「転職で年収を上げたいけど、交渉なんてしていいの?」
エンジニア転職を考えているあなたにとって、年収は最も重要な決断材料の一つです。しかし、年収交渉に対して「印象が悪くなるのでは?」「そもそも交渉していいの?」と不安に感じる方は少なくありません。
実は、エンジニア転職では年収交渉は当たり前です。レバテックの調査によれば、直近で転職したIT・デジタル人材のうち約6割が年収アップを実現し、条件によっては100万円以上伸びるケースも珍しくありません。
この記事では、実際に100万円以上の年収アップに成功した実例をもとに、年収交渉の正しいタイミング、具体的な交渉術、そして失敗を避けるポイントまで徹底解説します。
エンジニア転職で年収が上がる理由
なぜエンジニアは転職で年収が上がりやすいのでしょうか。その背景には、IT業界特有の構造があります。
理由1:深刻な人材不足
2025年以降も、IT人材の需要は引き続き高水準で推移すると予測されています。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れは加速しており、あらゆる業界でIT技術の活用が進んでいます。
経済産業省の試算によると、2030年には約79万人のIT人材が不足すると予測されています。この需給ギャップが、エンジニアの年収を押し上げる最大の要因です。
理由2:社内昇給より転職の方が早い
転職を繰り返すと一般的には「収入が不安定になるのでは」と思われがちですが、IT業界ではむしろ転職回数が多い人ほど年収が高い傾向がデータからも示されています。
社内昇給の場合:
- 年間昇給率:3〜5%程度
- 500万円の3%=15万円/年
- 600万円に達するまで約7年
転職による年収アップの場合:
- 一度の転職で10〜30%アップも可能
- 500万円の20%=100万円アップ
- 一気に600万円に到達
理由3:企業間の年収格差が大きい
同じ職位であっても企業によって全然年収は変わってきます。同じ働き方のレベルが求められているにもかかわらず給与が全然違うなんてことはザラにあります。
例:同じ経験5年のReactエンジニア
- 受託開発企業:400万円〜500万円
- 自社開発企業:500万円〜700万円
- メガベンチャー:700万円〜900万円
- 外資系IT企業:800万円〜1,200万円
同じスキルセットでも、企業が違えば年収に最大3倍の差が生じるのです。
理由4:スキルが可視化しやすい
エンジニアは、他の職種と比較してスキルが可視化しやすいという特徴があります。
- 使用できるプログラミング言語
- フレームワークの経験
- プロジェクト規模
- GitHubの公開コード
- 技術ブログでの発信
これらの客観的な指標があるため、企業側も評価しやすく、年収交渉もしやすいのです。
理由5:交渉が文化として根付いている
マイナビキャリアリサーチLabが実施した「2023年3月度 中途採用・転職活動の定点調査」によると、半数以上の企業が、中途入社者から給与(年収)交渉があった場合には「給与(年収)を上げる余地があった」と回答しています。
特にIT業界、中でもエンジニア職は、実力主義・成果主義の文化が強いため、年収交渉がむしろ当たり前と受け止められています。
年収交渉の現実:データが示す真実
「年収交渉をすると印象が悪くなる」と思っている方が多いですが、データを見ると実態は異なります。
交渉した人の約9割が年収アップに成功
給与(年収)交渉を実践した中途入社者の約90%が給与アップを実現しています。
交渉した場合:
- 年収アップした人:90%
- 変わらなかった人:8%
- 下がった人:2%
交渉しなかった場合:
- 年収アップした人:43.0%
- 変わらなかった人:31.1%
- 下がった人:25.9%
つまり、交渉するだけで年収アップの確率が2倍以上になるのです。
交渉の有無で昇給率に10ポイントの差
直近5年以内にIT・デジタル職種へ転職した人のうち、実際に賃金交渉を行ったのは全体の36%にとどまることがわかりました。交渉を行った人の62%が年収増加を実現しているのに対し、交渉を行わなかった人では52%にとどまるという結果が見られます。つまり、交渉の有無で昇給実現率に約10ポイントの差が生じています。
