「異業種からエンジニアになれるのか?」
この記事を読んでいるあなたも、同じ疑問を抱いているかもしれません。私も2年前、営業職としてのキャリアに行き詰まりを感じていたとき、同じ不安を抱えていました。
結論から言うと、**異業種からエンジニアへの転職は可能です。**そして私は実際に、29歳・営業職5年目という経歴から、未経験でWebエンジニアに転職し、現在は自社開発企業で充実した日々を送っています。
この記事では、私の転職体験を包み隠さず公開します。学習期間、使った教材、書類選考の通過率、面接で聞かれたこと、失敗したこと、そして転職後のリアルな状況まで、すべてお伝えします。
これは、2年前の私と同じように「エンジニアになりたいけど、本当になれるのか不安」と感じているあなたへの記録です。
転職前のプロフィール
まず、転職前の私がどんな人間だったかを紹介します。
基本情報
- 年齢: 29歳
- 学歴: 地方国立大学 経済学部卒
- 職歴: IT系ベンチャー企業で営業職 5年
- 前職年収: 450万円
- プログラミング経験: ほぼゼロ(大学の授業で少しCを触った程度)
エンジニアを目指したきっかけ
営業職として働いていた私がエンジニアを目指した理由は、大きく3つあります。
1. 営業職への限界を感じた
5年間、IT系サービスの営業をしていました。最初の2年は楽しかったのですが、3年目あたりから「このまま営業を続けて本当にいいのか?」という疑問が湧いてきました。
数字に追われる日々、クライアントの無理な要求に応え続ける生活に疲弊していました。何より、「自分の手で何かを作り出す」という実感が持てないことに物足りなさを感じていたのです。
2. エンジニアという仕事への憧れ
営業として、社内のエンジニアと日々やり取りをしていました。彼らが新機能を開発し、リリースする姿を見て、「自分も何かを作る側になりたい」と強く思うようになりました。
特に印象に残っているのは、あるエンジニアの先輩が「今日リリースした機能、お客さんにすごく喜ばれたよ」と嬉しそうに話していた姿です。営業として数字を追うことも大切ですが、「自分の手で価値を生み出す」という実感を持てることに強く惹かれました。
3. 業務効率化ツールを自作した経験
転機となったのは、営業データの集計作業を効率化するために、Pythonで簡単なスクリプトを作ったことでした。
それまで毎日1時間かかっていた作業が、5分で終わるようになりました。この経験で、「プログラミングって面白い!」と初めて実感したのです。
周りの営業メンバーからも「これすごいね!」と言われ、自分の作ったものが誰かの役に立つ喜びを知りました。
これらの経験が重なり、「本格的にエンジニアを目指してみよう」と決意したのが、29歳の4月でした。
学習期間:8ヶ月の軌跡
エンジニア転職を決意してから、実際に内定をもらうまでの8ヶ月間の学習記録を公開します。
Phase 1:基礎学習期間(1〜2ヶ月目)
2023年4月〜5月
まずは基礎から固めることにしました。
学習内容:
- Progate: HTML/CSS、JavaScript基礎
- ドットインストール: Web開発の基本
- YouTube: プログラミング入門動画
学習時間:
- 平日: 2時間(6時〜8時)
- 休日: 5時間
- 合計: 約100時間
この時期の心境:
最初の1ヶ月は楽しかったです。Progateで「Hello World」が表示されたときの感動は今でも覚えています。
ただ、2ヶ月目に入ると「このままでいいのか?」という不安が湧いてきました。チュートリアルをなぞるだけで、本当にエンジニアになれるのか、と。
Phase 2:プログラミングスクール期間(3〜5ヶ月目)
2023年6月〜8月
独学の限界を感じ、プログラミングスクールに通うことを決意しました。
選んだスクール: テックキャンプ(3ヶ月コース、約70万円)
学習内容:
- HTML/CSS、JavaScript(React)
- Ruby on Rails
- データベース(MySQL)
- Git/GitHub
- チーム開発
学習時間:
- 平日: 3時間(仕事終わりと朝)
- 休日: 10時間
- 合計: 約300時間
この時期の心境:
スクールに通い始めて、学習のペースが一気に上がりました。何より、同じ目標を持つ仲間ができたことが大きかったです。
ただ、想像以上にきつかったです。仕事をしながらの学習は、正直、限界を感じることもありました。深夜まで課題に取り組み、朝5時起きで出社する日々。体力的にも精神的にも辛く、何度も「このまま営業を続けた方が楽だ」と思いました。
それでも続けられたのは、同じスクールの仲間の存在と、「絶対にエンジニアになる」という強い決意があったからです。
スクールで学んだ最も大切なこと:
