SESエンジニアとして現場を転々としながら「いつかは自社開発に移りたい」と思っているあなたへ。「SESでは自社開発に転職できない」「SESのキャリアはマイナスになる」——そんな情報を目にして不安になっていませんか?
結論から言うと、SES経験は正しく活用すれば自社開発転職の強みになります。ポイントは「自分の案件タイプに合った準備期間と戦略を取ること」と「SESで得た経験を自社開発の言葉に翻訳すること」です。
本記事では、SESエンジニアが自社開発企業へ転職するための案件タイプ別の難易度マトリクス・SES経験の武器化戦略・採用担当が評価するポートフォリオの条件・6ステップロードマップを2026年最新版で徹底解説します。記事後半には転向準備度を診断できるツールもあります。


SESから自社開発への転職は本当に難しいのか?【現実を整理】
「SESから自社開発に転職するのは難しい」とよく言われますが、その理由を正確に理解することが重要です。難しいのはSES経験そのものではなく、「自社開発企業が懸念する特定のポイント」を克服できていないからです。
自社開発企業がSES出身者に感じる懸念とは
- 主体性・自走力への不安:SESは「指示された仕事をこなす」イメージがあり、自社開発に必要な「課題を自分で見つけて改善する」主体性があるか不安視される
- 技術の深みへの疑問:複数現場を渡り歩くSESは「広く浅い」技術習得になりがちで、自社開発に必要な「特定技術を深く使いこなす」力があるか問われる
- チームへの定着性:現場を移ることに慣れているSESエンジニアが「1つの組織に長く腰を据えて働けるか」を懸念するケースがある
- ポートフォリオの欠如:業務コードは公開できないため、自社開発企業が重視するGitHub上の個人開発実績が示せない場合が多い
逆に言えば、これを克服すれば突破できる
上記の懸念はいずれも「証明できれば払拭できる」ものです。主体性はポートフォリオで示し、技術の深みは個人開発で証明し、定着性は志望動機で語れば良い。SES出身だからこそ持てる「多様な現場経験・顧客折衝力・技術適応力」は自社開発企業でも評価されます。


案件タイプ別 転向難易度マトリクス【自社開発転職の準備期間と戦略】
あなたが現在携わっているSES案件のタイプによって、自社開発への転向難易度と必要な準備期間が大きく変わります。下の比較表で自分の現状に合った戦略を確認してください。