多くの人が「交渉しても変わらない」と考えて交渉していませんが、実際にはやるだけで結果が変わるのです。
エンジニアの平均年収アップ額
ビズリーチを利用したITエンジニアの多くが平均120万円の年収アップを実現(2022年7月時点)しており、キャリアアップを目指す方に最適なサービスです。
レバテックキャリアで転職した3人に2人が年収70万円UPを実現しています(2023年1月〜2024年3月実績)。
つまり、適切に転職すれば70万円〜120万円のアップは十分に現実的なのです。
実例:年収100万円以上アップに成功したケース
ここでは、実際に年収100万円以上のアップに成功した3つの実例を紹介します。
実例1:受託開発から自社開発へ(年収+150万円)
プロフィール:
- 年齢:29歳
- 職種:Webエンジニア(フロントエンド)
- 経験年数:5年
転職前:
- 企業:中堅SIer(受託開発)
- 年収:450万円
- 業務:客先常駐でのWeb開発
転職後:
- 企業:自社開発のWebサービス企業
- 年収:600万円(+150万円)
- 業務:自社サービスのフロントエンド開発
年収アップの理由:
- 企業の年収レンジの違い 受託開発企業と自社開発企業では、そもそもの年収テーブルが異なります。
- React経験が高く評価された 5年間のReact実務経験が、自社開発企業で即戦力と評価されました。
- 交渉で50万円上乗せ 最初の提示は550万円でしたが、現職の低さと市場相場を理由に交渉し、600万円で合意しました。
交渉のポイント:
「現職では450万円ですが、同業種・同経験年数の相場を調べたところ、
550万円〜650万円が一般的だと理解しています。
5年間のReact実務経験と、チームリードの経験を活かし、
貴社に貢献できると考えていますので、600万円でのご検討を
いただけますでしょうか」
実例2:地方から東京へ(年収+200万円)
プロフィール:
- 年齢:32歳
- 職種:バックエンドエンジニア
- 経験年数:7年
転職前:
- 企業:地方のSI企業
- 年収:500万円
- 業務:金融系システムの保守・運用
転職後:
- 企業:東京のメガベンチャー
- 年収:700万円(+200万円)
- 業務:新規サービスのバックエンド開発
年収アップの理由:
- 地域格差の解消 地方と東京では、同じスキルでも年収に100万円以上の差があります。
- モダンな技術スタックの習得 業務外でGo言語やKubernetesを学習し、ポートフォリオで実績を示しました。
- 複数内定による競合 3社から内定を得て、最も条件の良い企業を選択できました。
交渉のポイント:
「地方から東京への転職となるため、生活コストの上昇も考慮し、
700万円を希望しています。
他社からも内定をいただいていますが、貴社のプロダクトに
最も魅力を感じており、ぜひ貴社で働きたいと考えています。
ご検討いただけますと幸いです」
実例3:日系企業から外資系へ(年収+350万円)
プロフィール:
- 年齢:35歳
- 職種:インフラエンジニア
- 経験年数:10年
転職前:
- 企業:大手日系IT企業
- 年収:700万円
- 業務:オンプレミスインフラの運用
転職後:
- 企業:外資系クラウドベンダー
- 年収:1,050万円(+350万円)
- 業務:クラウドインフラの設計・構築
年収アップの理由:
- 外資系企業の高い年収水準 外資系IT企業は、日系企業と比較して年収が1.5〜2倍高いのが一般的です。
- AWS資格による専門性の証明 AWS認定ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)を保有していたことが大きく評価されました。
- 英語力 TOEIC 850点と、英語でのコミュニケーション能力が評価されました。
交渉のポイント:
「現職では700万円ですが、外資系企業の相場と、私の専門性を