技術的なスキルももちろん大切でしたが、最も価値があったのは「エラーの解決方法」を学べたことです。
エラーが出たときに、どうやって調べるか、どうデバッグするか。この「自走力」こそが、エンジニアに最も必要なスキルだと気づきました。
Phase 3:ポートフォリオ制作期間(6〜8ヶ月目)
2023年9月〜11月
スクールを卒業し、いよいよポートフォリオ制作に取り掛かりました。
制作したポートフォリオ:
1. タスク管理アプリ「TaskFlow」
【概要】
営業職時代の経験を活かした、営業チーム向けのタスク管理アプリ
【主な機能】
- タスクのCRUD操作
- 顧客別・案件別のタスク管理
- 期限アラート機能
- 進捗の可視化(ガントチャート風)
- チームメンバーへの共有機能
【使用技術】
- フロントエンド: React, TypeScript, Tailwind CSS
- バックエンド: Ruby on Rails
- データベース: PostgreSQL
- インフラ: Heroku
【開発期間】1.5ヶ月
【工夫した点】
1. 営業職の経験を活かしたUI設計
実際に営業時代に「こんな機能があったらいいな」と思っていた
ことを実装しました。
2. レスポンシブデザイン完全対応
営業は外出先でスマホを使うことが多いため、
スマホでの使いやすさにこだわりました。
3. パフォーマンス最適化
大量のタスクでもサクサク動くよう、
React.memoやuseCallbackを活用しました。
2. ポートフォリオサイト(自己紹介サイト)
【概要】
自分自身を紹介するポートフォリオサイト
【使用技術】
- React, TypeScript
- Framer Motion(アニメーション)
- Vercel
【工夫した点】
- シンプルで見やすいデザイン
- スクロールアニメーション
- Lighthouse スコア 95点以上
学習時間:
- 平日: 3時間
- 休日: 10時間
- 合計: 約200時間
この時期の心境:
ポートフォリオ制作は、学習期間で最も充実していた時期でした。自分のアイデアを形にできる喜びを実感できました。
ただし、最も苦しんだ時期でもあります。
特に苦労したのは、「どこまで作り込めば十分なのか」という判断でした。完璧を目指そうとすると、いつまでも完成しません。
結局、「60点でもいいから、まず動くものを作って公開する」と決めてから、スムーズに進められました。
総学習時間と費用
学習時間: 約600時間
- Phase 1: 100時間
- Phase 2: 300時間
- Phase 3: 200時間
かかった費用: 約80万円
- プログラミングスクール: 70万円
- 書籍・Udemy: 5万円
- PC・ディスプレイ: 5万円
転職活動:2ヶ月間の記録
2023年12月から本格的に転職活動を開始しました。
応募状況と結果
応募社数: 25社
書類選考:
- 通過: 8社
- 不通過: 17社
- 通過率: 32%
一次面接:
- 通過: 5社
- 不通過: 3社
- 通過率: 62.5%
最終面接:
- 内定: 2社
- 不通過: 3社
- 通過率: 40%
最終結果:
- 内定: 2社
- 書類選考からの内定率: 8%
書類選考で落ちた理由(推測)
書類選考の通過率が32%と低かった理由を分析しました。
考えられる理由:
- ポートフォリオが1つだけだった(最初の10社) 最初は1つしかポートフォリオがなく、アピール材料が不足していました。2つ目を作ってから、通過率が上がりました。
- 職務経歴書の書き方が悪かった 最初は「営業職でした」とだけ書いていましたが、「ITサービスの営業として、エンジニアとの協業経験があり、技術的な理解もある」と具体的に書くようにしたら、通過率が改善しました。
- 応募企業の選定ミス 実務経験5年以上必須の求人に応募していたこともありました。未経験歓迎の求人に絞ってからは、通過率が向上しました。
面接でよく聞かれた質問
実際の面接で聞かれた質問をまとめます。
技術面接:
- 「なぜエンジニアになりたいのか?」 私の回答:
営業職として5年間働く中で、自分の手で価値を生み出したいと 強く思うようになりました。営業では他人が作ったサービスを売りますが、 エンジニアとして、自分が作ったものでユーザーを喜ばせたいと考えています。 また、営業時代に業務効率化ツールをPythonで自作した経験から、 プログラミングの面白さに目覚め、本格的にキャリアチェンジを決意しました。 - 「ポートフォリオについて説明してください」 私の回答:
