企業研究で最も重要な情報源は何ですか?
A: IR情報(上場企業の場合)と技術ブログです。
理由:
- IR情報: 公式データで信頼性が高い
- 技術ブログ: エンジニアにとって最も重要な技術力・文化が分かる
Q5: 企業研究の内容は面接でどう活かせばいいですか?
A: 志望動機と逆質問で活用しましょう。
志望動機の例: 「御社の技術ブログで○○の記事を拝見し、新しい技術への挑戦を積極的に行っている点に魅力を感じました」
逆質問の例: 「決算短信を拝見したところ、売上が前年比30%増と好調ですが、今後の成長戦略について教えてください」
企業研究をしっかりしていることをアピールできます。
Q6: 中小企業やスタートアップの企業研究はどうすればいいですか?
A: 創業者のSNS、Wantedlyのストーリー、社員インタビューを活用しましょう。
中小企業・スタートアップは情報が少ないため、以下を重点的に調査:
- 創業者・CEOのTwitter、note、ブログ
- Wantedlyのストーリー(企業文化、ビジョン)
- 社員のLinkedIn、Twitter
- 資金調達のニュース
Q7: 企業研究で分からないことがあったら、どうすればいいですか?
A: 面接で直接質問しましょう。
企業研究で分からないことは、面接の逆質問で聞くのが確実です。
質問例:
- 「技術的負債の状況について教えてください」
- 「エンジニアの平均残業時間を教えてください」
- 「評価制度はどのようになっていますか?」
遠慮せず、気になることは全て質問しましょう。
Q8: 企業研究をしても、入社後にミスマッチが起こることはありますか?
A: 完全には防げませんが、リスクは大幅に減らせます。
企業研究をしても、実際に働いてみないと分からないこともあります。
ミスマッチを減らす方法:
- カジュアル面談で現場のエンジニアに直接質問
- オフィス見学(可能な場合)
- 入社前にインターンやアルバイトで働いてみる(可能な場合)
- 試用期間中にしっかり見極める
まとめ:企業研究で転職の成功率を上げる5つのポイント
企業研究で最も重要なポイントをまとめます。
ポイント1: IR情報と技術ブログを必ずチェック
IR情報(上場企業):
- 業績の推移
- 従業員数の推移
- 平均年収・平均勤続年数
技術ブログ:
- 更新頻度
- 技術スタック
- 記事の質
この2つを見れば、企業の実態が8割分かります。
ポイント2: ブラック企業の危険信号を見逃さない
以下の危険信号があったら、慎重に判断しましょう:
- 常に求人を出している
- 口コミの評価が3.0以下
- 技術ブログが更新されていない
- 平均勤続年数が3年以下
- 業績が悪化している
ポイント3: 口コミは参考程度に
口コミサイトはネガティブバイアスがあるため、参考程度にとどめましょう。IR情報や技術ブログなど、客観的な情報源を重視します。
ポイント4: 企業研究の内容を面接で活用
企業研究の内容を、志望動機や逆質問で活用しましょう。「しっかり企業研究をしている」という印象を与えられます。
ポイント5: 完璧を求めすぎない
完璧な企業は存在しません。多少の欠点があっても、総合的に判断しましょう。
重視すべき優先順位:
- 技術スタック・学習環境
- 働き方(残業、リモートワーク)
- 給与・待遇
- 企業の安定性・成長性
- 企業文化・価値観
自分にとって何が最も重要かを明確にし、優先順位をつけましょう。
次のステップ:企業研究を活かす
企業研究が完了したら、次のステップに進みましょう。
応募書類の作成
企業研究の内容を、応募書類に反映させましょう。
志望動機の例: 「御社の技術ブログで○○の記事を拝見し、新しい技術への挑戦を積極的に行っている点に魅力を感じました。また、決算短信を拝見したところ、売上が前年比30%増と順調に成長されており、成長企業でキャリアを築きたいという私の希望と合致しています」
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面接対策
企業研究の内容を、面接での逆質問に活用しましょう。
技術面接でよく聞かれる質問50選と回答例【2025年最新・実践的対策】
内定後の判断
複数社から内定をもらった場合、企業研究の内容を見返して、総合的に判断しましょう。
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最後に:企業研究は自分を守る武器
企業研究は、時間がかかり面倒な作業に感じるかもしれません。しかし、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するより、事前に徹底的に調べる方がはるかに効率的です。
私の経験: 企業研究を怠って入社した企業では、3ヶ月で退職しました。次の転職では、1社あたり5時間以上かけて企業研究をした結果、自分に合った企業を見つけることができ、現在も満足して働いています。
企業研究にかけた時間は、決して無駄になりません。むしろ、あなたのキャリアを守る最高の投資です。
この記事が、あなたの企業研究の助けになれば幸いです。
あなたの転職活動が成功することを、心から応援しています!
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転職活動全般:
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著者プロフィール
異業種(営業職)から未経験でエンジニアに転職し、現在3年目。1社目は企業研究不足で3ヶ月で退職。2社目は徹底的な企業研究を行い、自分に合った企業を見つけることができました。この記事では、失敗から学んだ企業研究の重要性と具体的な方法を包み隠さず紹介しています。
このブログ「エンジニア転職ドットコム」では、未経験からエンジニアを目指す人に向けて、実践的なノウハウを発信しています。
お問い合わせ・ご質問
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