考慮すると、1,000万円以上が妥当と考えています。
AWS プロフェッショナルレベルの資格と10年の実務経験、
そして英語でのグローバルチームとの協業経験を活かし、
貴社に貢献できると確信しています」
年収交渉のベストタイミング
年収交渉は「いつ」「どのように」切り出すかが成否を分けます。
タイミング1:内定後〜内定承諾前(最も推奨)
給与交渉のベストなタイミングは、転職では「内定後〜内定承諾前」です。
このタイミングが最適な理由:
- 企業側が「採用したい」と決めた後 内定が出た時点で、企業は「この人を採用したい」と決定しています。交渉の余地が最も大きい状態です。
- オファー面談前に伝えられる オファー面談とは、入社後の労働条件や詳しい仕事内容、入社日の調整などを行う、内定後に実施する面談です。オファー面談の前に給与交渉を終わらせておけば、オファー面談時に希望どおりの給与額を提示してもらえる可能性が高くなります。
- 内定辞退の可能性を示せる 内定承諾前であれば、「他社の条件と比較している」という状況を伝えることができます。
具体的な切り出し方:
「内定をいただきありがとうございます。非常に嬉しく思っています。
入社の意思は固まっているのですが、条件面について
ご相談させていただきたい点がございます。
現在の年収が〇〇万円で、転職に際しては△△万円を
希望しております。ご検討いただくことは可能でしょうか?」
タイミング2:オファー面談時
オファー面談は、労働条件を最終調整する場です。このタイミングでの交渉も一般的です。
オファー面談での交渉ポイント:
- 提示された年収を一度受け止める
- 「検討させてください」と時間をもらう
- 2〜3日後に希望を伝える
例文:
「ご提示いただいた条件について、前向きに検討させていただきます。
一点、年収について相談させていただきたいのですが、
現職が〇〇万円で、生活設計の観点から△△万円を
希望しております。
ご検討いただけますでしょうか?」
タイミング3:面接中に聞かれた場合
企業側から「希望年収は?」と聞かれた場合は、正直に答えてOKです。
ただし、選考中の自発的な年収交渉はNGです。
選考中に求職者から年収交渉があった場合、「選考への影響があるか」と聞いた調査の結果によると、「選考の通過が難しくなる」「選考の通過がやや難しくなる」と回答した企業があわせて68.8%に達しています。タイミングや交渉内容を見誤ると、選考通過に影響をおよぼしかねないということです。
聞かれた場合の答え方:
「現在は〇〇万円で、転職では△△万円を希望しております。
ただし、業務内容や裁量の大きさなども重要視していますので、
総合的に判断させていただきたいと考えています」
NGなタイミング
❌ 面接の序盤で自分から切り出す →「お金目当て」の印象を与えます
❌ 内定承諾後 →交渉の余地がほぼゼロになります
❌ 複数回しつこく交渉する →印象が悪くなり、最悪の場合内定取り消しも
年収交渉を成功させる5つのステップ
年収交渉は、ただ「〇〇万円欲しいです」と言うだけでは成功しません。入念な準備と戦略が必要です。
ステップ1:自分の市場価値を調べる
まず、自分のスキル・経験が市場でどう評価されるかを客観的に把握しましょう。
調べ方:
- 転職サイトの求人票を確認
- 「React 経験3年」で検索
- 年収レンジを複数の求人で確認
- 平均値を算出
- スカウトサービスに登録
- ビズリーチ、Green、Wantedlyなど
- 届くスカウトの年収提示額を確認
- 転職エージェントに相談
- プロの視点で市場価値を査定してもらう
- 「あなたなら〇〇万円が相場」と具体的に教えてくれる
- 年収診断ツールを使う
- dodaの年収査定
- レバテックキャリアの年収予測機能
- マイナビIT AGENTの年収診断
例:市場価値の算出
【自分のスキル】
・React実務経験3年
・TypeScript実務経験2年
・チームリーダー経験1年
・東京勤務
【市場価値の調査結果】
・転職サイトの求人:500万円〜700万円
・スカウトの提示額:550万円〜650万円