営業チーム向けのタスク管理アプリを作りました。 営業職時代、タスク管理に課題を感じており、「こんなツールがあったら 便利だろうな」というアイデアを形にしました。 技術的には、React + TypeScript + Ruby on Railsで開発しています。 特にこだわったのは、スマホでの使いやすさです。営業は外出先で スマホを使うことが多いため、レスポンシブデザインを徹底しました。 また、パフォーマンス最適化にも力を入れ、大量のタスクでも サクサク動くよう、React.memoやuseCallbackを活用しています。 - 「独学で苦労したことは?」 私の回答:
最も苦労したのは、エラーの解決方法を学ぶことでした。 最初は、エラーが出るたびにパニックになっていましたが、 プログラミングスクールで「エラーメッセージを読む」「ググる」 「公式ドキュメントを見る」という基本を徹底的に叩き込まれ、 今では自力で解決できるようになりました。 この「自走力」こそが、エンジニアに最も必要なスキルだと 理解しています。 - 「チーム開発の経験は?」 私の回答:
プログラミングスクールで、5人チームでWebアプリを開発した 経験があります。 私はフロントエンドを担当し、他のメンバーとGitHub経由で コラボレーションしました。プルリクエストのレビューや コンフリクトの解決など、チーム開発の基本的な流れを経験しました。 営業職時代もチームで働いていたため、コミュニケーションには 自信があります。 - 「将来、どんなエンジニアになりたいか?」 私の回答:
まずは、フロントエンドエンジニアとして実務経験を積み、 技術力を磨きたいと考えています。 中長期的には、バックエンドやインフラにも知見を広げ、 フルスタックエンジニアを目指したいです。 また、営業職で培ったユーザー視点を活かし、 「使いやすさ」にこだわった開発ができるエンジニアに なりたいと考えています。
人事面接:
- 「前職の退職理由は?」 私の回答:
営業職として5年間働き、やりがいも感じていましたが、 「自分の手で何かを作り出したい」という思いが強くなり、 エンジニアへのキャリアチェンジを決意しました。 前職での経験は決して無駄ではなく、営業で培った コミュニケーション能力やユーザー視点は、エンジニアとしても 活かせると考えています。 - 「なぜ弊社を志望したのか?」 この質問は企業ごとに変えました。重要なのは、
- その企業のプロダクトに興味がある
- 企業文化に共感している
- 未経験者を育てる環境がある
- 「年収はいくらを希望しますか?」 私の回答:
現職が450万円ですが、未経験であることを考慮すると、 300万円〜400万円を想定しています。 ただし、金額よりも、成長できる環境と、学習機会が あることを重視しています。
内定をもらった2社の比較
A社(受託開発企業)
- 年収: 320万円
- 勤務地: 東京(客先常駐あり)
- 業務内容: 大手企業向けシステム開発
- 研修: 1ヶ月
- 社員数: 50名
B社(自社開発企業)
- 年収: 350万円
- 勤務地: 東京(フルリモート可)
- 業務内容: 自社Webサービスの開発
- 研修: 3ヶ月(OJT含む)
- 社員数: 30名
選んだのはB社(自社開発企業)
理由は以下の通りです:
- 自社開発の経験を積みたかった
- リモートワーク可で、通勤時間を学習に充てられる
- 研修期間が長く、しっかり育ててもらえる環境
- 年収も30万円高い
A社も魅力的でしたが、「客先常駐」という働き方に不安がありました。最初のキャリアは、自社開発で経験を積みたいと考え、B社を選択しました。
転職後のリアル:入社1年目の記録
2024年2月にB社に入社し、現在(2025年10月)で約1年8ヶ月が経過しました。
入社直後(1〜3ヶ月目)
研修内容:
- 1ヶ月目: 社内システムの理解、開発環境構築
- 2ヶ月目: 既存コードの読解、簡単なバグ修正
- 3ヶ月目: 小規模な機能追加(先輩のレビュー付き)
この時期の心境:
正直、最初の1ヶ月は「本当に自分がエンジニアとして働いているんだ」という実感が湧きませんでした。
既存コードの量に圧倒され、「自分にできるのか?」という不安もありました。
ただ、先輩エンジニアが丁寧に教えてくれたおかげで、少しずつ自信がついてきました。
最初の成功体験:
入社2ヶ月目、初めて自分が修正したバグがプロダクションにデプロイされたときは、本当に嬉しかったです。
「自分の書いたコードが、実際にユーザーに届いている」という実感。これがエンジニアの醍醐味だと感じました。
実務開始(4〜6ヶ月目)
担当業務:
- 既存機能の改善
- 新機能の実装(小〜中規模)
- バグ修正
- コードレビュー(レビュイーとして)
技術的な成長:
- Reactの深い理解(Hooks、Context API、カスタムフック)
- TypeScriptの型設計
- テストコードの書き方(Jest、React Testing Library)
