退職代行サービスの使い方【エンジニアの円満退職完全ガイド2025】

「退職したいけど、プロジェクトが途中で言い出せない」「上司に引き留められて辞められない」「客先に迷惑をかけると思うと言い出せない」

エンジニアの退職は、一般的な職種以上に難しいのが現実です。プロジェクトの途中、技術的な引き継ぎの複雑さ、SES企業特有の引き留め——様々な理由で、退職を言い出せずに悩むエンジニアが急増しています。

マイナビの調査によると、2023年から2024年にかけて退職代行を利用したクリエイター・エンジニア職は18.8%に達し、IT・通信・インターネット業界では29.8%の企業で退職代行による退職者が発生しています。もはや退職代行は、エンジニアにとって珍しい選択肢ではありません。

本記事では、異業種からエンジニア転職を経験した筆者が、エンジニアの退職代行利用について徹底解説します。なぜエンジニアが退職代行を使うのか、どのサービスを選ぶべきか、実際の利用手順まで、あなたの円満退職を実現するための全知識をお届けします。

  1. エンジニアが退職代行を使う理由
    1. IT業界での退職代行利用の増加
    2. プロジェクト途中で辞めにくい
    3. SES特有の複雑な退職事情
    4. 引き継ぎの複雑さ
    5. 人間関係のストレス
    6. 精神的・身体的な限界
  2. 退職代行サービスとは
    1. 退職代行の基本的な仕組み
    2. 退職代行の3つのタイプ
    3. どのタイプを選ぶべきか
  3. おすすめの退職代行サービス
    1. 【労働組合型】退職代行SARABA
    2. 【労働組合型】退職代行ガーディアン
    3. 【弁護士型】弁護士法人みやび
    4. 【一般企業型】退職代行モームリ
    5. 【労働組合型】退職代行Jobs
  4. 退職代行の利用手順
    1. 申し込みから退職完了までの流れ
    2. 事前に準備すべきこと
    3. 退職代行を使う際の注意点
  5. エンジニア特有の退職時の問題と対処法
    1. プロジェクト途中の退職
    2. 技術的な引き継ぎ
    3. SES契約の解除
    4. 機密情報とデータの取り扱い
    5. 貸与PCやスマホの返却
  6. 退職代行を使った後の手続き
    1. 失業保険の手続き
    2. 健康保険の切り替え
    3. 年金の切り替え
    4. 住民税の支払い
    5. 転職活動の開始
  7. 退職代行を使わない方が良いケース
    1. 円満に辞められそうな場合
    2. 次の転職先が決まっている場合
    3. 引き継ぎを丁寧にしたい場合
    4. 経験を積みたい若手エンジニア
    5. 会社と戦いたい場合
  8. よくある質問(FAQ)
    1. Q1: 本当に会社の人と話さずに辞められますか?
    2. Q2: 即日退職できますか?
    3. Q3: 損害賠償を請求されることはありますか?
    4. Q4: 退職金はもらえますか?
    5. Q5: 有給休暇は消化できますか?
    6. Q6: SES企業でも使えますか?
    7. Q7: 次の転職に影響しますか?
    8. Q8: 退職代行を使ったことを後悔しますか?
  9. まとめ:あなたの選択を応援します
    1. 退職代行は「逃げ」ではない
    2. 重要なのはあなたの健康と幸せ
    3. 退職は新しいスタートの第一歩
    4. 今日から始めるアクションプラン
    5. 最後に:あなたの勇気を讃えます

エンジニアが退職代行を使う理由

IT業界での退職代行利用の増加

退職代行サービス「モームリ」の調査によると、IT業界における退職代行利用者の7〜8割がSES企業に属するエンジニアです。なぜこれほどまでに、エンジニア、特にSESエンジニアが退職代行を利用するのでしょうか。

株式会社マイナビの調査では、退職代行を利用した人の割合は16.6%に達し、その中でもクリエイター・エンジニア職は18.8%と特に高い数字を記録しています。一般的な退職と比べて、エンジニアの退職には特有の困難があるのです。

プロジェクト途中で辞めにくい

エンジニアの退職が難しい最大の理由は、プロジェクトベースで働いていることです。

プロジェクトの途中で抜けられない圧力 「あと1ヶ月でリリースだから」「この機能が完成するまで待ってくれ」と引き留められ、退職時期を先延ばしにされ続けるケースは非常に多いです。

真面目なエンジニアほど、「プロジェクトを途中で放り出すのは無責任だ」と感じ、自分を犠牲にしてでも続けてしまいます。

次のプロジェクトへの巻き込み 現在のプロジェクトが終わっても、「次のプロジェクトが決まっているから」「引き継ぎできる人がいないから」と、さらに引き留められることもあります。