・エージェントの査定:600万円程度
【結論】
市場価値は550万円〜650万円
交渉の目標は600万円〜650万円
ステップ2:希望年収の根拠を用意する
「〇〇万円欲しい」だけでは説得力がありません。必ず根拠を用意しましょう。
使える根拠:
- 市場相場 「同業種・同職種・同経験年数の相場が〇〇万円」
- 前職の年収 「現職が〇〇万円で、転職に際して〇〇万円を希望」
- スキル・経験 「△△のスキルがあり、貴社で即戦力として貢献できる」
- 生活コスト 「地方から東京への転職のため、生活コストの上昇を考慮」
- 他社の提示額 「他社からは〇〇万円の提示をいただいている」
悪い例(根拠なし):
「700万円は欲しいです。生活があるので」
良い例(根拠あり):
「現職が500万円で、同業種・同経験年数の相場が600万円〜700万円
であることを確認しています。
5年間のReact実務経験と、〇〇プロジェクトでのリーダー経験を活かし、
貴社に貢献できると考えていますので、650万円でご検討
いただけますでしょうか」
ステップ3:交渉レンジを設定する
「最低ライン」「希望額」「理想額」の3つを設定しましょう。
例:
・理想額:650万円(ここで合意できれば最高)
・希望額:600万円(ここで妥協できる)
・最低ライン:550万円(これを下回るなら辞退も検討)
最初に伝えるのは「希望額」です。企業側が「理想額」を提示してくれる可能性もあるためです。
ステップ4:交渉する(丁寧に、理由とともに)
実際に交渉する際は、以下のポイントを意識しましょう。
交渉の黄金ルール:
- 感謝の気持ちを先に伝える 「内定をいただきありがとうございます」から始める
- 入社意欲を示す 「ぜひ貴社で働きたい」という気持ちを伝える
- 丁寧な言葉遣い 「希望」「ご検討いただけますでしょうか」など柔らかい表現
- 根拠を添える なぜその年収を希望するのか、理由を説明
- 柔軟性を示す 「絶対」ではなく「検討」のスタンスで
交渉の例文テンプレート:
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
貴社のプロダクトと社風に強く魅力を感じており、
ぜひ貴社で働かせていただきたいと考えております。
一点、条件面についてご相談させていただきたいのですが、
現職の年収が[現在の年収]万円で、転職に際しては
[希望年収]万円を希望しております。
[根拠:市場相場、スキル、経験など]を考慮すると、
この金額が妥当と考えておりますが、ご検討いただくことは
可能でしょうか?
もちろん、業務内容や裁量の大きさなども含めて
総合的に判断させていただきたいと考えております。
ステップ5:譲歩と妥協を考える
企業側から「希望額は難しい」と言われた場合の対応も事前に考えておきましょう。
譲歩のパターン:
- 段階的な昇給を提案
「初年度は600万円、1年後の評価で650万円への昇給を ご検討いただけますでしょうか?」 - ボーナスでの調整
「月給は提示額で承諾しますので、ボーナスで調整 いただけますでしょうか?」 - その他の条件で調整
「年収は提示額で承諾しますので、リモートワークの頻度を 増やしていただけますでしょうか?」 - 最低ラインで判断 提示額が最低ラインを下回る場合は、他社も検討する旨を伝えます。
年収交渉で失敗しないための注意点
年収交渉には、いくつかの「やってはいけないこと」があります。
失敗例1:根拠のない高額な要求
ダメな例:
「年収1,000万円は欲しいです」
(市場相場:600万円、現職:450万円の場合)
なぜダメか:
- 現実離れした要求は、企業側を困惑させる
- 「市場価値を理解していない」と判断される
- 交渉が決裂し、内定取り消しの可能性も
改善策: 市場相場を調べ、現実的な範囲で交渉する
失敗例2:感情的な交渉
ダメな例:
「この年収では生活できません!絶対に〇〇万円必要です!」
なぜダメか:
- 感情的な態度は印象が悪い
- 「一緒に働きたくない」と思われる
- 個人の事情は企業にとって関係ない