- Git のブランチ戦略(Git Flow)
この時期の心境:
4ヶ月目あたりから、少しずつ「エンジニアとして働いている」という実感が湧いてきました。
ただし、まだまだ分からないことだらけで、毎日が勉強の連続でした。先輩に質問する回数は、1日10回以上。「こんなに質問して迷惑じゃないかな」と心配になることもありました。
しかし、先輩からは「どんどん質問していいよ。質問しないで間違った方向に進む方が問題だから」と言われ、安心して質問できるようになりました。
最大の失敗:
5ヶ月目、本番環境で致命的なバグを出してしまいました。
ユーザーがログインできなくなるという、非常に重大なバグです。原因は、私のコードレビューの見落としでした。
すぐにロールバックして対応しましたが、この経験は今でも忘れられません。「テストの重要性」「本番環境へのデプロイの怖さ」を身をもって学びました。
それ以来、テストコードを書くことと、デプロイ前の確認を徹底するようになりました。
一人前に近づく(7〜12ヶ月目)
担当業務:
- 新機能の設計〜実装(中〜大規模)
- 技術選定への参加
- 後輩(新入社員)のメンター
- コードレビュー(レビュアーとして)
技術的な成長:
- アーキテクチャ設計の基礎
- パフォーマンス最適化
- セキュリティの基礎知識
- AWSの基本(S3、CloudFront、Lambda)
この時期の心境:
1年が経過し、ようやく「一人前のエンジニア」に近づいてきたと感じました。
もちろん、まだまだ先輩には及びませんが、小〜中規模の機能なら、自分一人で設計から実装、テスト、デプロイまでできるようになりました。
最大の達成:
入社10ヶ月目、初めて自分が主担当として、大きな新機能をリリースしました。
企画段階から参加し、設計、実装、テスト、リリースまで、すべて自分が中心となって進めました。もちろん、先輩のレビューやサポートはありましたが、「自分が作った機能」という実感が強くありました。
リリース後、ユーザーから「この機能、すごく便利です!」というフィードバックが届いたときは、本当に嬉しかったです。
「ああ、エンジニアになって良かった」と心から思えた瞬間でした。
現在(入社1年8ヶ月)
現在の業務:
- 新機能の設計〜実装(大規模)
- チームリーダー(3人チーム)
- 技術選定・アーキテクチャ設計への積極的な参加
- 新入社員の教育・メンタリング
年収:
- 入社時: 350万円
- 現在: 420万円(+70万円)
評価面談で、「未経験入社ながら、期待以上の成長を見せている」と評価され、昇給しました。
技術スタック:
- フロントエンド: React、TypeScript、Next.js
- バックエンド: Node.js、Express、PostgreSQL
- インフラ: AWS(EC2、S3、CloudFront、Lambda)
- その他: Docker、GitHub Actions、Jest
この時期の心境:
入社から1年8ヶ月が経ち、ようやく「エンジニアとして一人前」と言えるレベルに達してきたと感じています。
もちろん、まだまだ学ぶことは山ほどありますが、「分からないことを自力で調べて解決する」「適切な技術選定ができる」「後輩に教えられる」といった、エンジニアに必要な基礎は身についてきました。
転職して良かったこと・後悔していること
良かったこと
1. 自分の手で価値を生み出せる喜び
営業職では、他人が作ったサービスを売っていました。しかし、エンジニアになってからは、自分の手で何かを作り、ユーザーに届けられます。
この「作る喜び」は、何物にも代えがたいものです。
2. 市場価値の向上
エンジニアとしての経験を積むことで、市場価値が確実に上がっています。
転職サイトに登録していると、スカウトメールが定期的に届くようになりました。「経験2年でも、これだけ需要があるんだ」と実感しています。
3. 働き方の柔軟性
リモートワークができるため、通勤時間がゼロになりました。この時間を学習や趣味に充てられるのは、大きなメリットです。
また、フレックスタイム制なので、朝早く起きて勉強してから出社するなど、自分のペースで働けます。
4. 継続的に学び続けられる環境
IT業界は技術の進化が早く、常に新しいことを学び続ける必要があります。
これを「大変」と感じる人もいるかもしれませんが、私にとっては「飽きない」「常に成長できる」というメリットです。
5. 前職よりも年収が下がらなかった
未経験転職では年収が大幅に下がることも覚悟していましたが、前職450万円→転職後350万円→現在420万円と、1年8ヶ月で前職に近い水準まで回復しました。
今後、さらに経験を積めば、前職を大きく超える年収も十分に可能だと感じています。
後悔していること・大変だったこと
1. もっと早く転職すれば良かった