| 案件タイプ | 転向難易度 | 推奨準備期間 | 活かせるSES経験 | 推奨ポートフォリオ |
|---|---|---|---|---|
| Webアプリ開発案件 | ★★☆☆☆ 低め |
3〜4ヶ月 | 同技術スタックの実務経験・チーム開発フロー・Git運用 | 個人Webアプリ(CRUD機能・認証・デプロイまで) |
| インフラ・クラウド案件 | ★★★☆☆ 普通 |
3〜5ヶ月 | AWS/GCPの実務運用経験・IaC・監視設計 | Terraform/CDKでのインフラ構築・CI/CDパイプライン実装 |
| 業務システム・レガシー案件 | ★★★★☆ 高め |
5〜8ヶ月 | 要件定義・顧客折衝・ドキュメント作成経験 | モダン技術での個人開発+業務改善ツールの実装例 |
| 新規プロダクト案件 | ★★☆☆☆ 低め |
2〜3ヶ月 | スクラム経験・技術選定への関与・スタートアップマインド | サービスとして公開した個人プロダクト(ユーザー数・PV実績あり) |
| テスト・QA案件 | ★★★★★ 最も高い |
8〜12ヶ月 | 品質保証・バグ分析・テスト自動化(Selenium/Playwright等) | バックエンド開発スキルを証明する個人開発+テスト自動化の実装 |
この表で重要なのは、テスト・QA案件経験者が最も難易度が高いという点です。開発スキルの実績がないため、ポートフォリオ作成から始める必要があり、準備期間も長くなります。逆にWebアプリや新規プロダクト案件経験者は比較的転向しやすく、ポートフォリオがあれば3ヶ月前後での転職も現実的です。
自社開発に転職した場合の年収がどう変わるかはこちらで確認:SES・自社開発・受託開発の年収比較はこちら
SESの経験を自社開発転職の武器にする方法
競合記事の多くは「SESではスキルが身につかない」と否定しますが、これは間違いです。SES経験には自社開発転職で活きる強みが確かにあります。重要なのは「自社開発の言葉に翻訳して伝える」ことです。
強み①:多様な技術スタックへの適応力
SESエンジニアは現場ごとに異なる技術スタックを経験します。「JavaとPHPとRubyを現場によって使い分けた」という経験は、「新しい技術を素早く習得し、どんな環境でも立ち上がれる適応力」として評価されます。自社開発企業は新機能開発で新技術を採用するケースが多く、この適応力は実際に求められます。
面接でのアピール方法:「〇〇の現場でJavaを、次の現場でPHPを、その後TypeScriptを使った案件に参加し、いずれも2〜3ヶ月で戦力化できました。新しい技術環境への適応を繰り返してきたため、御社で採用している〇〇にも素早くキャッチアップできると考えています」
強み②:顧客折衝・要件整理の経験
SES案件では顧客(常駐先)との日常的なコミュニケーションが発生します。要件の確認・仕様の相談・問題発生時の報告——これらは自社開発でも「PdM・デザイナー・ビジネス部門とのコミュニケーション」として必要な能力です。純粋な自社開発エンジニアより顧客・ビジネス視点を持ちやすい点はSES出身の強みです。
強み③:複数チームの開発プロセスを知っている
1社の開発文化しか知らない人より、複数の現場でスクラム・ウォーターフォール・カンバンなど様々な開発プロセスを経験したSESエンジニアは「良い開発プロセスと悪い開発プロセスを比較できる」視点を持っています。「前の現場でこういう問題があったので、こう改善したらうまくいった」という実体験は面接で非常に響きます。
SES経験を職務経歴書に書く際の注意点
SES出身者が職務経歴書を書く際に陥りがちな失敗パターンと、自社開発企業に刺さる書き方を解説します。
- 「〇〇システムの保守・運用を担当」(具体性がない)
- 「チームの一員として開発に参加」(役割が不明)
- 「Java/PHP/Pythonなど複数言語経験あり」(業務での活用実態が見えない)
- 案件ごとに「担当:開発」とだけ書いて期間を並べる
- 「〇〇ECサイトのカート機能リニューアルにおいてバックエンドを担当。Ruby on RailsでAPIを設計し、レスポンスタイムを従来比40%改善」
- 「5名チームのリーダーとして要件定義から実装・テストまでを主導。顧客ヒアリングを週次で実施し仕様変更を30%削減」
- 「レガシーコードのリファクタリングを主体的に提案し、テストカバレッジを0%から60%に引き上げた」
ポイントは「担当した作業」ではなく「あなたが何を判断し、何の成果を出したか」を数字や具体性で示すことです。SESでの「客先常駐」という形式ではなく、「実際に何をやり遂げたか」にフォーカスしてください。


採用担当が評価するポートフォリオの5つの条件
「GitHubに公開すれば良い」で終わる記事が多いですが、それは不十分です。自社開発企業の採用担当者が実際に評価するポートフォリオには、以下の5つの条件があります。
条件①:本番デプロイされていること
ローカルでしか動かないアプリは評価が低いです。Vercel・Render・AWS EC2・Google Cloud Runなどで実際にURLからアクセスできる状態にしてください。「動いているもの」を見せることで、エンジニアとしての完成度が伝わります。
条件②:READMEに「なぜ作ったか」が書かれていること
採用担当者がGitHubを開いて最初に読むのはREADMEです。機能一覧だけでなく「どんな課題を解決するために作ったか」「技術選定の理由」「工夫した点」を必ず記載してください。自社開発企業は「なぜを考えられるエンジニア」を求めています。
条件③:テストコードが含まれていること
テストコードがないポートフォリオは「実務レベルに達していない」と見なされるリスクがあります。自社開発企業はコードの品質を重視しており、ユニットテスト・統合テストが書かれているだけで差別化になります。Vitest・Jest・RSpec・pytest など、使用言語に対応したテストフレームワークを使いましょう。
条件④:コミット履歴が適切であること
「initial commit」で1コミットのリポジトリは評価されません。機能ごとにブランチを切り、意味のあるコミットメッセージで積み上げられた履歴は「チーム開発での作業プロセスを理解している」証拠になります。Gitフローを意識したリポジトリ管理を心がけましょう。
条件⑤:SES業務経験と関連するドメインを選ぶと加点
業務システム・在庫管理・顧客管理・勤怠管理など、SES現場で関わった業務ドメインに関連するWebアプリを作ると「業務知識×エンジニアリングスキル」の組み合わせが高く評価されます。まったく関係のないTodoアプリより、業務課題を解決するツールの方が自社開発企業には刺さります。
自社開発転職に必要なポートフォリオの具体的な作り方はこちら:ポートフォリオ作成ガイドはこちら