改善策: 冷静に、ビジネスライクに交渉する
失敗例3:他社を引き合いに出しすぎる
ダメな例:
「A社は700万円、B社は750万円提示してくれています。
貴社も同じくらい出してください」
なぜダメか:
- 「他社に行けばいいのでは?」と思われる
- オークションのように扱われることを嫌う企業も多い
改善策:
「他社からもオファーをいただいていますが、貴社の
プロダクトに最も魅力を感じています。ご検討いただけますと
幸いです」
参考程度に他社の存在を示すのはOKですが、前面に押し出すのはNGです。
失敗例4:内定承諾後の交渉
ダメな例:
(内定承諾後)
「やっぱり年収が低いので、もう少し上げてもらえませんか?」
なぜダメか:
- 内定承諾は契約に準ずる行為
- 交渉の余地がほぼゼロ
- 「この人は信用できない」と思われる
改善策: 内定承諾前に必ず条件を確認し、納得してから承諾する
失敗例5:月給とボーナスの内訳を確認しない
年収が同じであっても、ボーナスの支給額によって月収に大きな差が生じます。たとえば、年収600万円の企業に転職した場合、ボーナスが60万円だと月収は45万円、ボーナスが180万円だと月収は35万円です。転職で月収が下がってしまった場合、生活が苦しくなるケースもあるでしょう。
改善策: 年収だけでなく、以下も必ず確認しましょう:
- 月給
- ボーナス(年何回、何ヶ月分)
- 昇給制度
- 評価制度
失敗例6:複数回しつこく交渉する
ダメな例:
1回目:「650万円でお願いします」
→企業:「600万円が限界です」
2回目:「やっぱり650万円で」
→企業:「申し訳ありませんが600万円です」
3回目:「どうしても650万円で」
なぜダメか:
- しつこい印象を与える
- 企業側も「この人とは働きたくない」と感じる
- 内定取り消しのリスク
改善策: 交渉は1〜2回まで。企業側が「これが限界」と言ったら、受け入れるか辞退するかを決断する
転職エージェントを使った年収交渉術
「自分で交渉するのは不安…」という方には、転職エージェントの活用が非常に有効です。
エージェントを使うメリット
メリット1:交渉のプロが代行してくれる
年収交渉で転職エージェントを使うメリットとしては、企業の求人募集の背景を把握しており、個別のケースごとに「年収交渉をするべきか」「最適なタイミングはいつか」がつかみやすく、年収交渉がスムーズに進められる点が挙げられます。
エージェントは年間何百人もの転職をサポートしており、交渉のノウハウが蓄積されています。
メリット2:企業との関係性を保てる
自分で交渉すると、言い方やタイミングを間違えて企業に悪い印象を与えるリスクがあります。
エージェントが間に入ることで、企業との関係性を保ちながら交渉できます。
エージェントの交渉例:
「〇〇様は非常に優秀な方で、他社からも複数のオファーを
いただいております。
現職の年収が△△万円で、今回の転職では□□万円を
希望されています。
ご本人は貴社に強い興味を持っておられますので、
ご検討いただけますと幸いです」
メリット3:市場価値を客観的に提示してくれる
エージェントは市場全体のデータを持っているため、「この経験・スキルなら〇〇万円が相場」と客観的なデータで交渉できます。
メリット4:複数のオプションを提示してくれる
「年収は難しいが、リモートワークは週4日可能」など、年収以外の条件での調整も提案してくれます。
メリット5:成功報酬だから本気で交渉してくれる
転職エージェントのビジネスモデルは、転職者の年収の30〜35%を企業から受け取るというものです。
つまり、あなたの年収が上がれば、エージェントの報酬も上がります。エージェントは本気であなたの年収アップのために交渉してくれるのです。
例:
- 年収500万円で入社:エージェントの報酬150万円
- 年収600万円で入社:エージェントの報酬180万円(+30万円)
エージェント経由で交渉する際の流れ
ステップ1:希望年収を伝える
初回面談で、エージェントに希望年収を明確に伝えます。
「現職が〇〇万円で、転職では△△万円を希望しています。
市場相場も確認した上での希望です」