29歳での転職は、決して遅くはありませんが、もし25歳で決断していたら、もっと多くの経験を積めていたと思います。
「エンジニアになりたい」と思ったら、早めに行動することをお勧めします。
2. 最初の半年は本当にきつかった
未経験からのスタートは、想像以上にきつかったです。
周りのエンジニアが当たり前のようにやっていることが、自分にはできない。この「できない感」は、精神的にかなり堪えました。
特に最初の3ヶ月は、毎日「自分には向いていないのではないか」と自問自答していました。
ただ、半年を過ぎると徐々に慣れてきて、1年経った今では「あの苦労があったから成長できた」と思えるようになりました。
3. 学習時間の確保が大変
エンジニアになっても、学習は終わりません。むしろ、実務で触れる技術が増えるため、学ぶべきことは増えます。
仕事終わりや週末に学習時間を確保するのは、正直、大変です。特に疲れているときは、「今日はいいかな…」と思うこともあります。
それでも、継続的に学習することが、エンジニアとして成長する唯一の方法だと理解しているので、何とか続けています。
4. 前職の営業スキルが直接は活きていない
「営業職で培ったスキルが、エンジニアでも活きる」と期待していましたが、思ったほど直接的には活きていません。
もちろん、コミュニケーション能力は重要ですが、営業とエンジニアでは求められるコミュニケーションの質が違います。
営業では「相手を説得する」コミュニケーションでしたが、エンジニアでは「正確に情報を伝える」「建設的に議論する」コミュニケーションが求められます。
この違いに最初は戸惑いました。
異業種からエンジニア転職を成功させる10のポイント
私の経験から、異業種からエンジニア転職を成功させるために重要なポイントをまとめます。
1. 「なぜエンジニアになりたいか」を明確にする
面接で必ず聞かれる質問です。そして、これは自分自身への問いでもあります。
NGな理由:
- 「年収が高いから」
- 「楽そうだから」
- 「リモートワークができるから」
OKな理由:
- 「自分の手で価値を生み出したいから」
- 「技術で課題を解決したいから」
- 「継続的に学び続けられる環境で働きたいから」
表面的な理由ではなく、本質的な「なぜ」を持つことが、学習や転職活動のモチベーションになります。
2. 学習開始前に「何を学ぶか」を決める
プログラミング言語やフレームワークは無数にあります。すべてを学ぶことは不可能です。
私のおすすめ(2025年時点):
- フロントエンド志望: HTML/CSS → JavaScript → React → TypeScript
- バックエンド志望: Python/Ruby → フレームワーク(Django/Rails) → SQL
- インフラ志望: Linux → AWS → Docker → Kubernetes
最初から広く浅くではなく、1つの領域を深く学ぶことが重要です。
3. プログラミングスクールは「投資」と考える
プログラミングスクールの費用は決して安くありません。私も70万円かかりました。
しかし、これは「投資」です。独学で1年かかることを、3ヶ月で学べるなら、時間的にも金銭的にもプラスです。
スクールを選ぶポイント:
- 転職サポートがあるか
- 実践的なカリキュラムか
- メンターサポートが充実しているか
- 卒業生の転職実績はどうか
私はテックキャンプを選びましたが、他にも良いスクールはたくさんあります。無料体験や説明会に参加して、自分に合ったスクールを選びましょう。
4. ポートフォリオは「質」より「完成度」
完璧なポートフォリオを作ろうとして、いつまでも完成しない人が多いです。
私も最初はそうでした。しかし、「60点でもいいから、まず完成させる」と決めてから、スムーズに進められました。
ポートフォリオで重要なこと:
- ちゃんと動くこと
- GitHubに公開されていること
- README.mdが充実していること
- デプロイされていて、実際に触れること
完璧である必要はありません。まずは「動くもの」を作りましょう。
5. 転職活動は「数打てば当たる」
書類選考の通過率は、未経験者の場合、30%程度が普通です。
つまり、10社応募して3社通過すれば上出来なのです。
私も25社応募して、内定は2社でした。落ちることは当たり前です。落ち込む必要はありません。
重要なのは、落ちた理由を分析し、改善することです。
6. 転職エージェントを必ず使う
転職エージェントは無料で利用でき、以下のサポートをしてくれます:
- 求人の紹介
- 職務経歴書の添削
- 面接対策
- 年収交渉
特に、職務経歴書の添削と面接対策は、非常に価値がありました。
おすすめのエージェント:
- レバテックキャリア(エンジニア特化)
- マイナビIT AGENT(未経験者に優しい)