結局、いつまで経っても辞められない状況に陥ります。

リリース前の繁忙期 リリース直前の繁忙期は、最も人手が必要な時期です。この時期に退職を申し出ると、強い非難を浴びせられることもあり、言い出せなくなります。

SES特有の複雑な退職事情

SES企業にとってエンジニアは利益を生み出す源です。したがって、辞められると売上が減るため、退職希望者に対して強く引き留める傾向があります。

三者間の複雑な関係 SES(客先常駐)では、自社、常駐先、元請けという三者間の契約関係があります。退職するには、この三者すべてに調整が必要で、手続きが複雑化します。

契約期間の縛り 客先との契約があるため、「契約期間が終わるまで辞められない」と言われることがあります。法律上は問題ありませんが、会社側が契約を理由に引き留めるケースは多いです。

自社と客先、両方への報告 退職を伝える相手が、自社の上司だけでなく、常駐先の責任者にも及ぶ場合があります。複数の人に退職を伝える精神的負担は大きいです。

営業担当との板挟み SES企業の営業担当は、エンジニアを客先に配置することで売上を作っています。エンジニアが辞めると営業成績に直結するため、強い引き留めに遭うことがあります。

引き継ぎの複雑さ

エンジニアの業務は専門性が高く、引き継ぎに時間がかかります。

技術的な引き継ぎ コードベース、システムアーキテクチャ、過去の設計判断、既知のバグや技術的負債——これらをすべて後任者に伝えるには、相当な時間と労力が必要です。

ドキュメントの不足 多くの現場では、ドキュメントが十分に整備されておらず、退職時に慌てて作成することになります。これが退職を引き延ばす理由になることもあります。

後任者がいない 特に中小企業やスタートアップでは、後任者がすぐに見つからないこともあります。「引き継ぐ人がいないから辞められない」という状況に陥ります。

人間関係のストレス

退職を言い出すこと自体が、大きな精神的ストレスです。

パワハラ・モラハラ 上司からのパワハラやモラハラがある職場では、退職を言い出すこと自体が恐怖です。怒鳴られたり、嫌味を言われたりすることを恐れ、言い出せません。

チームへの罪悪感 仲の良いチームメンバーに迷惑をかけると思うと、言い出しにくくなります。特に、少人数のチームでは、一人抜けることの影響が大きいです。

リモートワークでのコミュニケーション困難 リモートワークが主流になり、対面で話す機会が減りました。Slackやメールで退職を切り出すのは難しく、かといってわざわざ出社して伝えるのもハードルが高いです。

精神的・身体的な限界

すでに精神的・身体的に追い詰められている場合、自分で退職を伝える余裕がありません。

うつ状態 長時間労働や過度のストレスで、うつ状態になっているエンジニアは少なくありません。この状態では、退職交渉をする気力がありません。

バーンアウト 燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥り、何もする気力がない状態では、退職手続きすら重荷です。

体調不良 過労で体を壊してしまった場合、出社すること自体が困難です。この状態で退職交渉をするのは無理があります。

こうした状況にある方こそ、退職代行を利用すべきです。自分の健康を最優先にしてください。

退職代行サービスとは

退職代行の基本的な仕組み

退職代行サービスとは、労働者に代わって、専門の業者や弁護士が会社に退職の意思を伝え、退職手続きを進めてくれるサービスです。

サービスの流れ

  1. 利用者が退職代行業者に依頼
  2. 業者が会社に退職の意思を伝達
  3. 退職に必要な手続きを代行
  4. 退職完了

利用者は、会社の人と一切話すことなく、退職できます。

対応範囲

  • 退職の意思表示
  • 退職日の調整
  • 有給休暇の消化申請
  • 退職書類の受け取り
  • 私物・貸与品の返却調整

業者のタイプによって、対応できる範囲が異なります。

退職代行の3つのタイプ

退職代行サービスは、運営主体によって3つのタイプに分類されます。それぞれメリット・デメリットがあります。

1. 弁護士が運営する退職代行

特徴 弁護士法に基づき、会社との交渉や法的トラブルへの対応が可能です。最も法的リスクが低く、安心して利用できます。

できること

  • 退職の意思表示
  • 有給休暇や未払い残業代の交渉
  • 退職金や損害賠償請求への対応
  • パワハラ・セクハラの相談
  • 訴訟対応

料金相場 5万円〜7万円程度

メリット

  • 法的トラブルにも対応可能
  • 会社との交渉ができる
  • 万が一訴訟になっても安心

デメリット

  • 料金が高い
  • 対応がやや堅い場合も

向いている人

  • 会社とトラブルになりそうな人
  • 未払い賃金がある人
  • パワハラなどの被害がある人

2. 労働組合が運営する退職代行

特徴 労働組合法に基づき、団体交渉権を持ちます。会社との交渉が可能で、弁護士よりも料金が安いのが魅力です。

できること

  • 退職の意思表示
  • 有給休暇の交渉
  • 退職日の交渉
  • 退職条件の交渉(一部)