ステップ2:企業からのオファーを確認
内定が出たら、エージェント経由で年収を確認します。
希望より低い場合は、エージェントに交渉を依頼します。
ステップ3:エージェントが交渉
エージェントが企業に交渉します。
あなたは待つだけでOKです。
ステップ4:結果を受け取る
交渉結果をエージェントから聞き、承諾するか判断します。
年収交渉に強い転職エージェント
1. レバテックキャリア
- エンジニア特化、年収交渉に強い
- 平均年収アップ額:70万円
- 専門性の高いアドバイザー
2. ビズリーチ
- ハイクラス転職に特化
- 平均年収アップ額:120万円
- スカウト型で企業側から提示額が見える
3. マイナビIT AGENT
- 丁寧なサポートで初めての転職でも安心
- 書類添削・面接対策も充実
- 若手エンジニアに強い
4. ギークリー
- IT・Web・ゲーム業界特化
- 平均年収アップ額:78万円
- スピード感のある転職支援
5. リクルートエージェント
- 求人数No.1
- 大手企業の求人が豊富
- 全国対応
これらのエージェントを2〜3社併用することで、より良い条件を引き出せる可能性が高まります。
年収以外で交渉できる条件
年収交渉が難しい場合、年収以外の条件で交渉する手もあります。
1. リモートワーク・フレックスの頻度
交渉例:
「年収は提示額で承諾しますので、リモートワークを
週3日から週4日に増やしていただくことは可能でしょうか?」
リモートワークが増えれば、通勤時間・交通費が削減され、実質的な待遇改善になります。
2. 入社日の調整
交渉例:
「現職の引き継ぎに2ヶ月必要なため、入社日を〇月に
していただくことは可能でしょうか?」
円満退職のためにも、入社日の調整は重要です。
3. 昇給・評価のタイミング
交渉例:
「初年度は提示額で承諾しますが、半年後に評価面談を
実施いただき、パフォーマンスに応じた昇給を
ご検討いただけますでしょうか?」
段階的な昇給を約束してもらうことで、実質的な年収アップが期待できます。
4. 役職・ポジション
交渉例:
「年収は提示額で承諾しますが、入社時の役職を
メンバーからシニアメンバーにしていただくことは
可能でしょうか?」
役職が上がれば、その後の昇給・昇格もしやすくなります。
5. サインオンボーナス
交渉例:
「前職の年収から下がってしまうため、入社時に
サインオンボーナスをご検討いただけますでしょうか?」
サインオンボーナスとは、入社時に一時金として支給されるボーナスです。外資系企業では一般的です。
6. 研修・資格取得支援
交渉例:
「AWSの資格取得費用と、Udemy等の学習費用を
会社負担にしていただくことは可能でしょうか?」
自己投資にかかる費用を会社が負担してくれれば、実質的な待遇改善になります。
7. ストックオプション(スタートアップの場合)
交渉例:
「年収は提示額で承諾しますが、ストックオプションを
付与いただくことは可能でしょうか?」
スタートアップ企業の場合、ストックオプションが大きなリターンを生む可能性があります。
年収アップを実現するための転職戦略
年収交渉だけでなく、転職活動全体の戦略も重要です。
戦略1:複数社から内定をもらう
複数の企業から内定をもらうことで、交渉のカードが増えます。
メリット:
- 「他社からは〇〇万円の提示」と伝えられる
- 企業側も「この人材を逃したくない」と思う
- 最も条件の良い企業を選べる
目安:
- 3〜5社に応募
- 2〜3社から内定を目指す
戦略2:スキルアップしてから転職する
年収を上げるには、市場価値を高めることが最も確実です。
即効性のあるスキルアップ:
- 需要の高い技術の習得(React、TypeScript、AWSなど)
- 資格取得(AWS認定、基本情報技術者など)
- 英語力の向上(TOEIC 700点以上)
- リーダー・マネジメント経験
例: React未経験 → React経験3年で、年収が100万円以上変わることも珍しくありません。
戦略3:年収の高い企業を狙う
同じスキルでも、企業によって年収は大きく異なります。
