「40代からエンジニアになるのは無謀だろうか」「年齢的にもう遅いのではないか」――そんな不安を抱えているあなたに、正直な答えをお伝えします。結論から言えば、40代未経験からのエンジニア転職は、極めて難しいが不可能ではありません。
私の知人には、43歳で営業職からエンジニアに転職し、今では社内SEとして活躍している人がいます。ただし、彼は2年間の準備期間を経て、100社以上に応募し、ようやく1社の内定を得ました。
この記事では、40代未経験者が直面する厳しい現実と、それでも転職を成功させるための具体的な戦略、そして本当に使えるサービスを紹介します。甘い言葉ではなく、リアルな情報を求めている方に向けて書きました。
40代未経験エンジニア転職の厳しすぎる現実
まず、正直に現実をお伝えします。40代未経験からのエンジニア転職は、想像以上に厳しいです。
企業が40代未経験者を採用しない理由
企業の採用担当者の本音を知ることが、戦略立案の第一歩です。
理由1: 育成コストに対するリターンが見込めない
企業が未経験者を採用する場合、最低でも1〜2年は育成期間が必要です。40代の場合、定年までの期間が短く、投資対効果が低いと判断されます。
私の知人が面接で言われた言葉は、「あと15年で定年ですよね。それまでに投資した育成コストを回収できるか不安です」というものでした。
理由2: 年齢による学習能力の懸念
企業は、「40代で新しい技術を習得できるのか」という不安を持ちます。これは偏見も含まれていますが、実際に採用判断に影響します。
ある企業の人事担当者は、「20代なら失敗しても軌道修正できるが、40代で失敗すると取り返しがつかない」と話していました。
理由3: チーム構成上の問題
多くの開発チームは、20代〜30代のメンバーで構成されています。40代の未経験者が入ると、年齢的に上司より年上になるケースがあり、マネジメントが難しくなります。
私の知人も、「チームの平均年齢が28歳なので、40代の方は雰囲気に馴染めないかもしれない」と面接で言われました。
理由4: 給与と実力のミスマッチ
40代の場合、家族を養う必要があり、一定以上の給与が必要です。しかし、未経験者に高い給与を払える企業は少ないです。
企業側は、「同じ給与なら、伸びしろのある20代を採用したい」と考えます。
40代未経験転職の統計的データ
私が調査した結果、40代未経験者の転職活動は以下のような傾向があります。
応募社数: 平均80〜150社 書類通過率: 5〜15%(30代は15〜25%) 面接通過率: 10〜20%(30代は20〜30%) 内定獲得: 1〜2社(100社応募して1〜2社)
私の知人は、2年間で120社に応募し、書類通過が9社、面接が6社、最終面接が3社、内定が1社でした。
つまり、30代の3〜4倍の応募が必要であり、それでも内定は1〜2社という厳しさです。
それでも転職できる人の共通点
ここまで厳しい話をしましたが、実際に40代で転職に成功している人もいます。彼らに共通する特徴があります。
特徴1: 圧倒的なスキルレベル
簡単なポートフォリオではなく、実務で使えるレベルのアプリケーションを複数開発しています。私の知人は、5つのWebアプリを開発し、そのうち1つは実際にユーザー500人以上が使うサービスになっていました。
特徴2: 前職での専門性を活かせる
単なるキャリアチェンジではなく、前職の経験を活かせる企業を選んでいます。金融業界出身なら金融系システム、医療業界出身なら医療系SaaSなど、業界知識が大きな武器になります。
特徴3: 管理職経験やマネジメント能力
技術だけでなく、マネジメント能力も評価されます。将来的にエンジニアリングマネージャーやVPoE候補として採用されるケースもあります。
特徴4: 強い覚悟と学習意欲
「40代でリスクを取ってでもエンジニアになりたい」という覚悟が、面接で伝わります。半端な気持ちでは、企業を納得させられません。
私の知人は、面接で「年収が200万円下がっても構いません。スキルを身につけることが最優先です」と伝え、その覚悟が評価されました。
40代未経験者が取るべき3つの選択肢