- ワークポート(IT業界全般)
複数のエージェントに登録し、相性の良いキャリアアドバイザーを見つけることが重要です。
7. 前職の経験を「エンジニアリングと結びつける」
異業種からの転職では、「前職の経験をどう活かすか」が重要です。
私の場合:
- 営業経験 → ユーザー視点でのUI/UX設計
- チームマネジメント → 開発チームでのコミュニケーション
- 業務効率化ツールの自作 → プログラミングへの興味
前職で培ったスキルは、必ずエンジニアリングに活きます。それを言語化し、面接でアピールしましょう。
8. 「年収が下がる」ことを覚悟する
未経験転職では、年収が下がることが多いです。
私も、前職450万円 → 転職後350万円と、100万円下がりました。
ただし、エンジニアとしての経験を積めば、すぐに元の年収を超えられます。実際、私は1年8ヶ月で420万円まで回復しました。
短期的な年収ダウンは、長期的な年収アップへの投資と考えましょう。
9. 入社後も学習を続ける
エンジニアになったら、学習が終わるわけではありません。むしろ、実務で触れる技術が増えるため、学ぶべきことは増えます。
私の学習習慣:
- 平日: 朝1時間(6時〜7時)
- 休日: 3〜5時間
- 月1冊: 技術書を読む
- 月2本: Udemyで学習
継続的に学習することが、エンジニアとして成長する唯一の方法です。
10. 「最初の1年は修行」と考える
未経験からのスタートは、本当にきついです。
周りができることが自分にはできない。この「できない感」は、精神的にかなり堪えます。
しかし、最初の1年は修行期間と割り切ることが重要です。
私も最初の半年は、毎日「向いていないのでは?」と思っていました。しかし、1年経った今では、「あの苦労があったから成長できた」と思えます。
よくある質問:異業種転職のリアル
私が転職前に知りたかったこと、そして実際に転職してみて分かったことをQ&A形式でまとめます。
Q1. 30歳でも未経験転職できますか?
A. できます。ただし、20代よりハードルは高いです。
私は29歳で転職しましたが、30代前半までなら十分に可能です。
ただし、以下の点を意識する必要があります:
- ポートフォリオの完成度を高める
- 前職の経験をどう活かすかを明確にする
- 学習意欲の高さをアピールする
30代後半以降は、さらに難易度が上がりますが、不可能ではありません。実際、35歳で未経験転職した方もいます。
Q2. 文系出身でも大丈夫ですか?
A. 全く問題ありません。
私も経済学部出身の文系です。エンジニアの中には、文系出身者も多くいます。
数学が苦手でも、Web開発なら高度な数学は必要ありません。論理的思考力があれば、十分にやっていけます。
Q3. 独学とスクール、どちらがいいですか?
A. 予算があるならスクール、時間があるなら独学。
スクールのメリット:
- 体系的に学べる
- メンターに質問できる
- モチベーションを維持しやすい
- 転職サポートがある
独学のメリット:
- 費用がかからない
- 自分のペースで学べる
- 自走力が身につく
私はスクールを選びましたが、独学でも十分に転職可能です。ただし、独学の場合、ポートフォリオの質が非常に重要になります。
Q4. どのくらい勉強すれば転職できますか?
A. 最低でも500〜1,000時間は必要です。
私の場合:
- 学習期間: 8ヶ月
- 総学習時間: 約600時間
人によって異なりますが、フルタイムで働きながらなら、6ヶ月〜1年は覚悟した方がいいでしょう。
Q5. 年収はどのくらいになりますか?
A. 最初は300万円〜400万円が相場です。
未経験転職の初年度年収:
- 受託開発企業: 280万円〜350万円
- 自社開発企業: 300万円〜400万円
- メガベンチャー: 350万円〜450万円
ただし、経験を積めばすぐに上がります。私も1年8ヶ月で350万円 → 420万円になりました。
Q6. リモートワークできますか?
A. 企業によります。未経験者は難しいことも。
私の会社はリモートワーク可でしたが、最初の3ヶ月は週5日出社でした。
理由は、「分からないことをすぐ聞ける環境」の方が成長が早いからです。
ただし、4ヶ月目以降は週2〜3日リモートで働いています。
Q7. 残業は多いですか?
A. 企業によって大きく異なります。
私の会社:
- 平均残業時間: 月20時間程度
- 繁忙期(リリース前): 月40時間程度
受託開発企業やSIerは、残業が多い傾向があります。自社開発企業は、比較的ワークライフバランスが良い企業が多いです。
応募前に、転職口コミサイト(OpenWork、転職会議など)で確認することをお勧めします。
Q8. 面接で「なぜ未経験からエンジニアに?」と聞かれたら?