年収の高い企業の特徴:
- 自社開発企業
- メガベンチャー
- 外資系IT企業
- 上場企業
- 利益率の高いビジネスモデル
逆に、受託開発企業や中小SIerは、構造的に年収が低い傾向があります。
戦略4:東京・大阪などの都市部に転職する
地方と都市部では、同じスキルでも年収に大きな差があります。
地域別の年収相場(Reactエンジニア、経験3年の例):
- 東京:500万円〜700万円
- 大阪:450万円〜600万円
- 名古屋:400万円〜550万円
- 福岡:400万円〜550万円
- その他地方:350万円〜500万円
ただし、リモートワークが普及したことで、地方在住でも都市部の企業に転職できるケースが増えています。
戦略5:転職時期を見極める
IT業界には、求人が増える時期があります。
求人が増える時期:
- 1〜3月:企業の新年度に向けた採用
- 9〜10月:下半期の採用強化
この時期に転職活動をすることで、選択肢が増え、より良い条件を引き出しやすくなります。
戦略6:職務経歴書・ポートフォリオを磨く
年収交渉の前提として、「この人材は価値がある」と思わせることが重要です。
年収を上げるための職務経歴書:
- 具体的な成果を数字で示す
- 使用技術を詳しく記載
- リーダー経験、問題解決能力をアピール
年収を上げるためのポートフォリオ:
- 完成度の高い制作物
- コードの品質が高い
- GitHubのコミットが継続している
よくある質問(FAQ)
Q1. 年収交渉をすると内定取り消しになりませんか?
A. 常識的な範囲の交渉であれば、内定取り消しになることはほぼありません。
マイナビキャリアリサーチLabの調査によると、半数以上の企業が中途入社者から給与交渉があった場合に「給与を上げる余地があった」と回答しています。
ただし、以下のような交渉は内定取り消しのリスクがあります:
- 市場相場から大きく外れた要求
- 感情的・高圧的な態度
- 何度もしつこく交渉する
Q2. 年収交渉は何回までしていいですか?
A. 基本的に1〜2回までです。
1回目の交渉で企業側が「これが限界」と言った場合、それ以上の交渉は避けましょう。しつこい交渉は、かえって印象を悪くします。
Q3. 現職の年収は正直に伝えるべきですか?
A. 正直に伝えることを推奨します。
源泉徴収票の提出を求められることもあるため、嘘をつくとバレた時に信用を失います。
ただし、「現職が低すぎる」場合は、市場相場を根拠に交渉しましょう。
例:
「現職は350万円ですが、同業種・同経験年数の相場が
500万円〜600万円であることを確認しています。
転職では市場相場に見合った評価を希望しています」
Q4. 他社の提示額を伝えてもいいですか?
A. 伝え方に注意すれば、効果的な交渉材料になります。
悪い伝え方:
「A社は700万円出してくれるので、貴社も同じくらいお願いします」
良い伝え方:
「他社からもオファーをいただいていますが、貴社の事業内容に
最も魅力を感じています。条件面でご検討いただけると幸いです」
具体的な金額は言わず、「他社からもオファーがある」という事実だけを伝える方が印象が良いです。
Q5. 前職より年収が下がる場合はどうすればいいですか?
A. 年収だけでなく、総合的に判断しましょう。
以下のようなメリットがあれば、一時的な年収ダウンも許容できる場合があります:
- モダンな技術スタックを学べる
- 裁量の大きい仕事ができる
- リモートワークが可能
- ワークライフバランスが改善
- 将来的な年収アップの可能性
ただし、生活が成り立たないレベルのダウンは避けましょう。
Q6. ボーナスはどのくらいもらえるのが普通ですか?
A. 企業によって大きく異なります。
一般的な目安:
- 大手企業:年間4〜6ヶ月分
- 中小企業:年間2〜4ヶ月分
- ベンチャー企業:年間0〜2ヶ月分(または業績連動)
- 外資系企業:年間1〜3ヶ月分(または業績連動)
ボーナスの額と支給回数は、必ずオファー面談で確認しましょう。
Q7. 年収以外で気をつけるべき条件は何ですか?