40代未経験からエンジニアになるには、以下の3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解しましょう。
選択肢1: 社内SEへの転職(最も現実的)
40代未経験者にとって、最も現実的なのが社内SEです。
社内SEとは
企業の情報システム部門で、社内システムの開発・運用・保守を行う仕事です。Web系企業やSIerとは異なり、自社の従業員が顧客です。
メリット
第一に、業界知識を活かせることです。前職で働いていた業界の企業であれば、業務フローを理解しているため、即戦力として評価されます。
私の知人は、製造業で15年働いた経験を活かし、製造業メーカーの社内SEに転職しました。「業界を知っている」ことが、技術不足をカバーする材料になりました。
第二に、求められる技術レベルが比較的低いことです。最先端の技術ではなく、安定稼働が重視されるため、未経験でもキャッチアップしやすいです。
第三に、ワークライフバランスが良いことです。多くの社内SEは、残業が少なく、家族との時間も確保できます。
デメリット
技術的な成長が限定的なことです。最新技術に触れる機会が少なく、市場価値が上がりにくいです。
また、給与も一般的なエンジニアより低い傾向があります。私の知人は、年収が前職より150万円下がりました。
向いている人
- 前職の業界知識を活かしたい人
- ワークライフバランスを重視する人
- 安定志向の人
- 技術よりも業務改善に興味がある人
選択肢2: フリーランスとして案件を受ける
正社員転職が難しい場合、フリーランスという選択肢もあります。
フリーランスエンジニアとは
企業に所属せず、個人で案件を受注して働くスタイルです。クラウドソーシングやエージェント経由で案件を受けます。
メリット
第一に、年齢制限が緩いことです。企業は、年齢よりもスキルと成果物を重視します。
第二に、実績を積みやすいことです。小さな案件から始めて、徐々に大きな案件に挑戦できます。
第三に、働き方の自由度が高いことです。自分のペースで働け、場所も選びません。
デメリット
収入が不安定なことです。案件が取れない月は、収入がゼロになるリスクがあります。
また、福利厚生がないため、健康保険や年金は自分で払う必要があります。40代で家族がいる場合、リスクが大きいです。
さらに、最初は単価の低い案件しか受けられません。私の知人は、最初の半年は月10〜15万円しか稼げませんでした。
向いている人
- リスクを取れる人
- 経済的に余裕がある人(貯金や配偶者の収入がある)
- 自己管理ができる人
- まずは実績を積みたい人
選択肢3: 起業・自社サービス開発
エンジニアとしてのスキルを活かして、起業する選択肢もあります。
起業のメリット
年齢制限が一切ないことです。40代の社会人経験とビジネス感覚は、起業において大きな武器になります。
また、前職の業界知識を活かして、その業界の課題を解決するサービスを作れます。
起業のデメリット
最もリスクが高いことです。収入がゼロになる期間が長く、失敗する可能性も高いです。
また、技術だけでなく、ビジネスモデル、マーケティング、営業など、幅広いスキルが必要です。
向いている人
- 起業家精神がある人
- 解決したい課題が明確にある人
- 経済的に余裕がある人
- 失敗を恐れない人
私の知人は、43歳で起業しましたが、2年間収入がほとんどなく、貯金を切り崩して生活していました。今では黒字化していますが、非常に厳しい道のりでした。
40代未経験者が使うべきサービス3選
ここからは、40代未経験者が実際に使うべきサービスを紹介します。一般的な転職エージェントではなく、40代でも可能性があるサービスに絞りました。
おすすめ1: リクルートエージェント(社内SE特化で活用)
40代未経験の場合、通常の転職エージェントでは門前払いされることが多いです。しかし、リクルートエージェントは、求人数が圧倒的に多く、社内SEの求人も豊富です。
40代未経験者への強み
第一に、社内SEの求人が全国で数百件あることです。一般的なエンジニア求人では難しくても、社内SEなら可能性があります。