A. 「前職で得た気づき」と「プログラミングの面白さ」を伝える。
私の回答(再掲):
営業職として5年間働く中で、自分の手で価値を生み出したいと
強く思うようになりました。
営業時代に業務効率化ツールをPythonで自作した経験から、
プログラミングの面白さに目覚め、本格的にキャリアチェンジを
決意しました。
前職で培ったユーザー視点やコミュニケーション能力を活かし、
使いやすいプロダクトを作れるエンジニアになりたいと考えています。
ポイントは:
- ネガティブな理由(前職への不満)ではなく、ポジティブな理由を述べる
- 具体的なエピソードを入れる
- 前職の経験をどう活かすかを伝える
Q9. 挫折しそうになったらどうすればいいですか?
A. 仲間を作り、小さな成功体験を積み重ねる。
エンジニア転職は、孤独な戦いになりがちです。特に独学の場合、挫折する人が多いのが現実です。
挫折を防ぐ方法:
- プログラミングコミュニティに参加する
- オンラインコミュニティ(Discord、Slack)
- 勉強会(connpass、TECH PLAYなど)
- Twitter(X)で学習ログを発信
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 「今日はこれができた」を毎日記録
- 1週間に1つ、小さなアプリを作る
- GitHubに毎日コミット
- 目標を明確にする
- 「〇月までに転職する」
- 「毎日2時間勉強する」
- 「ポートフォリオを3つ作る」
私も何度も挫折しそうになりましたが、同じ目標を持つ仲間の存在と、小さな成功体験の積み重ねで乗り越えられました。
Q10. 今の会社を辞めてから学習すべきですか?
A. できれば働きながら学習することをお勧めします。
働きながら学習するメリット:
- 収入が途切れない
- 学習期間が長引いても焦らない
- 面接で「計画性がある」と評価される
退職してから学習するメリット:
- 学習に集中できる
- 短期間で転職できる
- プレッシャーがモチベーションになる
私は働きながら学習しましたが、正直かなりきつかったです。ただ、退職してから学習する場合、「早く転職しなきゃ」というプレッシャーで、焦って失敗するリスクもあります。
どちらが正解かは、個人の状況によります。
2年前の自分に伝えたいこと
もし2年前の、エンジニア転職を考え始めたばかりの自分に会えるなら、こう伝えたいです。
1. 「もっと早く始めればよかった」と後悔する
エンジニアになって1年8ヶ月が経った今、「もっと早く転職すればよかった」と心から思います。
迷っている時間がもったいないです。やってみて合わなかったら、また考えればいい。
2. 最初の半年は本当にきついけど、耐えられる
学習期間も、入社後の最初の半年も、想像以上にきついです。
でも、耐えられます。そして、その苦労は決して無駄になりません。
3. 完璧を目指さなくていい
ポートフォリオも、職務経歴書も、面接の準備も、完璧を目指さなくていいです。
60点でも、70点でもいい。まずは行動することが大切です。
4. 周りと比較しなくていい
SNSを見ると、「すごいエンジニア」がたくさんいます。彼らと自分を比較して、落ち込む必要はありません。
大切なのは、昨日の自分より成長することです。
5. エンジニアになって本当に良かった
これが最も伝えたいことです。
エンジニアになって、人生が変わりました。毎日が充実しています。学ぶことが楽しいです。
もし、あなたが「エンジニアになりたい」と少しでも思っているなら、ぜひ挑戦してください。
まとめ:異業種からエンジニア転職は可能です
この記事では、私が営業職からWebエンジニアに転職した2年間の全記録を公開しました。
私の転職ストーリー:
- 29歳、営業職5年目からのキャリアチェンジ
- 学習期間: 8ヶ月(約600時間)
- 費用: 約80万円(スクール代含む)
- 応募社数: 25社
- 内定: 2社
- 現在: 自社開発企業で1年8ヶ月、年収420万円
成功のポイント:
- 「なぜエンジニアになりたいか」を明確にする
- 計画的に学習を進める
- ポートフォリオを複数作る
- 転職エージェントを活用する
- 前職の経験をエンジニアリングに結びつける
転職後のリアル:
- 最初の半年は本当にきつい
- でも、1年経てば「一人前」に近づける
- 学習は一生続く
- それでも、エンジニアになって本当に良かった
異業種からエンジニアへの転職は、決して簡単ではありません。学習も、転職活動も、入社後も、苦労の連続です。
でも、挑戦する価値は絶対にあります。
もし、あなたが「エンジニアになりたい」と思っているなら、今すぐ行動を始めてください。
迷っている時間がもったいないです。まずは、Progateの無料体験から始めてみませんか?