A. 以下の項目を必ず確認しましょう。
確認すべき項目:
- 基本給と各種手当の内訳
- ボーナスの支給額と回数
- 昇給制度(年1回?評価基準は?)
- 残業代の有無(みなし残業の場合は何時間分?)
- 福利厚生(住宅手当、交通費、退職金など)
- 試用期間中の条件(給与が下がる場合もある)
- リモートワークの頻度
- 有給休暇の取得率
Q8. 試用期間中は給与が下がるのですか?
A. 企業によって異なります。
- 試用期間中も給与が変わらない企業が多数派
- 一部の企業では、試用期間中は10〜20%減額されることも
必ずオファー面談で確認しましょう。
年収アップのために今すぐできること
年収交渉のテクニックを学んだら、次は実際に行動に移しましょう。
今日からできること
1. 自分の市場価値を調べる
- 転職サイトで求人を検索
- 年収診断ツールを使う
- スカウトサービスに登録
2. スキルの棚卸しをする
- 職務経歴書を作成/更新
- ポートフォリオを作成/更新
- GitHubのプロフィールを充実させる
3. 転職エージェントに相談する
- レバテックキャリアに登録
- マイナビIT AGENTに登録
- ギークリーに登録
4. スキルアップ計画を立てる
- 需要の高い技術を学ぶ
- 資格取得を目指す
- 技術ブログを書き始める
今月中にやること
1. 3社以上のエージェントと面談
- 市場価値を査定してもらう
- 求人を紹介してもらう
- 年収交渉のアドバイスをもらう
2. 5社以上の企業にエントリー
- 書類選考を突破する練習
- 面接の練習
- 複数内定を目指す
3. 職務経歴書とポートフォリオのブラッシュアップ
- 具体的な数字で成果を示す
- 制作物の完成度を上げる
- デザインを改善
3ヶ月以内にやること
1. 内定を2社以上獲得
- 年収交渉のカードを増やす
- 条件を比較検討できる状態にする
2. 年収交渉を実践
- エージェント経由で交渉
- 必要に応じて自分でも交渉
- 100万円アップを目指す
3. 新しい職場で活躍する準備
- スキルの最終確認
- 引き継ぎの準備
- 新しい環境への期待を膨らませる
まとめ:年収100万円アップは誰でも実現可能
年収交渉は、決して特別な人だけができることではありません。正しい知識と準備があれば、誰でも年収アップを実現できます。
この記事の重要ポイント
1. 年収交渉は当たり前
- IT業界では年収交渉が一般的
- 交渉した人の約9割が年収アップに成功
- 交渉しないのはむしろもったいない
2. ベストタイミングは内定後
- 選考中の交渉はNG
- 内定後〜内定承諾前がベスト
- オファー面談で条件を最終確認
3. 根拠を用意して交渉する
- 市場相場を調べる
- 自分のスキル・経験を整理
- 具体的な数字で説得力を持たせる
4. 転職エージェントを活用する
- 交渉のプロが代行してくれる
- 企業との関係性を保てる
- 複数のオプションを提案してくれる
5. 年収以外の条件も交渉できる
- リモートワーク頻度
- 昇給タイミング
- 役職・ポジション
6. 失敗例を知っておく
- 根拠のない高額な要求はNG
- 感情的な交渉はNG
- しつこい交渉はNG
7. 市場価値を高めることが最重要
- 需要の高い技術を学ぶ
- 資格を取得する
- ポートフォリオを充実させる
年収100万円アップの方程式
年収100万円アップ
= 市場価値の向上(50万円)
+ 企業選び(30万円)
+ 年収交渉(20万円)
この3つを組み合わせることで、100万円以上のアップも十分に実現可能です。
最後に
年収は、あなたのスキルと経験、そして市場価値を反映した数字です。適切な年収をもらうことは、決して「欲張り」ではありません。
むしろ、正当な評価を受けることは、あなたの権利です。
この記事で学んだ年収交渉術を活かして、ぜひ100万円以上の年収アップを実現してください。
あなたの転職活動が成功することを、心から願っています。


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