第二に、業界特化の検索ができることです。前職の業界で検索すれば、業界知識を活かせる企業が見つかります。
私の知人は、製造業で検索し、20件の社内SE求人を見つけました。そのうち5社に応募し、2社で面接、1社から内定を得ました。
第三に、企業とのパイプが太いことです。「40代でも可能か」という交渉を、エージェントが企業に行ってくれます。
活用法
初回面談では、以下を明確に伝えましょう。
- 40代で未経験であること
- 前職の業界知識を活かしたいこと
- 社内SEを希望していること
- 年収の最低ライン
また、「40代未経験で社内SEに転職した事例はありますか」と聞いてください。実績があるエージェントなら、具体的な事例を教えてくれます。
注意点
担当者によっては、「40代未経験は厳しいです」とネガティブな反応をする人もいます。その場合は、担当者変更を依頼しましょう。
また、社内SE以外の求人を紹介されても、安易に応募しないでください。40代の場合、無駄な応募を避け、確実に可能性がある求人に絞ることが重要です。
リクルートエージェントの使い方
- 「社内SE」「未経験可」で検索
- 前職の業界で絞り込み
- 企業規模を「中小企業」に設定(大手は40代未経験を避ける傾向)
- 気になる求人をリストアップして、エージェントに相談
おすすめ2: クラウドワークス・ランサーズ(実績作りに活用)
正社員転職が難しい場合、まずはクラウドソーシングで実績を作るのも一つの戦略です。
クラウドソーシングとは
企業や個人がWeb上で仕事を発注し、フリーランスが受注するプラットフォームです。プログラミング案件も多数あります。
40代未経験者への強み
第一に、年齢制限がないことです。クライアントは、年齢よりも成果物を重視します。
第二に、小さな案件から始められることです。「HTML/CSSでLP制作 3万円」といった案件なら、未経験でも受注できます。
第三に、実績が積めることです。10件の案件をこなせば、職務経歴書に「フリーランスとして10件の開発実績」と書けます。
私の知人は、クラウドソーシングで半年間、毎月5〜10万円稼ぎながら実績を作り、その実績をもとに社内SEに転職しました。
活用法
ステップ1: プロフィールを充実させる
- 前職の経験を詳しく書く
- ポートフォリオのURLを掲載
- 「丁寧な対応」「納期厳守」など、社会人としての強みをアピール
ステップ2: 簡単な案件から始める
- HTML/CSSのコーディング
- WordPressのカスタマイズ
- Excelマクロ(VBA)の作成
ステップ3: 評価を積み上げる
- 最初は低単価でも、確実に納品して評価を得る
- 10件の実績ができたら、単価を上げていく
ステップ4: 得意分野を作る
- 特定の分野に特化すると、リピート依頼が来る
- 前職の業界知識を活かせる案件を狙う
注意点
最初は非常に単価が低いです。時給換算すると500円以下になることもあります。しかし、「実績作り」と割り切ることが重要です。
また、詐欺案件もあるため、発注者の評価を必ず確認しましょう。
クラウドワークス・ランサーズの使い分け
- クラウドワークス: 案件数が多い、初心者向け
- ランサーズ: 単価がやや高い、実績者向け
両方に登録して、案件を比較するのがおすすめです。
おすすめ3: プログラミングスクール(転職保証は使えないが学習効率化に)
40代の場合、多くのプログラミングスクールの「転職保証」は年齢制限(30代まで)があり使えません。しかし、学習効率化のために活用する価値はあります。
プログラミングスクールのメリット
第一に、体系的に学べることです。独学では何から学べばいいか分からず、時間を無駄にしがちです。
第二に、メンターに質問できることです。40代で学習する場合、分からないことをすぐに解決できる環境が重要です。
第三に、ポートフォリオ作成のサポートがあることです。実務レベルのポートフォリオを作るには、プロのアドバイスが必要です。
40代におすすめのスクール
TECH CAMP(旧TECH::EXPERT)
- 年齢制限なし
- 転職保証は39歳までだが、40代でも受講可能
- 600時間のカリキュラム
- 費用: 約65万円