料金相場 2万5千円〜3万円程度

メリット

  • 弁護士より安い
  • 会社との交渉ができる
  • 法的根拠がある

デメリット

  • 訴訟対応はできない
  • 複雑な法律相談には限界がある

向いている人

  • 円満に退職したい人
  • コストを抑えたい人
  • 基本的な交渉だけで済む人

3. 一般企業が運営する退職代行

特徴 民間企業が運営するサービスです。料金が最も安いですが、法律上できることが限られます。

できること

  • 退職の意思を「伝える」のみ
  • 会社からの連絡の取次ぎ

できないこと

  • 会社との交渉(非弁行為に該当)
  • 有給休暇や退職日の交渉
  • 法的トラブルへの対応

料金相場 1万5千円〜2万5千円程度

メリット

  • 料金が安い
  • 対応が早い
  • 気軽に利用できる

デメリット

  • 交渉ができない
  • 法的根拠が弱い
  • 会社が拒否する可能性がある

向いている人

  • 会社が円満に対応してくれそうな人
  • とにかく安く済ませたい人
  • 交渉事項がない人

どのタイプを選ぶべきか

自分の状況に応じて、適切なタイプを選びましょう。

弁護士型を選ぶべき人

  • 会社とトラブルになっている
  • 未払い残業代や有給買取を請求したい
  • パワハラ・セクハラの被害がある
  • 損害賠償を請求されそう
  • 訴訟リスクがある

労働組合型を選ぶべき人

  • 一般的な退職を希望している
  • 有給消化や退職日の調整をしたい
  • コストを抑えつつ、安心感も欲しい
  • SESなど複雑な雇用形態

一般企業型を選ぶべき人

  • 会社が比較的良心的
  • 交渉事項が特にない
  • とにかく安く済ませたい
  • 自分で退職を伝える勇気がないだけ

エンジニアにおすすめなのは?

エンジニア、特にSESの場合は、労働組合型がおすすめです。理由は以下の通りです:

  • 客先との契約があるため、退職日の交渉が必要なことが多い
  • 有給休暇の消化を認めてもらえないケースがある
  • 弁護士より安く、一般企業型より安心

ただし、パワハラや未払い賃金がある場合は、弁護士型を選びましょう。

おすすめの退職代行サービス

【労働組合型】退職代行SARABA

運営 労働組合「退職代行SARABAユニオン」

料金 24,000円(税込)

特徴 業界で最も実績のある労働組合型退職代行です。累計利用者数は数万人を超え、成功率はほぼ100%です。

できること

  • 退職の意思表示
  • 有給休暇の交渉
  • 退職日の調整
  • 未払い賃金の請求(一部)

メリット

  • 労働組合運営で法的根拠がある
  • 24時間365日対応
  • LINEで気軽に相談できる
  • 即日退職可能
  • 返金保証あり

こんな人におすすめ

  • コスパ重視の人
  • 実績のあるサービスを使いたい人
  • 有給消化や退職日の交渉をしたい人

【労働組合型】退職代行ガーディアン

運営 東京労働経済組合

料金 24,800円(税込)

特徴 東京都労働委員会認証の正式な労働組合が運営しています。法適合の労働組合なので、安心して利用できます。

できること

  • 退職の意思表示
  • 団体交渉
  • 退職後のトラブル相談(無制限)

メリット

  • 退職完了後も無制限で相談可能
  • 即日退職対応
  • 追加料金一切なし
  • トラブル対応に強い

こんな人におすすめ

  • 退職後のトラブルが心配な人
  • アフターフォローを重視する人
  • 労働組合の安心感が欲しい人

【弁護士型】弁護士法人みやび

運営 弁護士法人みやび

料金 55,000円(税込)+回収額の20%(オプション)