面接でよく聞かれる「なぜSESを離れるのか」の答え方
自社開発企業の面接で必ず聞かれるのが「なぜSESから自社開発に転職したいのか」という質問です。この質問への答え方が、SESから自社開発転職の成否を大きく左右します。
NGな回答パターン
- 「SESが嫌になったから」「常駐先が変わって不安定だから」——ネガティブな理由はNG。自社への定着性への不安を高める
- 「年収を上げたいから」——動機が弱く、「うちでなくていい理由」を与えてしまう
- 「自社開発の方がいい環境だと思うから」——抽象的すぎて何も伝わらない
高評価を得る回答パターン
面接官が聞きたいのは「あなたが自社開発に来たら何を貢献してくれるか」です。以下の構成で答えると高評価につながります。
- SESで得た具体的な価値ある経験を1つ述べる:「SESでは3つの異なる技術スタックの現場を経験し、各現場の開発プロセスの違いを学びました」
- SESでは満たせないが自社開発で実現できることを語る:「しかし現場が変わるたびにサービスとユーザーの関係が切れてしまい、自分が作ったものがどう使われるかを追いかけられないことにもどかしさを感じてきました」
- 御社への具体的な貢献につなげる:「御社の〇〇サービスは〇〇という課題を解決していると理解しています。私の〇〇の経験を活かし、そのサービスを継続的に改善することに携わりたいと考えています」
自社開発転職に成功する6ステップロードマップ
SESから自社開発への転職を成功させるための具体的な6ステップを解説します。現在のSES案件タイプによってステップ3〜4の内容が変わりますが、全体の流れは共通です。
- スキル棚卸しと目標設定(1〜2週間) これまでのSES経験を整理します。「使った技術・期間・規模・役割」を一覧化し、自社開発転職で評価される経験と評価されにくい経験を分類します。転向したい企業タイプ(スタートアップ・中堅Web系・メガベンチャー)も決めておきます。
- ポートフォリオ設計と技術選定(1〜2週間) 目標とする自社開発企業の技術スタックを調べ、それに合わせたポートフォリオの技術選定を行います。転職サイトや求人票から「よく使われている技術」をリストアップし、自分が得意な技術と重なる部分を起点にします。
- ポートフォリオ開発・本番デプロイ(1〜3ヶ月) 案件タイプ別の推奨準備期間を参考に開発を進めます。途中で完成度より「動くものを早く公開」を優先し、転職活動と並行して改善していく方法も有効です。テストコード・READMEの整備を忘れずに。
- 転職エージェントへの登録・市場情報収集(ポートフォリオ完成前から可) ポートフォリオが完成していなくてもエージェントへの相談は早めに始めましょう。「今の自分のスキルで応募可能な自社開発求人はどのくらいあるか」「採用担当者がSES出身者に感じる懸念は何か」を把握することで、ポートフォリオ改善の優先順位が決まります。
- 書類作成と面接対策(2〜3週間) 職務経歴書はSES案件を「客先常駐プロジェクト」として実績ベースで記述します。自社開発企業が懸念する「主体性・技術の深み・定着性」を払拭するエピソードを準備し、ポートフォリオと連動させた面接ストーリーを作ります。
- 並行応募と比較検討(1〜2ヶ月) 1社に絞って受けるのではなく、5〜10社に同時並行で応募します。内定を複数獲得してから比較することで、年収・技術スタック・開発文化・チームの雰囲気を正しく評価できます。スカウト型サービスとエージェント経由の求人を組み合わせることが最も効率的です。
自社開発転職のエージェント面談で押さえるべきポイントはこちら:エージェント面談の準備方法はこちら
コーディングテスト・技術面接の対策
自社開発企業の選考では、SES業界にはあまりないコーディングテストや技術面接が設けられているケースが多いです。事前に対策を行い、選考を通過できる準備をしておきましょう。
コーディングテスト対策