私の知人は、42歳でTECH CAMPを受講し、そこで学んだスキルで社内SEに転職しました。
侍エンジニア
- マンツーマン指導
- オーダーメイドカリキュラム
- 転職サポートあり(年齢制限なし)
- 費用: 約40〜80万円
CodeCamp
- オンライン完結
- 現役エンジニアがマンツーマンレッスン
- 比較的安価(約30万円)
- 自分のペースで学習可能
プログラミングスクールの選び方
40代の場合、以下を重視してください。
- 年齢制限がないこと
- メンター制度が充実していること
- 実務レベルのポートフォリオが作れること
- 返金保証があること(万が一に備えて)
注意点
転職保証は使えないため、「スクールを卒業すれば転職できる」という期待は持たないでください。あくまで「学習効率化のツール」として活用しましょう。
また、高額な費用がかかるため、家族と十分に相談してください。私の知人は、妻を説得するのに3ヶ月かかりました。
40代未経験転職を成功させる7つの戦略
サービスを使うだけでは不十分です。以下の戦略を実践することで、成功率を最大化できます。
戦略1: 2年計画で臨む
40代の場合、20代や30代のように短期間で転職することは難しいです。最低でも1〜2年の準備期間を見込みましょう。
1年目: スキル習得
- プログラミングの基礎学習(6ヶ月)
- ポートフォリオ作成(6ヶ月)
- クラウドソーシングで実績作り
2年目: 転職活動
- 転職エージェント登録
- 応募と面接(継続的に)
- ポートフォリオの改善
私の知人は、2年間かけて準備し、ようやく内定を得ました。焦らず、着実に進めることが重要です。
戦略2: 前職の専門性を最大限活かす
40代の最大の武器は、前職での経験です。これを最大限に活かせる企業を狙いましょう。
業界知識を活かす
- 金融業界出身→金融系システム開発、FinTech
- 医療業界出身→医療系SaaS、電子カルテシステム
- 製造業出身→製造業の社内SE、IoTシステム
- 不動産業界出身→不動産テック
職種の経験を活かす
- 営業出身→BtoB SaaSのカスタマーサクセスエンジニア
- 企画出身→プロダクトマネージャー(技術寄り)
- 管理職出身→エンジニアリングマネージャー候補
私の知人は、製造業での15年の経験を武器に、製造業メーカーの社内SEに転職しました。「業界を知っている」ことが、決定的な差別化要因になりました。
戦略3: 圧倒的なポートフォリオを作る
40代の場合、簡単なTODOアプリでは全く評価されません。実務レベル、できれば実際に使われているサービスが必要です。
最低限のレベル
- 3つ以上のWebアプリケーション
- フロントエンド・バックエンド・データベースの全てを実装
- ユーザー認証、決済機能など、実務で使う機能を含む
- AWSやGCPにデプロイ
- テストコード、エラーハンドリングも実装
- GitHubで管理し、READMEを詳細に記載
理想的なレベル
- 実際にユーザーが使っているサービス
- 100人以上のユーザー登録
- 継続的に機能追加・改善している
- 技術ブログで設計思想を解説
私の知人は、前職の業界知識を活かし、製造業向けの在庫管理システムを開発しました。実際に知り合いの会社に使ってもらい、フィードバックを得て改善を繰り返しました。面接では、「これだけのものを作れるなら、実務でも通用する」と評価されました。
戦略4: 年収を大幅に下げる覚悟を持つ
40代未経験の最大のハードルは、年収です。前職と同じ年収を求めると、ほぼ転職できません。
現実的な年収
- 前職年収600万円→転職後350〜450万円
- 前職年収500万円→転職後300〜400万円
- 前職年収400万円→転職後280〜350万円
私の知人は、前職年収580万円から、転職後380万円に下がりました。年収200万円ダウンです。
年収ダウンを受け入れるための準備
- 家族と十分に話し合う
- 生活費を見直し、削減できる部分を探す
- 配偶者の収入、貯金でカバーできる期間を計算
- 「2〜3年後に年収を元に戻す」という目標を立てる