特徴 退職代行専門の弁護士法人です。弁護士が直接対応するため、法的トラブルにも強いです。

できること

  • 退職の意思表示
  • あらゆる交渉
  • 未払い残業代の請求
  • 損害賠償請求への対応
  • パワハラ・セクハラの相談
  • 訴訟対応

メリット

  • 弁護士が直接対応
  • 法的トラブルに完全対応
  • 未払い賃金の回収も可能
  • 訴訟リスクがあっても安心

デメリット

  • 料金が高い
  • 回収額に応じた成功報酬が発生

こんな人におすすめ

  • 会社とトラブルになっている人
  • 未払い残業代を請求したい人
  • 損害賠償を請求されそうな人
  • パワハラ・セクハラの被害がある人

【一般企業型】退職代行モームリ

運営 株式会社アルバトロス

料金 22,000円(税込)

特徴 たった3年間で利用者数は約3万人に達し、IT業界の利用者が多いことで知られています。業界最安級の料金設定が魅力です。

できること

  • 退職の意思を伝える
  • 会社からの連絡の取次ぎ
  • 転職サポート

メリット

  • 業界最安級の料金
  • 転職サポートが無料
  • IT業界の実績が豊富
  • 対応が早い

デメリット

  • 交渉はできない
  • 会社が拒否する可能性もある

こんな人におすすめ

  • とにかく安く済ませたい人
  • 会社が比較的良心的な人
  • 転職も同時に考えている人

【労働組合型】退職代行Jobs

運営 株式会社アレス(労働組合と提携)

料金 27,000円(税込)+労働組合費2,000円

特徴 顧問弁護士の指導を受けた適正業務を行っています。労働組合と提携しているため、交渉も可能です。

できること

  • 退職の意思表示
  • 有給休暇の交渉
  • 退職日の調整
  • 引き継ぎの調整

メリット

  • 顧問弁護士の指導あり
  • 労働組合との提携で交渉可能
  • 転職サポートあり
  • 安心の実績

こんな人におすすめ

  • 弁護士の指導を受けたサービスが良い人
  • 交渉もしたい人
  • 転職も考えている人

退職代行の利用手順

申し込みから退職完了までの流れ

退職代行の利用は、思ったよりも簡単です。以下のステップで進みます。

ステップ1: 無料相談(即日〜)

まずは、退職代行サービスに相談します。多くのサービスが、LINE、メール、電話で無料相談を受け付けています。

相談時に伝えること

  • 現在の状況(どんな会社で、どんな理由で辞めたいか)
  • 希望する退職日
  • 有給休暇の残日数
  • 特別な事情(未払い賃金、パワハラなど)
  • SESの場合は、客先常駐の有無

相談は匿名でも可能です。まずは気軽に問い合わせてみましょう。

ステップ2: 正式申し込みと支払い(即日)

サービス内容と料金に納得したら、正式に申し込みます。

支払い方法

  • クレジットカード
  • 銀行振込
  • コンビニ決済
  • 後払い(一部サービス)

多くのサービスが、クレジットカード決済に対応しており、即日対応が可能です。

ステップ3: 詳細ヒアリング(即日)

担当者から、退職に関する詳細なヒアリングがあります。

聞かれること

  • 会社名、所属部署
  • 上司の名前と連絡先
  • 退職理由(会社に伝える内容)
  • 希望退職日
  • 有給休暇の消化希望
  • 返却物と受け取る書類
  • 会社への伝言事項

このヒアリング内容をもとに、業者が会社に連絡します。

ステップ4: 退職の意思表示(翌日〜)

業者が、あなたに代わって会社に退職の意思を伝えます。

連絡方法

  • 電話
  • 内容証明郵便
  • 両方

通常、業者が朝一番に会社に電話し、退職の意思を伝えます。あなたは、この日から出社する必要はありません。

ステップ5: 会社とのやり取り(数日〜1週間)

業者が、会社との間で退職条件を調整します。

調整内容

  • 退職日の確定
  • 有給休暇の消化
  • 退職書類の郵送手続き
  • 私物・貸与品の返却方法
  • 引き継ぎの方法

労働組合型や弁護士型であれば、有給消化や退職日について交渉してくれます。

ステップ6: 必要書類の郵送(自分で対応)

会社への返却物と、退職届などの必要書類を郵送します。

返却するもの

  • 社員証
  • PC、スマートフォン
  • 入館証、鍵
  • 制服(ある場合)
  • 名刺
  • 書類、USBメモリなど

受け取るもの

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳(会社保管の場合)
  • 源泉徴収票

郵送方法は、業者が指示してくれます。通常、宅配便や内容証明郵便を使います。

ステップ7: 退職完了(2週間〜1ヶ月)