多くの自社開発企業は採用プロセスにコーディングテストを含んでいます。LeetCode・HackerRank・paiza・CodeCheckなどのプラットフォームで出題されることが多く、以下の分野が頻出です。
- 基本的なアルゴリズム:配列操作・文字列処理・ソート・探索。LeetCode Easy〜Mediumレベルを20〜30問解いておく
- データ構造の理解:リスト・スタック・キュー・ハッシュマップを使った問題。実務でよく使う構造を押さえておく
- 実務系コーディングテスト:「このAPIを実装してください」「このバグを修正してください」という形式。paizaやCodilityで出題されることが多い
設計面接・コードレビュー対策
中堅〜大手の自社開発企業では「システム設計」や「提出したコードのレビュー」が面接に含まれます。ポートフォリオのコードについて「なぜこの実装にしたか」「どう改善できるか」を説明できるよう準備してください。また、データベース設計・API設計の基礎知識も問われることがあります。
自社開発企業の選び方【スタートアップ vs メガベンチャー vs 中堅Web系】
自社開発企業といっても、その規模や文化は大きく異なります。SESからの転向後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、転職先タイプの特徴と向いている人を整理します。
スタートアップ(従業員50名以下)
- 特徴:技術選定の裁量が大きい・少人数なので全体像が見える・スピード感がある反面、仕様変更・ピボットが多い
- 年収:400〜700万円(ストックオプションあり)
- 向いている人:主体的に動ける・曖昧な状況を楽しめる・特定技術への深い興味がある人
- 転向難易度:ポートフォリオさえあれば比較的通りやすい。SES出身をネガティブに見ないスタートアップも多い
メガベンチャー(ユーザー数・売上規模が大きいWeb企業)
- 特徴:大規模サービスの開発経験が積める・技術レベルの高い同僚から学べる・福利厚生が充実
- 年収:600〜1,000万円以上
- 向いている人:特定の技術領域を深く極めたい・大規模システムの設計・運用に興味がある人
- 転向難易度:SES出身者には難易度高め。コーディングテスト・技術面接が複数回あり、アルゴリズムや設計力が問われる
中堅Web系企業(従業員100〜500名規模のサービス企業)
- 特徴:安定性と成長のバランスが取れている・チームが整備されており新人への教育体制もある・残業も比較的少ない
- 年収:500〜800万円
- 向いている人:安定した環境で自社開発を経験したい・ワークライフバランスも大事にしたい・チームで協働しながら成長したい人
- 転向難易度:SES出身者が最も転向しやすいタイプ。ポートフォリオ+面接対策でチャンス十分
自社開発企業の特徴・働き方の違いを基礎から確認したい方はこちら:SES・自社開発・受託開発の違いを詳しく知りたい方はこちら
あなたの転向準備度を診断する
Q0から順に選択してください。あなたの現状に合わせた最適なエージェントを1つ提案します。


よくある質問(FAQ)
まとめ:SESから自社開発転職は「準備と戦略」で突破できる
SESから自社開発への転職は「難しい」のではなく、「準備の方向性が合っていないと難しく見える」だけです。正しい戦略で臨めば十分に突破できます。
- 案件タイプによって転向難易度と準備期間が異なる(Webアプリ系が最も短期間で転向可能)
- SES経験は「多様な技術適応力・顧客折衝力・複数プロセスの知識」として武器になる
- ポートフォリオは「本番デプロイ・README充実・テストコード・適切なコミット履歴」が必須
- 業務ドメインに関連するアプリを作ると自社開発企業への刺さり方が変わる
- 転職はエージェントとスカウト型を併用して複数社に並行応募するのが最短
- 自社開発企業は「主体性」を最も重視する。ポートフォリオと面接ストーリーで証明する

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