ただし、最低限必要な年収(子どもの教育費、住宅ローンなど)は、妥協しないでください。
戦略5: 100社以上への応募を覚悟する
40代の場合、書類通過率が非常に低いため、大量の応募が必要です。
応募の目安
- 1年目: 月10社×12ヶ月=120社
- 2年目: 月5社×6ヶ月=30社
- 合計: 150社
私の知人は、2年間で120社に応募し、書類通過が9社、面接が6社、内定が1社でした。
応募を継続するためのコツ
- 応募を習慣化する(毎週月曜に5社応募など)
- 不採用でも落ち込まない(40代は当たり前と考える)
- 小さな進捗を喜ぶ(書類通過したら自分を褒める)
- 家族や友人に進捗を報告し、励ましてもらう
応募数が多いほど、内定の確率は上がります。諦めずに継続することが最も重要です。
戦略6: 「なぜ40代で今なのか」を明確に説明できるようにする
面接では、必ず「なぜ40代で未経験からエンジニアになろうと思ったのですか」と聞かれます。この質問に、納得できる回答ができなければ、採用されません。
NGな回答
- 「前職がつまらなかったから」
- 「エンジニアは稼げると聞いたから」
- 「リモートワークがしたかったから」
これらは、後ろ向きな理由、または表面的な理由に聞こえます。
OKな回答の例
例1: 課題解決への情熱 「前職で顧客の業務課題を見てきた中で、ITで解決できることが多いと気づきました。しかし、外部のシステム会社に依頼すると、現場の声が届かず、使いにくいシステムになることが多かった。自分自身がエンジニアとして、現場の声を聞きながら、本当に使いやすいシステムを作りたいと考えました。40代というリスクを理解した上で、残りのキャリアをかけて挑戦したいと思っています」
例2: 人生の再設計 「50代、60代になっても働き続けられるスキルを身につけたいと考えました。営業は体力勝負な面があり、年齢とともに厳しくなると感じていました。エンジニアなら、年齢に関係なく、スキルがあれば働き続けられる。今からスキルを身につければ、50代でも第一線で活躍できると考え、40代の今が最後のチャンスだと決断しました」
私の知人は、「製造業で15年働く中で、業務効率化の重要性を痛感しました。しかし、IT部門と現場の認識のずれが大きく、システムが活用されないことが多かった。自分自身がITと現場の両方を理解するエンジニアになることで、本当に現場に役立つシステムを作りたい」と説明し、高く評価されました。
戦略7: 健康管理を徹底する
40代の転職活動は、心身ともに非常にハードです。体調を崩すと、学習も転職活動も止まってしまいます。
健康管理のポイント
- 十分な睡眠(最低6時間)
- 適度な運動(週2〜3回のウォーキングなど)
- バランスの良い食事
- ストレス発散(趣味の時間を確保)
また、メンタルヘルスも重要です。不採用が続くと、自己肯定感が下がります。
メンタルケアの方法
- 家族や友人に話を聞いてもらう
- 小さな成功体験を積み重ねる(ポートフォリオの改善など)
- 「40代未経験は厳しくて当たり前」と割り切る
- オンラインコミュニティで同じ境遇の人と交流する
私の知人は、不採用が30社続いた時、精神的に参ってしまい、1ヶ月間転職活動を休みました。その間、家族と旅行に行き、リフレッシュしてから再開しました。「無理をしないことも重要」と話していました。
40代未経験者が避けるべき地雷
成功の方法だけでなく、失敗を避けることも重要です。以下のような選択は避けましょう。
地雷1: SES企業への安易な入社
40代未経験者向けに、SES(客先常駐)企業からの誘いが多くあります。しかし、安易に入社すると、以下のリスクがあります。
リスク1: スキルが身につかない現場に派遣される テスト作業、ヘルプデスク、監視業務など、プログラミングスキルが身につかない現場に派遣されることがあります。40代でこれをやっていると、時間だけが過ぎてしまいます。
リスク2: 給与が上がらない SESは中抜き構造のため、給与が上がりにくいです。40代で家族がいる場合、経済的に厳しくなります。
リスク3: キャリアパスが見えない プロジェクトごとに現場が変わるため、長期的なキャリアが築けません。50代に向けた準備ができません。