会社から退職書類が届き、退職が正式に完了します。

民法上、退職の意思表示から2週間で退職が成立します。ただし、有給消化や引き継ぎの関係で、実際には1ヶ月程度かかることもあります。

事前に準備すべきこと

退職代行をスムーズに進めるため、事前に準備しておくべきことがあります。

1. 会社情報の整理

  • 会社名、住所、電話番号
  • 上司の名前と連絡先
  • 人事部の連絡先
  • 自分の社員番号

これらの情報は、業者が会社に連絡する際に必要です。

2. 有給休暇の残日数確認

有給休暇が何日残っているか、事前に確認しておきましょう。給与明細や勤怠システムで確認できます。

有給が残っている場合、消化してから退職できる可能性があります。

3. 未払い賃金の確認

残業代や休日出勤手当が未払いになっていないか、確認しましょう。

未払い賃金がある場合は、弁護士型の退職代行を利用し、請求することをおすすめします。

4. 返却物のリストアップ

会社から借りているものをリストアップします。

  • PC、タブレット、スマートフォン
  • 社員証、入館証
  • 制服、名刺
  • 書類、USBメモリ
  • その他備品

返却漏れがあると、後でトラブルになる可能性があります。

5. 私物の持ち帰り

ロッカーやデスクに私物がある場合、事前に持ち帰っておきましょう。

退職代行を使うと、出社せずに退職するため、後から私物を取りに行くのは気まずいです。

6. データのバックアップ

会社のPCに私的なデータがある場合、事前にバックアップを取っておきましょう。

ただし、会社の機密情報や顧客情報を持ち出すのは厳禁です。

7. 転職活動の準備

退職後の転職活動に備え、履歴書や職務経歴書を準備しておきましょう。

退職代行サービスの中には、転職サポートを提供しているところもあります。

退職代行を使う際の注意点

退職代行はメリットも大きいですが、注意すべき点もあります。

会社との関係は完全に断たれる

退職代行を使うと、会社との関係は修復不可能になります。将来、その会社に戻ることはできないと考えてください。

同業他社への転職で不利になる可能性

IT業界は狭い世界です。退職代行を使ったことが、同業他社に知られる可能性もゼロではありません。

ただし、これを理由に不採用にすることは違法なので、過度に心配する必要はありません。

損害賠償請求のリスク(ごく稀)

会社から損害賠償を請求されるリスクは、ごく稀ですが存在します。

ただし、実際に訴訟に発展するケースはほとんどありません。また、単に退職しただけで損害賠償が認められることはまずありません。

心配な場合は、弁護士型の退職代行を利用しましょう。

引き継ぎが不十分になる

退職代行を使うと、十分な引き継ぎができない可能性があります。

可能であれば、事前に簡単な引き継ぎ資料を作成しておくと、良心の呵責も少なくなります。

退職代行業者の質

退職代行業者の中には、適切な対応ができない悪質な業者も存在します。

実績があり、口コミ評価の高い業者を選びましょう。

エンジニア特有の退職時の問題と対処法

プロジェクト途中の退職

「プロジェクトが途中だから辞められない」という思い込みがありますが、法律上は問題ありません。

法律上の権利

民法第627条により、雇用期間の定めがない場合、退職の意思表示から2週間で退職できます。プロジェクトの都合は関係ありません。

会社が「プロジェクトが終わるまで待ってくれ」と言っても、法律上は応じる義務はありません。

現実的な対応

とはいえ、プロジェクトの途中で抜けることへの罪悪感は残ります。以下のように対応しましょう:

  • 可能であれば、区切りの良いタイミングを選ぶ
  • 簡単な引き継ぎ資料を作成しておく
  • 業者を通じて、引き継ぎ方法を提案する

ただし、自分の健康を最優先にしてください。プロジェクトよりも、あなたの人生の方が大切です。

技術的な引き継ぎ

エンジニアの業務は専門性が高く、引き継ぎが複雑です。

引き継ぎ資料の作成

可能であれば、以下の内容を含む簡単な引き継ぎ資料を作成しておきましょう:

  • 担当しているシステムの概要
  • コードベースの場所(Gitリポジトリなど)
  • よく使うコマンドやツール
  • 既知のバグや技術的負債
  • 連絡すべき関係者のリスト
  • 開発環境のセットアップ手順