あなたの挑戦を、心から応援しています。# 私が異業種からエンジニア転職した全記録
「異業種からエンジニアになれるのか?」
この記事を読んでいるあなたも、同じ疑問を抱いているかもしれません。私も2年前、営業職としてのキャリアに行き詰まりを感じていたとき、同じ不安を抱えていました。
結論から言うと、**異業種からエンジニアへの転職は可能です。**そして私は実際に、29歳・営業職5年目という経歴から、未経験でWebエンジニアに転職し、現在は自社開発企業で充実した日々を送っています。
この記事では、私の転職体験を包み隠さず公開します。学習期間、使った教材、書類選考の通過率、面接で聞かれたこと、失敗したこと、そして転職後のリアルな状況まで、すべてお伝えします。
これは、2年前の私と同じように「エンジニアになりたいけど、本当になれるのか不安」と感じているあなたへの記録です。
転職前のプロフィール
まず、転職前の私がどんな人間だったかを紹介します。
基本情報
- 年齢: 29歳
- 学歴: 地方国立大学 経済学部卒
- 職歴: IT系ベンチャー企業で営業職 5年
- 前職年収: 450万円
- プログラミング経験: ほぼゼロ(大学の授業で少しCを触った程度)
エンジニアを目指したきっかけ
営業職として働いていた私がエンジニアを目指した理由は、大きく3つあります。
1. 営業職への限界を感じた
5年間、IT系サービスの営業をしていました。最初の2年は楽しかったのですが、3年目あたりから「このまま営業を続けて本当にいいのか?」という疑問が湧いてきました。
数字に追われる日々、クライアントの無理な要求に応え続ける生活に疲弊していました。何より、「自分の手で何かを作り出す」という実感が持てないことに物足りなさを感じていたのです。
2. エンジニアという仕事への憧れ
営業として、社内のエンジニアと日々やり取りをしていました。彼らが新機能を開発し、リリースする姿を見て、「自分も何かを作る側になりたい」と強く思うようになりました。
特に印象に残っているのは、あるエンジニアの先輩が「今日リリースした機能、お客さんにすごく喜ばれたよ」と嬉しそうに話していた姿です。営業として数字を追うことも大切ですが、「自分の手で価値を生み出す」という実感を持てることに強く惹かれました。
3. 業務効率化ツールを自作した経験
転機となったのは、営業データの集計作業を効率化するために、Pythonで簡単なスクリプトを作ったことでした。
それまで毎日1時間かかっていた作業が、5分で終わるようになりました。この経験で、「プログラミングって面白い!」と初めて実感したのです。
周りの営業メンバーからも「これすごいね!」と言われ、自分の作ったものが誰かの役に立つ喜びを知りました。
これらの経験が重なり、「本格的にエンジニアを目指してみよう」と決意したのが、29歳の4月でした。
学習期間:8ヶ月の軌跡
エンジニア転職を決意してから、実際に内定をもらうまでの8ヶ月間の学習記録を公開します。
Phase 1:基礎学習期間(1〜2ヶ月目)
2023年4月〜5月
まずは基礎から固めることにしました。
学習内容:
- Progate: HTML/CSS、JavaScript基礎
- ドットインストール: Web開発の基本
- YouTube: プログラミング入門動画
学習時間:
- 平日: 2時間(6時〜8時)
- 休日: 5時間
- 合計: 約100時間
この時期の心境:
最初の1ヶ月は楽しかったです。Progateで「Hello World」が表示されたときの感動は今でも覚えています。
ただ、2ヶ月目に入ると「このままでいいのか?」という不安が湧いてきました。チュートリアルをなぞるだけで、本当にエンジニアになれるのか、と。
Phase 2:プログラミングスクール期間(3〜5ヶ月目)
2023年6月〜8月
独学の限界を感じ、プログラミングスクールに通うことを決意しました。
選んだスクール: テックキャンプ(3ヶ月コース、約70万円)
学習内容:
- HTML/CSS、JavaScript(React)
- Ruby on Rails
- データベース(MySQL)
- Git/GitHub
- チーム開発
学習時間:
- 平日: 3時間(仕事終わりと朝)
- 休日: 10時間
- 合計: 約300時間
この時期の心境:
スクールに通い始めて、学習のペースが一気に上がりました。何より、同じ目標を持つ仲間ができたことが大きかったです。
ただ、想像以上にきつかったです。


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