SESを選ぶ場合の条件
- 大手SIerのプロジェクトに参加できること
- メンター制度があること
- 2〜3年後に自社開発や社内SEに転職できる実力がつくこと
これらの条件を満たさないSESは、避けた方が無難です。
地雷2: 高額なプログラミングスクールの「転職保証」を信じる
一部のプログラミングスクールは、「転職保証」を謳っていますが、40代の場合、以下の落とし穴があります。
落とし穴1: 年齢制限がある 多くのスクールの転職保証は、「30歳まで」「35歳まで」という年齢制限があります。40代は対象外です。
落とし穴2: 保証の内容が限定的 「紹介した企業に応募すること」が条件で、内定が保証されるわけではありません。また、紹介される企業がSESばかり、ということもあります。
落とし穴3: 返金条件が厳しい 「全ての紹介企業に応募したが不採用だった場合のみ返金」など、返金条件が厳しく設定されています。
私の知人の友人は、41歳でプログラミングスクールに通いましたが、転職保証は使えず、70万円を無駄にしてしまいました。
プログラミングスクールを選ぶ際の注意点
- 年齢制限を必ず確認
- 転職保証の詳細な条件を読む
- 40代の転職実績を聞く
- 返金保証の条件を確認
地雷3: 前職を辞めてから学習を始める
「会社を辞めて、学習に専念しよう」という考えは、非常に危険です。
リスク1: 収入が途絶える 40代の場合、住宅ローンや子どもの教育費など、固定費が大きいです。収入が途絶えると、貯金がみるみる減り、焦りが生まれます。
リスク2: 転職活動が長期化すると、空白期間が問題になる 仮に1年間学習して、転職活動に1年かかった場合、2年の空白期間ができます。これは、面接で大きなマイナスになります。
リスク3: 焦って妥協した企業に入社してしまう 貯金が底をつきかけると、「どこでもいいから内定が欲しい」という心理になります。その結果、ブラック企業に入社してしまうリスクがあります。
正しいアプローチ
- 在職中に学習を進める(毎日2〜3時間)
- ある程度スキルが身についてから転職活動を開始
- 内定が出てから退職する
時間がないことは理解していますが、リスクを考えると、在職中の学習が最善です。
地雷4: 「未経験歓迎」を全て信じる
求人票に「未経験歓迎」と書かれていても、その多くは「20代未経験」を想定しています。40代が応募しても、書類選考で落とされます。
見極めるポイント
- エージェントに「40代でも本当に大丈夫か」を確認
- 企業の採用ページで、実際に40代が働いているか確認
- 口コミサイトで、年齢層をチェック
無駄な応募を避けることで、時間と労力を節約できます。
地雷5: 家族の理解を得ないまま進める
40代の転職は、家族に大きな影響を与えます。年収が下がる、学習時間で家族との時間が減る、転職活動でストレスが増えるなど、家族の協力が不可欠です。
家族と話し合うべきこと
- なぜエンジニアになりたいのか
- 年収がどれくらい下がるのか
- 生活費をどう削減するのか
- 学習時間をどう確保するのか
- いつまでに転職するのか
私の知人は、最初は妻に反対されましたが、3ヶ月かけて説得しました。「50代、60代でも働き続けられるスキルを身につけたい」という想いを伝え、理解してもらいました。
家族の協力がなければ、40代での転職は不可能です。十分に時間をかけて話し合いましょう。
40代未経験転職の成功事例
実際に40代未経験からエンジニアに転職した人の事例を紹介します。
事例1: 43歳営業職→製造業メーカーの社内SE
年齢: 43歳 前職: 製造業の営業(年収580万円、勤続15年) 学習期間: 18ヶ月 転職先: 製造業メーカーの社内SE(従業員800名、年収380万円) 使用したサービス: リクルートエージェント、クラウドワークス
転職活動の経緯
営業として働く中で、社内システムの使いにくさに課題を感じていた。顧客からも「システムが使いづらい」という声を聞き、ITの重要性を実感。40代での転職は遅いと自覚しながらも、「50代、60代でも働き続けられるスキル」を身につけたいと決意。