完璧である必要はありません。最低限の情報があれば、後任者は何とかなります。

リモートでの引き継ぎ

退職代行を使った場合でも、会社から「リモートで引き継ぎだけしてほしい」と要請されることがあります。

これに応じるかどうかは、あなたの自由です。業者を通じて、条件(時間、報酬など)を交渉することもできます。

引き継ぎができなくても大丈夫

最悪、引き継ぎができなくても、会社は何とかします。それが会社の責任です。

自分を責めすぎないでください。

SES契約の解除

SES企業の場合、客先との契約があるため、退職が複雑に感じられます。

契約期間の問題

「客先との契約が○月まであるから、それまで辞められない」と言われることがあります。

しかし、労働者の退職権は民法で保障されており、客先との契約は関係ありません。会社と客先の契約は、会社の責任で解決すべき問題です。

損害賠償のリスク

「客先に迷惑がかかったから、損害賠償を請求する」と脅されることもあります。

しかし、単に退職しただけで損害賠償が認められることは、ほぼありません。仮に訴訟になっても、勝訴の可能性は極めて低いです。

弁護士型の退職代行を使えば、このような脅しにも対応してもらえます。

客先への報告

退職の報告は、本来は会社が客先に行うべきです。あなたが直接客先に報告する義務はありません。

業者を通じて、「客先への報告は会社側で行うよう」伝えてもらいましょう。

機密情報とデータの取り扱い

エンジニアは、機密情報を扱うことが多いため、退職時の取り扱いに注意が必要です。

会社のコードやデータ

会社のコード、顧客データ、技術文書などは、絶対に持ち出してはいけません。これは法律違反(不正競争防止法、営業秘密侵害)になります。

PCやUSBメモリに会社のデータが残っていないか、確認してから返却しましょう。

GitHubなどのアカウント

会社のGitHubアカウント、Slackワークスペース、AWSコンソールなどへのアクセス権は、退職時に削除されます。

個人的にクローンしたリポジトリがある場合は、削除してください。

競業避止義務

退職後、一定期間は競合他社に転職できないという「競業避止義務」が契約書に含まれていることがあります。

しかし、この条項は、合理的な範囲でしか有効ではありません。過度に広範な制限は、無効とされる可能性が高いです。

心配な場合は、弁護士型の退職代行で相談しましょう。

貸与PCやスマホの返却

会社から貸与されているPC、スマホ、タブレットなどは、速やかに返却する必要があります。

データの削除

返却前に、個人的なデータは削除しておきましょう。

  • ブラウザの履歴、パスワード
  • 個人的なファイル
  • 個人のメールアカウント

ただし、会社のデータは削除してはいけません。

返却方法

業者の指示に従って、宅配便で返却します。

梱包は丁寧に行い、配送記録が残る方法(追跡番号付き)で送りましょう。返却の証拠を残すことが重要です。

返却が遅れると?

返却が遅れると、会社から督促が来ます。最悪の場合、給与から相当額を差し引かれたり、窃盗罪で訴えられるリスクもあります。

速やかに返却してください。

退職代行を使った後の手続き

失業保険の手続き

退職後、次の仕事が決まっていない場合は、失業保険(雇用保険)の手続きを行いましょう。

必要な書類

  • 離職票(会社から郵送される)
  • 雇用保険被保険者証
  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類
  • 通帳
  • 証明写真

離職票は、退職後10日以内に会社から送られてきます。届かない場合は、業者を通じて催促しましょう。

ハローワークでの手続き

離職票が届いたら、住所地のハローワークに行き、求職の申し込みをします。

その後、7日間の待機期間を経て、失業保険の給付が始まります。

自己都合退職の給付制限

自己都合で退職した場合、2ヶ月(令和2年10月以降は2ヶ月または3ヶ月)の給付制限期間があります。この間は、失業保険が支給されません。

ただし、パワハラや長時間労働など、「正当な理由」がある場合は、給付制限がなくなります。

退職代行を使った理由を正直に説明すれば、正当な理由と認められる可能性があります。

健康保険の切り替え

退職すると、会社の健康保険から脱退します。次の健康保険に加入する必要があります。

選択肢は3つ

  1. 国民健康保険に加入
  2. 任意継続(会社の健康保険を継続)
  3. 家族の扶養に入る

国民健康保険

住所地の市区町村役場で手続きします。退職から14日以内に手続きが必要です。

保険料は、前年の所得によって決まります。収入が高かった場合、かなり高額になることもあります。

任意継続

退職した会社の健康保険を、最大2年間継続できます。

退職から20日以内に手続きが必要です。保険料は、在職中の約2倍(会社負担分も自己負担)になります。

家族の扶養

配偶者や親の健康保険の扶養に入れる場合もあります。年収130万円未満などの条件があります。

保険料は不要なので、最もお得です。

年金の切り替え

会社員は厚生年金に加入していますが、退職すると国民年金に切り替わります。

手続き

住所地の市区町村役場で、退職から14日以内に手続きします。

国民年金の保険料は、月額16,980円(2025年度)です。収入にかかわらず、定額です。

免除・猶予制度

収入が少ない場合、保険料の免除や猶予を申請できます。失業した場合は、特例として免除が認められやすくなります。

未納のまま放置すると、将来の年金額が減ります。必ず手続きをしましょう。

住民税の支払い

住民税は、前年の所得に対して課税されます。退職しても、支払い義務は残ります。

給与天引きの停止

在職中は、住民税が給与から天引き(特別徴収)されていましたが、退職すると停止します。

納付書での支払い

退職後は、市区町村から納付書が届きます。自分で支払う(普通徴収)必要があります。

支払い方法は、銀行振込、コンビニ払い、口座振替などがあります。

一括徴収

1月〜5月に退職した場合、残りの住民税が最後の給与から一括で引かれます。

金額が大きくなるため、最後の給与が少なくなります。

転職活動の開始

退職後は、速やかに転職活動を始めましょう。

転職エージェントの活用

エンジニアの転職では、転職エージェントの活用が効果的です。

  • レバテックキャリア(IT特化)
  • マイナビIT AGENT(IT特化)
  • ワークポート(未経験にも強い)
  • リクルートエージェント(総合)
  • doda(総合)

複数のエージェントに登録し、幅広く求人情報を得ましょう。

退職代行を使ったことを伝えるべきか?

面接で「前職の退職理由は?」と聞かれることがあります。

退職代行を使ったことは、必ずしも伝える必要はありません。

「前職の労働環境が合わず、退職しました」という説明で十分です。

ただし、嘘をつくのはNGです。聞かれたら正直に答え、「前向きに次のキャリアに挑戦したい」という姿勢を示しましょう。

退職代行を使わない方が良いケース

退職代行は便利ですが、すべてのケースで使うべきというわけではありません。

円満に辞められそうな場合

会社の人間関係が良好で、上司も理解がある場合は、自分で退職を伝えた方が良いです。

円満退職のメリット

  • 前職との良好な関係が続く
  • 将来的に出戻り転職の可能性が残る
  • 同業他社での評判を守れる
  • 紹介や人脈が生きる

退職代行を使うと、これらのメリットは失われます。

次の転職先が決まっている場合

すでに次の転職先が決まっている場合、退職交渉もスムーズに進むことが多いです。

「○月に転職先に入社する予定なので、その前に退職したい」と明確に伝えられるため、引き留めにも遭いにくいです。

引き継ぎを丁寧にしたい場合

後任者やチームメンバーに迷惑をかけたくない場合、自分で丁寧に引き継ぎをした方が良いです。

技術的な引き継ぎは、対面やオンラインで説明した方が、はるかに効率的です。

経験を積みたい若手エンジニア

20代の若手エンジニアで、まだ経験が浅い場合、「退職交渉」自体も一つの経験です。

今後のキャリアで、何度も転職する可能性があります。その度に退職代行を使うのは現実的ではありません。

一度、自分で退職交渉を経験しておくことも、成長につながります。

会社と戦いたい場合

パワハラやセクハラで会社と戦いたい、未払い賃金をしっかり回収したい、という場合は、弁護士に直接依頼した方が良いケースもあります。

退職代行はあくまで「退職」が目的なので、会社への追及や損害賠償請求は限定的です。

本格的に戦う覚悟がある場合は、労働問題専門の弁護士に相談しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: 本当に会社の人と話さずに辞められますか?

A: はい、辞められます。

退職代行業者が、あなたに代わって会社と連絡を取ります。会社からあなたに直接連絡が来ても、応答する義務はありません。

業者から「会社からの連絡には応じないように」と指示されます。万が一、しつこく連絡が来る場合は、業者に報告しましょう。

Q2: 即日退職できますか?

A: 状況によります。

法律上は、退職の意思表示から2週間で退職が成立します。

ただし、有給休暇が残っている場合、即日から有給消化に入り、2週間後に退職という形を取れます。実質的に「即日退職」になります。

有給がない場合は、2週間は欠勤扱いになります。この期間の給与は出ませんが、会社に行く必要もありません。

Q3: 損害賠償を請求されることはありますか?

A: 実際に請求されることは、ごく稀です。

会社が「損害賠償を請求する」と脅してくることはありますが、実際に訴訟まで発展するケースはほとんどありません。

また、単に退職しただけでは、損害賠償が認められることはまずありません。

心配な場合は、弁護士型の退職代行を利用しましょう。

Q4: 退職金はもらえますか?