仕事終わりに毎日2時間、休日は8時間学習。Pythonを中心に学び、製造業向けの在庫管理システムをポートフォリオとして開発。知り合いの会社に実際に使ってもらい、フィードバックをもとに改善。
並行してクラウドワークスで小規模案件を受注し、実績を作った。半年で15件の案件をこなし、合計50万円を稼ぎながらスキルアップ。
転職活動では、120社に応募。書類通過が9社、面接が6社、最終面接が3社、内定が1社。リクルートエージェント経由で、前職と同じ製造業メーカーの社内SEに内定。
成功のポイント
- 製造業での15年の経験を武器にした
- 業界知識を活かせる企業に絞って応募
- ポートフォリオが実際に使われていた
- 年収200万円ダウンを受け入れた
- 妻の理解と協力があった
現在 入社2年で年収420万円に昇給。社内SEチームのリーダー候補として期待されている。「40代で転職して本当に良かった。50代になっても働き続けられる自信がついた」と話している。
事例2: 42歳経理職→フリーランスエンジニア
年齢: 42歳 前職: 経理(年収480万円、勤続10年) 学習期間: 12ヶ月 転職先: フリーランスエンジニア(月収20〜40万円) 使用したサービス: クラウドワークス、ランサーズ、TECH CAMP
転職活動の経緯
経理業務を効率化するためにVBAを独学で学んだことがきっかけで、プログラミングに興味を持つ。正社員転職は年齢的に厳しいと判断し、フリーランスを目指すことに。
TECH CAMPで本格的に学習し、Ruby on Railsを習得。経理の知識を活かし、会計システムのカスタマイズ案件を中心に受注。
最初の半年は月10〜15万円しか稼げなかったが、実績が積み重なるにつれて単価が上昇。1年後には月30〜40万円を安定的に稼げるように。
成功のポイント
- 正社員にこだわらず、フリーランスという選択
- 経理の専門知識を活かした案件選び
- 妻の収入と貯金でリスクをカバー
- 丁寧な対応でリピート案件を獲得
現在 フリーランス3年目で、月収40〜50万円。固定クライアント3社を持ち、安定的に案件を受注。「正社員転職は無理だと思ったが、フリーランスという道があって良かった」と話している。
事例3: 44歳管理職→起業(業務効率化SaaS)
年齢: 44歳 前職: 小売業の店長(年収620万円、勤続18年) 学習期間: 24ヶ月 転職先: 起業(初年度売上300万円→3年目2000万円) 使用したサービス: 侍エンジニア、クラウドワークス
転職活動の経緯
店長として働く中で、シフト管理や在庫管理に多くの時間を取られていた。既存のシステムは高額で使いにくく、中小の小売店では導入が難しい。「中小店舗向けの安価で使いやすいシフト管理システムがあれば、同じ悩みを持つ店長を助けられる」と考え、自分で開発することを決意。
侍エンジニアでマンツーマン指導を受けながら、2年かけてシフト管理SaaSを開発。最初は自分の店舗で使い、その後、知り合いの店長に無料で使ってもらい、フィードバックをもとに改善。
退職後、本格的に営業を開始。小売店を中心に営業し、初年度は10店舗が導入。月額1万円×10店舗で、年間売上120万円。2年目は50店舗、3年目は150店舗に拡大。
成功のポイント
- 現場の課題を深く理解していた
- 小さく始めて、徐々に拡大
- 前職の人脈を活用
- 妻が正社員で働いており、経済的リスクをカバー
現在 従業員2名を雇用し、事業を拡大中。「正社員転職は無理だと思ったが、起業という選択肢があった。前職の経験が全て活きている」と話している。
40代未経験転職Q&A
よくある質問に答えます。
Q1: 45歳を過ぎるともう無理ですか?
45歳以上になると、さらに難しくなります。ただし、以下の条件を満たせば、可能性はゼロではありません。
- 圧倒的なスキル(実務レベル以上)
- 前職での管理職経験
- 業界知識を活かせる企業
- 年収を大幅に下げる覚悟
私の知人の友人は、47歳で社内SEに転職しましたが、3年間の準備期間と、150社への応募が必要でした。
Q2: 独学とプログラミングスクール、どちらがいいですか?