A: もらえます。

退職代行を使ったからといって、退職金がもらえなくなることはありません。退職金は、労働の対価として支払われるものだからです。

もし会社が「退職代行を使ったから退職金は払わない」と言ってきたら、これは違法です。業者を通じて請求しましょう。

Q5: 有給休暇は消化できますか?

A: 労働組合型または弁護士型なら、交渉可能です。

有給休暇の消化は、労働者の権利です。会社は原則として拒否できません。

労働組合型や弁護士型の退職代行であれば、有給消化を交渉してくれます。

一般企業型の場合、交渉はできませんが、自分から「有給を消化したい」と申し出ることは可能です。

Q6: SES企業でも使えますか?

A: はい、使えます。

むしろ、SES企業こそ退職代行を使うべきケースが多いです。

実際、退職代行「モームリ」の調査では、利用者の7〜8割がSES企業のエンジニアです。

客先との契約があっても、あなたの退職権には影響しません。

Q7: 次の転職に影響しますか?

A: 基本的には影響しません。

退職代行を使ったことは、次の会社には伝わりません(前の会社が言いふらすことは、名誉毀損になる可能性があります)。

面接で退職理由を聞かれても、「前職の労働環境が合わなかった」と説明すれば問題ありません。

Q8: 退職代行を使ったことを後悔しますか?

A: 人によります。

退職代行を使った人の多くは、「もっと早く使えば良かった」と感じています。精神的・身体的に追い詰められた状態から解放されるからです。

一方で、「自分で伝えれば良かった」と後悔する人も一部います。特に、会社の人間関係が良好だった場合です。

自分の状況をよく考え、本当に退職代行が必要かどうかを判断しましょう。

まとめ:あなたの選択を応援します

退職代行は「逃げ」ではない

「退職代行を使うのは逃げだ」という意見もあります。しかし、それは間違いです。

自分の健康と人生を守るための、正当な選択です。

精神的・身体的に限界を迎えている状態で、無理に退職交渉をする必要はありません。プロに任せることで、安全かつ確実に退職できます。

重要なのはあなたの健康と幸せ

会社やプロジェクトよりも、あなた自身の健康と幸せが最優先です。

「もう少し頑張れば」と自分を追い込み、うつ病や過労で倒れてしまっては元も子もありません。

限界を感じたら、退職代行という選択肢があることを思い出してください。

退職は新しいスタートの第一歩

退職は、終わりではなく、新しいスタートの第一歩です。

退職代行を使って辞めた後、多くのエンジニアがより良い職場環境で働き、充実したキャリアを築いています。

今の職場が全てではありません。世界にはたくさんの企業があり、あなたに合った環境が必ずあります。

今日から始めるアクションプラン

ステップ1: 無料相談(今日)

まずは、退職代行サービスに無料相談してみましょう。LINEやメールで気軽に相談できます。

相談したからといって、必ず利用する必要はありません。話を聞いて、選択肢を増やしておくことが大切です。

ステップ2: 退職後のプランを考える(1週間)

  • 次の転職先をどう探すか
  • 失業保険は必要か
  • 生活費はどうするか

退職後の生活プランを考えておくと、安心して退職できます。

ステップ3: 決断する(1週間)

退職代行を使うかどうか、最終的に決断します。

迷う場合は、以下の質問を自分に問いかけてみてください:

  • 今の職場で働き続けることで、健康を害するリスクはあるか?
  • 自分で退職を伝える気力があるか?
  • 退職代行の費用(2〜5万円)を払う価値はあるか?

ステップ4: 実行する(即日)

決断したら、すぐに実行しましょう。

業者に申し込み、必要な情報を伝え、支払いを済ませれば、翌日には退職の意思が会社に伝わります。

最後に:あなたの勇気を讃えます

この記事を最後まで読んでいるあなたは、現状を変えたいと真剣に考えている人です。

その勇気は、素晴らしいことです。

退職は、人生の大きな決断です。不安や恐れがあるのは当然です。

でも、あなたには新しい未来を切り開く力があります。

退職代行という選択肢を使うことは、決して恥ずかしいことではありません。

あなたの人生は、あなたが決めるものです。

今の職場がすべてではありません。もっと良い環境が、必ずあります。

あなたの新しいスタートを、心から応援しています。


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この記事を書いた人

異業種からエンジニアへの転職を経験し、SES企業とWeb系企業の両方で働いてきました。退職に悩むエンジニアの相談を受けることも多く、その経験から退職代行の情報を発信しています。

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