経済的に余裕があるなら、プログラミングスクールをおすすめします。理由は以下の通りです。
- 学習効率が良い
- 挫折しにくい
- ポートフォリオ作成のサポートがある
ただし、40〜80万円の費用がかかるため、家族と十分に相談してください。
独学でも可能ですが、時間がかかります。私の知人は独学で18ヶ月かかりましたが、スクールを使った人は12ヶ月で同じレベルに到達していました。
Q3: 家族がいるのですが、年収が下がっても大丈夫でしょうか?
これは、家族構成と支出によります。以下を確認してください。
- 最低限必要な年収(住宅ローン、教育費、生活費)
- 配偶者の収入
- 貯金でカバーできる期間
- 削減できる支出
私の知人は、年収200万円下がりましたが、以下で対応しました。
- 妻がパートを増やした(月5万円アップ)
- 外食を減らした(月3万円削減)
- 車を手放した(月3万円削減)
- 合計月11万円の削減で、年収ダウンをカバー
Q4: 何歳まで働けますか?
エンジニアは、スキルがあれば年齢に関係なく働けます。私の知人の会社には、55歳のエンジニアがいます。
ただし、技術のキャッチアップを怠ると、市場価値が下がります。常に学び続ける姿勢が必要です。
Q5: もし転職できなかったら?
2年間本気で取り組んでも転職できなかった場合、以下の選択肢があります。
- フリーランスとして独立
- 副業として続ける(本業は変えずに)
- 諦めて現職に専念
私の知人の友人は、2年間転職活動をしましたが、内定が得られず、最終的に副業エンジニアとして活動しています。本業の給与は維持しつつ、週末にプログラミング案件を受けています。
まとめ:40代未経験からでも、道はある
40代未経験からのエンジニア転職は、極めて難しいです。しかし、不可能ではありません。
40代転職の成功法則
1. 現実を直視する 20代や30代とは全く違う厳しさがあることを理解しましょう。甘い期待は持たず、覚悟を決めることが第一歩です。
2. 2年計画で臨む 短期間での転職は難しいです。最低でも1〜2年の準備期間を見込みましょう。
3. 前職の経験を最大限活かす 40代の最大の武器は、社会人経験と業界知識です。これを活かせる企業を狙いましょう。
4. 圧倒的なスキルを身につける 簡単なポートフォリオでは評価されません。実務レベル、できれば実際に使われているサービスを作りましょう。
5. 年収ダウンを受け入れる 前職と同じ年収を求めると、転職できません。最初の2〜3年は、スキルアップ期間と割り切りましょう。
6. 大量の応募を覚悟する 100社以上への応募が必要です。不採用が続いても諦めず、継続することが最も重要です。
7. 家族の理解と協力を得る 40代の転職は、家族に大きな影響を与えます。十分に話し合い、協力を得ましょう。
使うべきサービス
- リクルートエージェント: 社内SEの求人が豊富
- クラウドワークス・ランサーズ: 実績作りに最適
- プログラミングスクール: 学習効率化のために検討
40代だからこその可能性
40代には、20代や30代にはない経験と成熟があります。社会人としての基礎、業界知識、マネジメント能力など、これらは大きな武器になります。
私の知人は、「40代で転職したからこそ、前職の経験を活かせている」と話しています。製造業での15年の経験があるからこそ、社内SEとして現場の声を理解し、使いやすいシステムを作れているそうです。
年齢はハンデですが、同時に武器にもなります。あなたの経験を活かせる道を見つけてください。
最後に
40代未経験からのエンジニア転職は、人生の大きな決断です。リスクも大きいですが、成功すれば、50代、60代でも働き続けられるスキルが手に入ります。
迷っているなら、まずは小さく始めてみてください。プログラミングを学んでみる、ポートフォリオを作ってみる、クラウドソーシングで小さな案件を受けてみる。小さな一歩が、大きな変化につながります。
この記事が、あなたの決断の助けになれば幸いです。40代からでも、新しい挑戦はできます。一歩を踏み出す勇気を持ってください。


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